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再会
7P
しおりを挟む隣で香さんが「いつもこんな感じじゃが、今日はいつにも増して口を開かぬのぅ」と苦い顔。
完全に擬人化種の長、オフモードの香さん。部屋にいる屈強な看守2人共、熊の擬人化種だって言ってた。つまり、人間は直也だけ。
「なぁ直也、悠一を見ろよ。何ともないか?変な匂いはしねぇか?あ、酸っぱい匂いだったら加齢臭だから」
「加齢臭っ!?待てシオン、俺って加齢臭するのかっ!?」
「たまにな。そんなことより。ここを出たらまた大学に行けるんだ。まぁ、香さんの監視があるけどさ、俺もそばにいる。友達として一緒に、楽しいキャンパスライフを――」
「失せろ」
悠一をイジってやりつつ直也に声をかける。直也の声が聞きたい。忘れたわけじゃない。けど、直也がどんなに俺に酷いことをしたやつでも。俺は直也を諦めない。
直也は俺の1番の親友だ。その想いをぶつけようとした時だった。ゴンッ!!と、直也がガラスを殴りつけた。
「今すぐ、出て行って、はぁっ……はぁ、くれないかなぁ。うっ……僕をこんなところに閉じ込めて、生活も塗り替えて、さ。はぁ、はぁ。優位に立ったつもり?君は吐き気がするほどのお人好し、だから。でも、キモチイイの大好きだよねぇ?僕の親友だとか言って、また抱いてほしいんでしょ?あ、はぁっ……この、ド淫乱っ」
俺達と直也を隔てるガラスは、銃弾をも通さない超硬化ガラス。それに、わずかにヒビが入った。
苦しそうに肩で息をする直也の拳から、真っ赤な血がにじみ流れる。これは、殴りつけてできた怪我じゃない?よく見ると拳の内側から、強く握りしめているせいで?
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