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譲渡会
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しおりを挟む意地悪い笑みは、すぐに凍り付いた。
「似た者同士の君が僕を『センパイ』と慕ってくれるのは嬉しいけど、利害が一致しても僕は君に協力しない。さっきの話、とても面白かったよ。まさか、魅了の力のせいでネコヤンさんに惹かれるけど本当は…………シオン君が好きなんだって、ね?」
「なっ!えっ……」
もう、真っ青。俺達が来るまでにどんな話をしていたのか、ソランさんはヒラヒラと手を振って直也の手からカルテを奪う。
「ぐっ……いや……何、全部しゃべってんの。もぉぉぉぉ……」
また、牛が出現。今度のはやたら元気のねぇ牛だなぁ?がっくりうなだれて、その場にしゃがみこんじまった。
直也を引き立たせ、トンッと背中を押せば。真っ青な顔の直也がすぐ目の前。何のことだかわからない俺と視線がぶつかって、息をのんだ。
今度は一気に顔が真っ赤。え、マジで?この反応はマジなのか?俺、悠一の恋人なんだけど。困る。
すぐ後ろの悠一がとんでもねぇ顔をしている、圧がやべぇ。シャレになんねぇくらい怒ってる気がするぜ。けど、それ以上近づいたら直也が危ねぇから。
拳を握り締めて、手の平に爪を立てて必死に怒りを我慢しているな悠一。でもな、俺だって我慢してんだ。笑うの。だってこんな、恥ずかしくて顔を真っ赤にしてる直也なんて!
「ハッ。こんな、アブナイセンパイの笑えない冗談なんて鵜呑みにしないよね、優しいシオン君は?」
「僕と君がしたことってそう変わらないんじゃないか?好きな人を自分だけのものにしたくて拉致監禁、クスリを使って無理矢理ヤってさぁ?」
「うぐっ」
「だから僕はネコヤンさんを、君はシオン君を狙って襲撃。今度こそ僕はネコヤンさんと一緒にいられる。君は魅了の力に苦しむことなく、しかも本命のシオン君を手に入れる。なんて、確かにちょうどいいけど僕はパス」
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