ユキ・シオン

対談

４P

「強靭的な精神力だ。諦めずに信じ続けるというのは、そう簡単にはできない」
 

「さすがは俺のシオン。……で？もしかして、シオンが信じるのをやめたら俺の力がまた暴走するってことか？」

 
「そうなる前に我の力を上手くコントロールできるようになるんだな。なに、２０年ほどで意のままに操れるようになるだろう」

 
「に、２０年っ！？シオンの信頼を失うことはないと思うけどなぁ。半分、いや５年以内にコントロールできるようになってやるさ。大丈夫、シオンが信じてくれるなら俺はできるさ」

 
「せいぜい頑張ることだな」

 
「あなたの力は強大で、俺の中で反抗期の真っ最中だが。集中してみたら確かに、シオンの気配が力を抑え込んでくれているような気がする」
 

「あぁ。お前の……猫屋敷悠一の運命のツガイが、ユキ・シオンで本当に良かったと心から思う。出会えてよかった」

 
「もう、消えるのか？」
 

「……１つ、頼んでもいいか？」
 

「なんだよ、まだ未練があるのか？成仏しなかったわけだな」
 

「香殿のことだ、実際に会って気になった。命燃え尽きて、神に転じていると思っていたのに。ご存命のまま我の後を継いで人間との共存に奔走しているとは」

 
「頑張りすぎているってことか。そういえば香さんも人間を嫌っているって、そう言っていたよな？」

 
「我もかつてのお前のように、幼い頃に香殿に保護され力の扱い方を教わった。人間の世界での暮らし方と、人間の恐ろしさも。『どれほどの年数を重ねても人間は醜いままじゃ』と言っていたのに、今ではこの街の市長だ」