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苦くて儚い
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しおりを挟む朝。目覚ましのけたたましい音で起床。起きようとしたら体が動かない、のはいつものことで。
毎日悠一と一緒に寝る俺は、寝ている間もずっと抱きしめられている。し、俺も抱きしめているから。体の下になっている腕が、まず痺れて動かねぇ。
なんとかもがいて腕を抜いて悠一の腕と、絡まっている足から脱出。今日は結構激しく動いたのに、悠一は全く起きる気配ナシ。
夜中、直也と2人きりで話をしていたみたいだし?朝食ができるまでは寝かせてやろう。
「直也って、いつも朝は何を食ってたんだろ?ご飯って感じはしねぇし、食パンか?いや、なんか違う気がする。むしろ朝は食わねぇのか?」
直也の朝食風景が想像もつかねぇ。食ってる感じは想像できるんだけどさ、手元と食ってるものがなぜかモザイクがかかる。ゲテモノ食ってんのか?
「ねぇ、朝から良からぬ妄想でもしてるの?」
あれやこれや想像しながら、結局、ここは俺と悠一の家だしこの家のルールに従ってもらおう。でもたまには、直也が食べたいものを食べさせてやろう。なんて考えていたら。
キッチンに直也がいた。手には水が入ったグラス。聞けば、毎日朝起きたら水を飲むんだってさ。
「おはよう。あんまり寝てないだろ?今から朝食を作るから、あんたも寝てろよ。パンでもいいだろ?」
「おはよう。…………僕が、作ってあげるよ」
ビックリした。夜中、悠一と話をして何かがあったのか?いや、直也の心を動かす何かが確実にあったんだな。でなきゃ、こんなにも自然に挨拶を返してなんかくれない。
それに、直也が作るって?今日の朝食を?
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