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不幸は幸運
4P
しおりを挟むそしてメディアにも、地震の情報は一切なかった。暗い顔をうつむかせて、さらにキツネは話を続ける。
「不可解なのはそれだけじゃない、あのイノシシもおかしかったんじゃ。旦那と神那ちゃんの姿が見えなくなった途端にバラバラになって、僕が軽く脅かしただけで飛び逃げたんじゃ」
キツネは小娘がこれ以上恐怖しないよう言わなかったが、小娘が眠っている間にその話を聞いた。まるで、誰かに操られているみたいだったと。
もしも仮にそうだとすれば、イノシシは俺か小娘を狙っていたと推測される。
だがこの時代、野生のイノシシが人間を見分けられるほどの頭脳を持っているとは思えない。ましてや標的だった俺達がいなくなったからとはいえ、敵意むき出しのキツネの相手をせずに逃げるなんて。
妖狐と化した狐が、化かす力を応用して相手を操ることもできなくはないと言っていた。もちろんキツネはできない。自分が別人に化けることなら少しくらいはできると言っていたな。
まぁそれも、化ければかなり疲れるからと言って全く見たことはないが。キツネが別人に化けても、俺にはすぐにわかるだろうな。
きっとあれだ。化けても、ジジイ口調が抜けないしすぐに見抜かれるから恥ずかしくて化けないんだろう。そうに違いない。
キツネは他の狐との交流はほぼ全くないが、そういうことができる狐がいるとも聞いたことがない。
獣を操るくらいなら人間でもやりかねないが、近くに気配はなかった。まさか、緊急だったとはいえこの俺が感知できなかったのか?
いや、それはないな。なにせ俺はずっと人間を避けてきた。わずかにでも近づけば察知して、安全な場所へと逃げて寝ていたからな。
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