ユキ・シオン

那月

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譲渡会

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「轟木君を引き取るって言ったのはネコヤンさんだって?びっくりしたよ。今は薬を飲んでいるから、とりあえず夕方くらいまでは何ともないはずだけど。むやみやたらに轟木君に近づけば薬が負けるかもしれないから。あ、いや。どこまで近づけば薬が効かなくなるのかとか、情報が欲しいな。真横?触れたら?抱きしめたら……?」


「笑えねぇ冗談だな。真横と、仕方なく触れるのは許す。けどな、抱きしめるとかぜってー有り得ねぇから」


「…………うーん、割と冗談じゃなかったんだよな。轟木君。体調の変化があれば逐一報告して。僕でもドクトルでもどっちでも、って僕の方がいいでしょ。はいコレ、とりあえず1週間分ね」


 今回、ソランさんは新薬を開発した。直也が悠一と近づいても魅了の力にやられて発作を起こさないように抑制する薬。


 さすが、ドクトルが認める薬学の天才。でもまだ情報が足りない、未完成だ。改良を繰り返して完成させるためなら、手段を選ばない?やめてくれよ。


 朝食後と夕食後に飲む錠剤が1週間分入った紙袋をソランさんから受け取った直也は、顔に「僕、モルモットじゃないんだけど」と顔に書いて溜め息。


 直也は何かがあった時と、毎日寝る前にドクトルに電話をするようにとか。普段の生活については香さんから聞くようにとか説明を受けて、俺達と一緒に第2検査室を出た。


「……この1年で車まで持つなんて。人間じゃないのに、免許取れたんだ?」


「直也は助手席、悠一は俺の後ろ。文句言うな。俺は直也を信じているから、直也も俺を信じて俺の完璧な運転に見惚れてろ」


 俺の愛車に乗る時。当たり前に悠一が助手席に乗ろうとしたから追い出して、直也を押し込んだ。


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