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見られているということ
3P
しおりを挟む「な、何か泣き叫びながら山から出てきたから。何事かと思って飛んできちゃいました。一体何があったんですか、駿河さん?」
心配だが近寄ることができずワタワタする少女。敦彦の知り合いだ。
なんとか、深呼吸を繰り返し暴れる心臓を落ち着かせた敦彦は立ち上がった。背中を伸ばし「驚かせて、ごめん」と苦笑い。
もう1度後ろを振り返って、怪しい男も大きな大蛇も追って来ないことを確認すると少女が働いている小さな店へ。
「ねぇ琴音ちゃん。あの山の神様みたいに大きな大蛇って見たことある?」
「だ、大蛇ですか?いえ、見たことはないです。それにあの山の神様は3つの金色の目と3本の足を持つ、漆黒の八咫烏のはずですから」
「そうなんだ?初めて聞いたな。いや、さっきとてつもなく大きな大蛇に遭遇して――」
財布などにつける根付やちょっとしたかんざし、部屋に飾る小物などを置いている小物屋。「琴音ちゃん」と呼ばれた少女が奥から持ってきた椅子に座り、大蛇のことを話した敦彦。
用意した、白湯が入った湯呑みを傾け一息ついた敦彦には、今でもさっきのことが白昼に思えてならない。
さっきと負った山にはちゃんと神と呼ばれている生き物がいる。琴音が言った「3つの金色の目と3本の足を持つ漆黒の八咫烏」がそうだ。
あの山に頻繁に出入りする鬼は、ごくごくたまに遭遇するのだそうだ。なぜ神だとわかるのか?遭遇した鬼は皆、山で困っているところを助けられたからだ。
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