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潜入は慎重に
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しおりを挟む悶絶するマクベスを置いて先に中に入ると、複数の動いている気配を感じる。小童子でしょうね。
あと、ずっと高いところに小童子とは明らかに違う気配が2つ。幻術使いの女ね。え、2つ?じゃあもう1つは誰?
考えたって仕方がないから、合流したマクベスを先頭に進むことにしたわ。とりあえず1階には誰もいないから階段を登る。
ティンさんによると、中はスーツを着た人間がまるで本当に仕事をしているように動いているように見えるんだって。
感覚的に“見える”人間を避けるような動作をしてしまうんだけど、誰もいないことを伝えると苦虫を噛み潰したような顔になってまっすぐ歩きだした。
きっと、たまに実体のない会社員をすり抜けているんでしょうね。まさにすり抜けているんであろうその時、歯を食いしばっちゃってるもの。
あたしとマクベスに幻術が効いていなくて“現実”が見えている。永久の鬼追いだから?それとも、晴明様の魂の欠片を保有しているから?
何にしても、幻術対策は「かかってない人がかかっている人をビンタでもして引き戻す」だから、ティンさんが直接幻術をかけられちゃったらビンタしなきゃ。
そうならないことを願うけど、あたしとマクベスに幻術が効かないのは良かったわ。
2階も何もなくて3階に上がる手前でマクベスが足を止めた。壁の陰に隠れながら「ストップ、子供が5人いるよ」と、軽く手を上げている姿はさながら刑事ドラマのワンシーンみたい。
あたし達は刑事ね。悪者の子供は……んー、誘拐された子供か小童子かイマイチ区別がつかないわ。ティンさんの紫色の瞳にも同じものが見えているみたいだし。
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