惰眠童子と呼ばれた鬼

那月

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気配

7P

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「え、神那ちゃん帰ってしまわれるのですか?せっかくお布団の用意も人数分しておいたのですが。広いお風呂で女子トークでもと思っていましたのに……」


「広いお風呂……ゴクッ。あっ、ごめんなさい小夜さん。明日も学校なので荷物を入れ替えないといけないし、せっかくですが今日はこの後帰りますね」


 今、「広いお風呂」に心が揺らいだだろう?小夜は小娘との「女子トーク」なるものを楽しみにしていたようだが、小娘に意志は固い。


 女達は大層残念そうだが、キツネは少しホッとしているようだ。さすがに、小娘以外の女がいる宿でぐっすり眠れる自信がないのだろう。


 そんなキツネのこともわかっている――散々悲鳴を上げられたからな――から、小娘は賑やかに鍋を食いながらキツネの様子をさりげなく窺っていた。


 無理はしていないだろうかと。気遣いができる小娘だ。会話に参加しようとしない俺に目を向けては、ちゃんと食べているかと声をかけていた。


 それだけ他人のことを気遣う、気にしてしまう小娘だ。早々に帰宅することを選んだのも、自分に付きまとう不吉な謎の不幸を考えてのことだろう。


 小娘の巻き添えを食うかもしれない。あの奇妙な地震も小娘に関係することかもしれないと和比呂が言っていたからな。



 秋月家がこの世とは隔離された空間にあるとはいえ、今度は何が起こるかわからぬ。しかも和比呂が不在の時に小夜に怪我なんかさせてみろ。面倒くさいことこのうえない。


 ということであっという間に食べ終わり、10分ほど談笑したのち俺達は秋月家を出た。小夜の手料理はどれも美味かった、和比呂が自慢するだけはある。


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