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潜入は慎重に
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しおりを挟む1か月以上って、相当ね。そんなに鬼死団が嫌ならさっさと辞表を出せばいいのに。
こんな人なのよ、鬼死団副団長の男は。不真面目と女遊びの酷さは皆知ってる。だから嫌われてるわ、とーってもね。
でも、アキラさんだけはたまに叱りつつも「許してやってくれ」って甘いのよね。副団長に任命したのもアキラさんだし。
「ねぇ…………ラファルガ、落ち込んでる?あの子、結構あとに引きずる子だから……」
例のビルに向けて歩いていると、不意にティンさんが足を止めることはしなかったものの、心配そうにうつむいた。
ラファルガ君のお姉さん的な存在だものね。病室に少ししかいられなかったんだもの、本当は心配でたまらない。
彼が一時的に任務を外れ義手を付けることを選んだこと、後悔やら悲しみやら悔しさで胸がいっぱいだけど顔を上げて前に進むと誓ったことを伝えたわ。
するとティンさんは足を止めた。もう見えない病院の方を振り返り「そう……大きくなったわね」と、満足そうに微笑んだ。
たしかにあの子の性格ならずっと悔やんで引きずってしまうでしょうね。だけど、それを“もうやり直すことの出来ない過去”だと割り切ってこれからのことを考える強さがある。
何度も修羅場を乗り越えてきただけはある、強いわよ。格好いいじゃない?
それから、ティンさんにもユエさんから副団長の目撃情報があったことを伝えたわ。一瞬立ち止まって無表情になったのち「そう」って呟いて、溜め息を吐いて歩き出した。
呆れるわよねぇ。楽しい楽しいデート中だろうが何だろうが、見つけたら即刻ブン殴って別れさせてやる。
「ナツメ、結構怖いことを考えるんだね」
歩きながら顔を寄せてヒソヒソ囁いてきたマクベス。こんな時に悟らないでよ!軽く睨んでやったら微笑まれちゃった。
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