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涙
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しおりを挟む「うわ――むぐぅ!」
「大声を出すな、シオンが起きる。そうだ、大人しく俺の言うことを聞け。おかえり」
そんなに追い詰められていたのか?突然背後から伸びてきた俺の腕に驚いて尻餅をつき、勢い余って倒れそうになった直也。慌てて腕をつかんで引っ張り、手で口を塞げば噛みつきやがった。
そんなので怯む俺じゃない。無視して口を塞ぐ手に力を込めれば、深いシワを刻んで睨みつけてくる青は大人しく逃げた。
俺が手を離すと直也は立ち上がる。俺も立ち上がりながら、手を伸ばして開けていた冷凍室の扉の奥からカチカチに凍った塊を取り出す。
電気をつけて、直也に椅子に座って待つように促せば素直に従った。フラついているのを隠せないほど、弱っている。
椅子に座った途端、直也の腹が鳴った。キュウーと、力のない音。
「お前、ここに来てからまともに食べてないんだろう?プライド高いお前が意地を張るのもわかるけどな、そんなんだと…………死ぬぞ」
「死ぬのって難しいんだなぁ。色々試したんだけどさ、ことごとく失敗したよ。はーあぁ」
「死ぬことより、生きることの方が難しいってよく言うだろう?本当に望んでいることを諦めるな。手を伸ばしていればいつか、必ず届くんだよ」
「それって実体験だったりするんですか?クスクスッ」
この子はいちいち。だったら何だというんだよ?空腹に追い詰められて限界が来ている直也は、痛むのか胃のあたりを押さえて力なく笑う。
冷凍庫から取り出したものを解凍、温めているが。直也の苦しそうなうめき声が聞こえて急いでそばへ。抱きかかえて、ソファーに寝かせる。
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