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轟木直也
10P
しおりを挟む倒れたのは、ソランさん。え、なんで?今まで見たことがないくらいハイテンションだったのに?興奮しすぎて?
慌てて受け止めた悠一に「うあ、ちょっと、ラッキーかも」なんて、力なく笑ってるけどさ。顔が真っ青だぜ。
「え、エネルギー切れ。最近……ドクトルに、卵の制限、かけられてて。目が、回る…………あ、ごめ――」
ボフンッ。ソランさん、力尽きて黒い蛇になっちまった。完全に伸びて気を失ってんだけど。卵の制限って何だよ?
ソランさんは蛇の擬人化種だから卵が好き。特にゆで卵。好きすぎて1日に何個も食べてしまって栄養がかたよるからと、ドクトルに注意されていたのを見たことがある。
それで、か。もしかして、卵以外食べてなかったのか?それで卵を制限されちまったら、そりゃあ倒れるな。
「おいおい。ドクトルもいないのに、直也の退院手続きはどうするんだよ?引っ越しについては笑也と話をつければ大丈夫だと思うが」
「いいんじゃない?健康管理の出来ない医者……薬剤師?なんて、自業自得でしょ。どうせ僕が拒否しても引っ越しは決定事項なんだし?出て行けば問題ない、書類なんてあとでもいいでしょ」
完全に黒くて太いヒモと化したソランさんをぶら下げて、荷物をまとめる直也を見つめる悠一。
まとめるというほど荷物もねぇから、身支度を整えてさっさと扉を開けてしまう直也。
「あのへんた……変態には、一応連絡しとくよ。ソレは、受付にでも預けておけば?クスクスッ」
言い直した。訂正するかと思いきや、わざわざ「変態」ってしっかり言い直してスマホを耳に当てながらニヤリ。あっけにとられる俺達をよそに、出て行っちまった。
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