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見られているということ
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しおりを挟むある者は初めて山に入り道に迷い夜になって大泣きしていたところを、淡い光をまとって現れた八咫烏が爪を引っかけて引っ張り山の外にまで道案内をしたとか。
またある者は、大きなイノシシを捕まえるための罠に足を引っかけ。1人だったし助けを呼ぶことも罠を外すこともできなかったが。どこからか現れた八咫烏がツンッとちばしで突くと罠が外れたんだとか。
あと、岩肌の急こう配で足を滑らせ転落。足や腕、あばらも折って死を待つのみだった者も。フラリと目の前に降り立った八咫烏に、漆黒の翼で視界を覆い隠された。次の瞬間には全ての怪我が治っていたのだという。
鬼に対してだけではない。間違って罠にかかってしまった瀕死の野ウサギ、狩猟により銃で撃ち落とされた鷹もまた、突然現れた八咫烏により瞬く間に傷を癒されていたのだと目撃証言。
「大蛇の神様でしたら、ここから東に山を5つ越えた先にある大きな山にいらっしゃると噂を聞いたことがあります。こんな所まではるばるお散歩、でしょうか?」
「いや、さすがにそれはないと思う。久しぶりに琴音ちゃんとゆっくり、話でもしながら何か買おうと思っていたけど…………ごめん。巻き込んだみたいだ」
淡いピンク色の花飾りがついたかんざしを眺めていた敦彦が、ゴトンッと空になった湯呑みを置いた。
何のことだかわからず「え?」と首を傾げた次の瞬間、琴音は敦彦に思い切り突き飛ばされた。勢い余って、壁に背中を打ちつけ息を詰まらせる。
その、琴音がいた所にヒュンッ!と銀色の閃光。続けてヒュンッヒュンッ!と連続で空を切る音が聞こえ、顔を上げれば敦彦が何者かに襲われているじゃないか。
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