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そうだ、お鍋にしよう!
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しおりを挟むびっくりした。えぇ、びっくりしたわよね。まさかあのユエさんが、こんな風にラファルガ君の手を取って教えてくれるだなんて。
離れたユエさんに「さっさとやれ」と睨まれ、ハッと我に返った彼は手を震えさせながらも教えてもらったように切り始める。
うん、できてる。超ゆっくりだし顔も耳まで真っ赤っかだけど。力が入っている口元も震えちゃってるけど。
「わぁ、坊ちゃん上手い上手い!教え方が上手なんですね。ぜひ俺にも教えてください、お姉さん」
「はぁ?しっかり見てたでしょっしょー?…………自分でやれ」
あやうく指を切りそうだったラファルガ君を止めたのはとっさのことだったとはいえ。教えてくれたのは気まぐれ?
カレスさんが手を叩いて声をかけると、その真意に気付いたみたい。ゴミクズでも見るような目で睨みつけて、親指を下げたわ。
あたしもわかった。ラファルガ君が顔を真っ赤にさせたのと、カレスが大興奮な理由。
ユエさんの、立派な豊胸が密着してたのよ。ずーっと、ラファルガ君の背中に。というか体が密着してたから。そしてカレス、お年頃の18歳だから。ね?
がっくりうなだれたカレスは渋々、見よう見まねで包丁を動かす。できてるじゃない。教える必要なんてないわ。うん、ないない、皆無。
ユエさんって変人だから苦手だったけど、ちょっと印象が変わったかも。知らないだけで、変人を気取った真面目で優しい人…………多分?
4人で、白菜を白と緑に分けていく。いつの間にかユエさん、またいなくなってたんだけど。
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