ユキ・シオン

那月

文字の大きさ
611 / 756
再会

6P

しおりを挟む

「轟木直也。お前はもうすぐ出所じゃ。前に言うたように、今回はシオン君と猫屋敷悠一を連れてきた」


「直也、久しぶり。元気か?つっても、そう元気じゃねぇよな。毎日、ずっと心配してたぜ。本当だ。話したいことがたくさんある。けどその前に、大事な確認があるんだ」


 出所後の話を承諾したというのも、未来全てに対する諦めだな。見てわかる。今の直也は、ただ生きているだけの人形だ。


 香さんからの話を聞いて覚悟をしていたけどさ、辛い。友達だから。こんなにも絶望して光りを失ってしまった直也が悲しくて俺、泣きそう。


 我慢しねぇと。今日は、悠一に会わせて何ともないか?直也の心を、悠一の魅了の力が支配しないかの確認をしないといけないから。


 香さんが立ち上がり、ガラスを挟んだ直也の向かいのイスに悠一が座る。悠一はまっすぐ見つめるが、直也は顔を上げようとしない。


「直也。俺はシオンほど優しくないから、今でもお前を許さないし憎んでいる。けどな、シオンがお前を『何があっても大切な友達だ』って言うから。俺はお前を殺すのをやめた」


 ちょっと、緊張したんだぜ?直也を前にした悠一が我慢できずにキレて、暴れるんじゃねぇかってヒヤヒヤしてた。


 我慢はしてるんだろうけどさ。冷静に直也と向き合って、様子をうかがってる。けど直也は、わずかにも動く気配がない。


 まさか耳が聞こえない?いや、身体的異常はない、健康だって香さんが言っていた。このガラスのように、分厚い壁が俺達と直也との間にはあるんだ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

野球部のマネージャーの僕

守 秀斗
BL
僕は高校の野球部のマネージャーをしている。そして、お目当ては島谷先輩。でも、告白しようか迷っていたところ、ある日、他の部員の石川先輩に押し倒されてしまったんだけど……。

処理中です...