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黒いライオン
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しおりを挟む「俺が思うように、か。約束も誓いもしない。だが、あなたにそう言われてより一層やる気が出てきた。最初香さんに持ちかけられた時は面倒くさい、力はあっても俺には勤まらないって思っていた。向き合おうとしていなかったから、暗く苦痛を伴う」
「頂点に立つのは大変だ。責任と使命感に幾度となく押し潰されそうになる。君が言うように、力で解決できることではない」
「それでも向き合えたのは、俺を信じてくれているんだと実感したからだ。シオンが俺の隣にいて俺を信じてくれているのは言うまでもないけどな、シオンだけじゃない。香さんも、それからあなたも。俺はあなた方の期待に応えたい、そう思ったんだ」
すげぇ格好いいな、悠一。いつも格好いいけどさ、今はなんだか自信に満ちていている。あ、いつも格好いいっていうのは違うか。ヘタレだもんな?可愛い時もあるもんな?
悠一を尊敬のまなざしの目で見つめていたと思ったのに。俺の熱い視線に気づいた悠一が「何ニヤついてんだよ?」って眉をひそめた。
あ、ニヤついていたか?悪い悪い。前に悠一が、部屋に出た大きいゴッキーに悲鳴を上げて。けどスリッパを片手に立ち向かおうとしたら、ブーンって自分の方に飛んできて大絶叫。あれは可愛かったなぁって思い出してただけだから。
結局俺が空中でスリッパでスパァンッ!って叩いてさ、綺麗に片づけた。けど悠一は全開のヘタレをさらしちまってしばらく落ち込んでた。
「シオン君、何を考えているのかはわからんが。それ以上は顔にモザイクがかかる。我はもう逝くぞ」
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