惰眠童子と呼ばれた鬼

那月

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不幸は幸運

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 小娘の小さく丸い頭を撫でてやれば震えが治まり、不思議そうな目で俺を見上げる。本当に小さいな。片手でつかんで持ち上げられそうだ。


 実年齢よりは若干若く見える、大きめの茶色い2つの瞳。たくさんの、大切な人達の死を見てきた瞳。


 俺は人間が、特に女が嫌いだが、伸ばされてきた神那の手を振り払うことができなかった。向こうが俺の手をつかんで離さないんだが。


 振り払うのはたやすい。だが、俺が1度でも手を離せば、小娘は2度と手を伸ばさなくなる。表面上は強気でいるが、内は弱い。簡単に傷ついて何も信じなくなる。


 そうなれば小娘は、今度こそ“死”に食われるだろう。頭からパクリ。


 守ってやるか?1週間の内あと5日は、そうするしかあるまい。快適な衣食住が確保されるんだ、嫌なことばかりではない。と、思っておこう。


 特にキツネはやる気満々。神那のことを陰ながら知っていたんだし住み着いていたんだし、それなりの愛着……というか親近感があるんだろう。


 小娘がどんな生活を送ってきたのかを知っているからこそ、家で1人きりになった時の本当の小娘を知っているからこそ、心から心配できる。


 そこが俺とキツネが根本的に違うところだな。俺は興味が湧かないと行動に移せない、自分に利益がないならなおさら嫌だ。


 今回は特別だ。特に興味はなかったが、というかやる気もなければ全力で拒否したい案件。なぜなら、面倒くさい。その一言に尽きる。


 しかし、俺のことをなぜか知っていた。ヤモリの力が効かないくらいの強い想いを抱いていたんだからな。それに何より、小娘の、神那と目を合わせれば俺の首は勝手にうなずいていたんだ。


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