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対談
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しおりを挟む「心境の変化。今までは人間の悪いところばっかり見てきたが、良いところも見るようになった。信頼できる人間が増えたとか、じゃないのか?」
「いや。香殿は元々の時代からずっと、人間を信頼などしていない。そんなすぐには変わらない。共存を望んでいるのは、我の夢をかなえるがため」
「本心では人間不信、嫌ったままだってことか。だが、黒の王の夢をかなえるためってだけでそこまでできるのか?」
「わからない。悪い方に考えれば、香殿は擬人化種を集めて……」
「ん、どうした?人間に擬人化種の存在を理解してもらって、迫害もなく協力し合って生活できるような。そんな街を作るためにまずは市長になった。いずれは国、世界全体がそうなればって」
「それは、かつての我の願い。……いかん、どうにも悪い方へと考えてしまう。香殿が擬人化種を集めて勢力を高め、ご自身の力で人間を支配下に置こうとしているなどと……」
「それ、本気で言っているのか?いくら嫌ってはいても、香さんが人間を支配しようだなんてさ」
「あくまで我の想像だ。我がよく知っている香殿は、今のように笑うことなどなかった。擬人化種を思うあまり人間と対立、騙すことはよくあった。そのうえあの力があれば、人間を支配することも可能だろう」
「そんなことはない。って、言いきれないところがあるな。わかった。香さんが今と昔とでは全然違うってのには驚きだが、頭の片隅に入れておく」
「亡者の忠告は、聞けないか」
「そうじゃないぞ?昔なじみの黒の王が心配するんなら俺も心配だ。けどな、今の香さんには緋桜がいる。あなたの心配が杞憂であることを願ってるさ」
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