能ある鬼は角を隠す

那月

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逃した魚は大きいし美味い

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「はぁっ!あつ君はともかく、この私を甘々に見るなんて馬鹿ね!そうだ、ちょうどあつ君じゃあ物足りないと思ってたところなの。稽古相手、あんた達でいいわ。強い相手がいいの、2人まとめて来なさい!」


 和紗は男が持つ竿を打ち、すぐに大きく跳び下がると打った竿を手に引っかかっている釣り針を外す。


 竿をそこら辺に投げ捨てると「あ、僕の竿だ」なんて聞こえたが気にせず、男2人と向き合い木刀を手に身構える。


 瞬間、木刀が和紗の手の中からはじけ飛んだ。バンッ!と鋭い音が響き、敦彦の背中に座っていた男が一瞬でもう1人の男の隣へ。


 手に細い煙を吐く銃を持った男と、一瞬で移動してきた男は同じ顔。まるで鏡を見ているかのように、顔の半分を覆っている長い前髪が右か左かの違いだけ。


 双子だ。もう1人の男も、同じ銃を懐から取り出して和紗に向けるとニヤリと笑った。


「別にいいけど、丸腰の女の子を相手に手加減なんてできないよ?俺達、ハチの巣にするの大好きだもんねぇー?」


 双子の男はそれぞれ銃を向けたまま、もう片方の手を懐に突っ込む。そして、もう1丁の銃を向けた。全部で4丁だ。


 からかい、脅しのつもりか?笑って楽しんでいるのか?黄色っぽい柑子色の2つの瞳からは、何も感じない。


 銃1丁が相手でも、刀は間合いの関係で不利となる。それなのに、相手は2人で銃は4丁。和紗は木刀を失って、己の体のみ。


 誰がどう考えても。和紗のこめかみを汗が伝い落ちる。ジリジリッ、膝を曲げ身構えた足が震えわずかに下がってしまう。


 動けない。声が出ない。目を反らしたら、その瞬間に撃たれる。どうすればいい?突然の展開に、焦る和紗。


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