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危険人物はロン毛?
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しおりを挟む「先に言っておくが。普通、当たり前な感想を言えば次の依頼は断る。タカミヤコーポレーションへの出入りも禁じてやるからな」
まず、高宮さんが太い杭を打った。どうせ「似合ってる」とか「可愛い」とか「綺麗」だとかいうのが、高宮さんの「当たり前」なんだろうな。
でもさ、そんなの悠一には全く聞こえてないみたいだぜ?
見つめ合って、瞬き。1歩下がって上から下まで、ゆっくり往復して眺めて。また、目が合って。ジーッ。
あぁわかった。あまりにもすごすぎて声が出ないってやつだ。でもさ、見つめ合ったまま1分は経ったぞ。さらに2分経って。
意外にも静かに見守ってくれているらしい高宮さんをよそに、悠一がやっと動いた。
「ありがとう高宮、最高だ。お前に頼んで、本当に良かった」
そう言いながら、俺の頭を撫でた。柔らかく微笑んで、頬に手を当てるとチュッと軽くキスをしやがって。おかげで高宮さんが……?
あれ、怒るかと思ったのに静かだ。予想外に落ち着いて「すごいな」と着物に触れている悠一の様子を、驚きを隠せない表情の高宮さんが見つめる。
「なんだそれは、面白くない。全くもって貴様らしくない。フンッ、つまらん。」
すごく嫌そうな顔をして、俺の頭や着物に触れ続けている悠一の手を払いのける高宮さん。腕時計を見て、舌打ち。
「だが…………悪いが時間がない。着物は一旦俺様が預かり、うちのロゴを入れる。クソガキが死ぬまで綺麗に保てるよう手入れの仕方を書いた冊子をつけて後日郵送する。おいクソガキ、着替えるぞ」
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