ユキ・シオン

初めまして、人間です

５P

「男同士、裸の付き合いですか？あいにく俺は、裸の付き合いなら小説の中で十分堪能しているので結構です。まぁ…………そんなに見られたいんなら、眺めてあげるくらいならしますよ。無表情になりますが」


「………………し、死ねっ！！」


　あ。果敢に挑むも完敗した直也が逃げた。せせら笑う笑也をブン殴ろうと手荷物を振り下ろしたけど、素早く下がって避けられちまって。


　ダッダッダッダッと早足にリビングを出て、音がちょっと止まってから階段を上がる音が遠ざかる。一瞬、冷静になって説明を思い出してたな。


「ハハッ！顔、真っ赤だったな。もっと怖い人だと思ってたんですけど、面白い人ですね轟木さんって」


　いや、あんなに弄ばれる直也は初めて見たぜ。最後には返す言葉も出なくなって、顔を真っ赤にしてさ。


　楽しそうに笑う笑也は、さっき直也が手荷物をブン回した時に跳んだ直也のスマホを拾って俺達に向き直る。すげぇ勢いで叩きつけられてたけどさ、壊れてねぇか？


　飛んだスマホに気付かねぇくらい、直也は追い込まれていたんだな。あぁ、かわいそう。でも、ちょっと、面白かった。


「じゃあ、轟木直也さんはお預かりします。まぁ、それなりに仲良くなれそうなので。俺は今まで通り、仕事と学業を両立しながらですけど。シェアハウス、楽しめたらいいなって思います」


「何かあればすぐに連絡をくれ。あいつは毎日、開発途中の薬を試験的に服用するように言われている。副作用が突然出ないとも限らないからな」


「毎日？じゃあ、ちゃんと飲んでるか見張らないといけませんね。ご飯も食べない時があったんでしょう？これは家主として、しっかりしつけをしてやらないとだな」