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逃した魚は大きいし美味い
13P
しおりを挟む右京と左京が、飲んでいたお茶を「ブーッ!」と噴いた。和紗と華南が箸を落とした。そして敦彦は、ゆっくり味わうようにすすっていた味噌汁を、ダパァ。
「な、なんだ皆して。華南さんまで。冗談などではないぞ?」
「いやいやいや、恒彦様。敦彦に和紗はさすがに合わないですよ」
「左京の言うとおり。こんなに気が弱くちゃあ、気が強くて腕っぷしまで強い和紗の方が格好いいってもんだぜぇ。敦彦のオトコが立たなくなる」
この反応からして、恒彦以外の誰もが敦彦と和紗が夫婦になる姿を想像できなかったんだというのがよくわかる。
右京と左京は親同士の関係から敦彦と和紗とは幼なじみも同然。敦彦と和紗からすれば兄のような存在。空き地で2人に銃を向け脅すようなことをしても、本当は仲がいい。
けれど男だ。和紗に、幼なじみ以上の感情がないわけがない。
自分達が女たらしだから、銃を向けるから夫候補にすら入らなくても。ひそかに、慣れたらいいなと思っている彼らがいる。
そんな本心もあって、恒彦の発言を全力で否定。敦彦に「お前も断れよなぁ」と、肩を組んでふきんを渡す左京。
敦彦、口から味噌汁を垂れ流したまま完全に固まってしまっているが。何を考えている?何も考えられないか。
皆の反応にすっかり困った表情の恒彦は、やはり本気だったらしい。やっと焼けた大きな魚の頭に箸を伸ばし、脂ののった身を食べその美味しさに自分の発言を忘れるんじゃないかというほどの「美味い」をこぼす。
自分のと和紗の箸をすすいで洗ってから戻ってきた華南は咳払い。恒彦に続いて焼けた頭の身を口へと運ぶ。
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