能ある鬼は角を隠す

那月

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逃した魚は大きいし美味い

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 敦彦は入れ替わっていた。左京が敦彦の背中から退いた瞬間だろう、4本の角を生やした女鬼が敦彦として我が子のお遊びを叱りに来たのは。


 この女鬼は、右京と左京が「おふくろ」と叫ぶように2人の母親である。


「問いに答えなさい、右京左京。和紗ちゃん以外の者が新しい鬼神になったら、その者の命を聞ける?一生付き従うって誓える?」


 スッと笑顔を消した2人の母親、雅美華南はただの母親ではない。


「おふくろがなんでそんなに和紗に肩入れするのかわからない。俺は、和紗は部の試験で敗退すると思っている。誰が新しい鬼神になっても、従うかどうかは関係ない」


「俺も。俺達がおふくろのあとを継いで三童子になったら、気に入らなくても鬼神には従わざるを得ない。宿命だからな」


 前者、左京。後者、右京。2人共、銃をしまって腕を組む。その答えに華南は「あんた達……」と、酷く悲しそうにうつむいた。


 雅美華南は右京と左京の母親であり、三童子の1人だ。いずれは右京と左京が、あるいは片方が受け継ぎ新しい鬼神の直属の部下になる。


 だから明日の試験は右京と左京にとっても非常に重要なもの。現在の三童子の1人である華南が和紗を認めているのに、なぜ2人は認めない?いや、誰でもいいのか。


「従わないといけないのは、仕方がないですよね。それは僕も同じです。でも、和紗だったらいいなって。いや、和紗でないといけないんです。それは前鬼神の血を引いているからでもあるし、彼女の才が確かだから」


 和紗の肩を抱いて立たせた敦彦は、そう言うと和紗の背中を叩いた。


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