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涙
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しおりを挟むもしもあの時。過去を悔やんでも、今や未来は変えられない。俺が乱入した時、すでに直也の心は歪んでいた。
結果、直也は俺に敗北してシオンは俺に惚れて俺の恋人になった。しかも、俺達が擬人化種なものだから両親の呪縛から解き放たれたものの面倒くさいことになった。
何より、無意識に俺に惹かれてしまうというのが直也にとっては1番の絶望だろうな。
「あなたさえいなければ、僕は彼を手に入れられた。けれどそれは、当時の僕は彼の心と体を壊して手に入れたことになる。無理矢理では、意味がない」
「千川原と同じだ。光の届かない部屋で、鎖につないで自由を奪えば手に入るのは体だけ。肝心の心は一生手に入らない」
「チガハラ?あぁ、あの研究所にいたオッドアイの人か。まぁとにかく今の僕が言えるのは。猫屋敷さん。あなたに、感謝しているってことかな。…………ムカつくけど」
眉根を寄せる直也に「少し前に似たようなことがあったんだ」と、頭をポンポンしてやる。全力で振り払われた。
直也と千川原はよく似ている。研究所で話をして、共感するところもあっただろう。千川原に、見事に裏切られていたがな。
「僕が悪に染まろうが染まらなかろうが、僕じゃあきっと彼を幸せにはできなかった。あなたと出会い、あなたと心を通わせ恋人になったからこそ、彼は心から幸せになれる。彼は変わったよ。ますます強くなって、あなたと一緒だと幸せいっぱいだって顔をする。胸焼けしそう。でも、そんな彼を見てホッとしたのも事実。嫉妬なんて当たり前すぎてもうどうでもいい、嘘。本当は、あなたが羨ましい。悔しい」
「俺が、お前からシオンを奪ったようなものだよな」
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