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第4話
しおりを挟む水球の一件以降、陸上大会が終わった後もまっしーは教室でよく俺に絡んできてくれるようになった気がする。
体育の授業でも俺は球技のたびにボールを常にまっしーにパスするbotと化してた訳で、(まっしー以外にパスをしないから読まれているが、そのかわし方も上手くなった!)自然とまっしーの舎弟のような子分のような立ち位置になっていた気がする。
今ままでとは違うポジション、気兼ねなくまっしーに話しかけられて、話しかけられる。
俺はそれが嬉しくて、率先して自販機でジュースを買ったりお菓子を買ってきてまっしーにあげたりしたんだが、まっしーに怖い顔で「二度とすんじゃねェ」と言われて泣きそうになった。何故だ。
まっしーと出た最後の陸上大会でリレーの結果はいつも通り3位だった。ウチは地域では3番目の大きさの学校でいつだって1位、2位は大きな学校が争っていたものだ。今回1位だった学校とは3年間戦い続けてきたのだが、田舎の学校とは思えない全員11秒フラットの選手が揃う黄金世代で、今回は大会記録が出たらしい。
涙は出なかった。
俺は第一走者で、いつもまっしーにバトンを渡す。きっかり歩幅15で走り出すまっしーとピタリと息があったーー
今日もそうだった。走り終わった後は第二走者のスタート付近の芝生で呆然と突っ立ってた。
もう明日からまっしーと走ることが二度とないんだという事実に気がついてしまっから。
バシバシッ!!と背中をたたかれる。
振り返るとまっしーだった。
まっしーは空を見上げのびをすると、「終わったな」と呟きテントの方に去ってしまった。
秋が終わり、いよいよ受験が近づいてきた。俺は推薦での進学の目処がたっていたため。そう焦ることはなかったが、まっしーは離れた工業高校の機械科に進学すると言っていた。
「まっしーそこ答え3x-1だよ」
「あ?そンな訳……ちっ…クソだりぃ」
ゴシゴシと消しゴムでノートを擦るまっしー。まっしーは勉強が、特に数学が苦手だったから俺が教えていた。
まっしーのかっこ良さを受験の成績でしか評価できない高校なんてクソだと思ったが、しょうがない。
俺なら面接だけで問答無用で合格にするんだけどなとため息をつく。
「なんだよ、俺に教えンのそんなに面倒かよ」
「違うよ、俺が試験管ならまっしーは面接だけで一発合格なのにって思ってただけ。」
「お前って…いや、いい。」
まっしーはハアとため息をつくと。机に伏せた。
「まっしーどうしたの?体調悪い?」
「いや、少しダルくなった。」
受験ってめんどうだよな、さっさと終わっちまえばいいのにと呟くまっしーに胸が締め付けられる。
受験が終わればもうまっしーに会えなくなるからだ。
ふと外を見るとチロチロと白く雪が降ってきた。そういえば今朝からキンっと体の芯からつきささるような冷たさがあった。
「まっしー?そろそろ帰らない?雪が降ってきたよ?」
まっしーは伏せたまま静かに寝息を立てていた。震える指先でそっとまっしーの頭に触れ、そっと3回ほど撫でてみた。毛質は硬いけど、ツヤツヤとした柔らかな手触りに泣きたくなる
「まっしー・・・・好き、すっ・・きだ・・ッ」
嗚咽が堪えきれずに溢れ出す
大好き、大好きなんだまっしー
ごめん、ごめんなさい
もうちょっとだけそばにいさせて欲しい。
涙がまっしーに溢れないように奥歯を噛み締めて上を向く。
(心を空っぽにしてーーダライ・ラマのことでも考えよう)
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