恋人以上、永遠の主人

那月

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潜入は慎重に

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 ――ラファルガ君が言っていた場所のあたりまで来たけど、どのビルだろう?灰色のビルって言っていたわよね。大体どれも灰色なんだけど。


 あ、あれかしら?それっぽい特徴のビルを見つけて玄関の前に立ってみる。


「……休業中、関係者以外立ち入り禁止って書いてある。怪しい、このビル?」


「え、どこに?看板なんて……」


「えっ?ドアのガラスに張り紙、これに書いてるけど…………お2人には、見えて、ない?」


 ティンさんがビルの正面玄関のガラス戸を指さすけれど、あたしには張り紙なんて見えないわ。マクベスも首を横に振っているし、ということは……


「俺達、永遠の鬼追いには通用しない。カムフラージュの幻術。ビンゴ、ここが小童子達の根城ということだな」


 そう言うや否や、マクベスはなんとガラス戸の前に立って右腕を振りかぶる。次の瞬間ヒュッガッシャーンッ!!と、けたたましい音を響かせてガラス戸が粉々。


 呼び出したエクスカリバーで叩き斬ったのよ。どう考えても、音で敵に気付かれちゃうじゃない。


 ティンさんも呆気にとられてポカンとしちゃってるわ。どうすんのよ!?


 1階から上に順に調べていって、小童子がいたら片っ端から殲滅。誘拐された子供を見つけたら安全そうな場所に隠しておく。


 で、幻術を使う女を見つけたら自由を奪うなり気絶させるなりして、マクベスに情報を引き出してもらう。


 そういう作戦なのに。マクベスあんた、アキラさんの話ちゃんと聞いてた!?何よその楽しそうな顔。遠足に来た子供みたい。


 冒険だー、ワクワク。なんて気分にはなれないわよ。とりあえず「バカッ」って脇腹をギュウッとつねってあげたわ。


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