終わらせた初恋

ちくぜん

文字の大きさ
4 / 5

第4話

しおりを挟む

水球の一件以降、陸上大会が終わった後もまっしーは教室でよく俺に絡んできてくれるようになった気がする。

体育の授業でも俺は球技のたびにボールを常にまっしーにパスするbotと化してた訳で、(まっしー以外にパスをしないから読まれているが、そのかわし方も上手くなった!)自然とまっしーの舎弟のような子分のような立ち位置になっていた気がする。


今ままでとは違うポジション、気兼ねなくまっしーに話しかけられて、話しかけられる。

俺はそれが嬉しくて、率先して自販機でジュースを買ったりお菓子を買ってきてまっしーにあげたりしたんだが、まっしーに怖い顔で「二度とすんじゃねェ」と言われて泣きそうになった。何故だ。

まっしーと出た最後の陸上大会でリレーの結果はいつも通り3位だった。ウチは地域では3番目の大きさの学校でいつだって1位、2位は大きな学校が争っていたものだ。今回1位だった学校とは3年間戦い続けてきたのだが、田舎の学校とは思えない全員11秒フラットの選手が揃う黄金世代で、今回は大会記録が出たらしい。


涙は出なかった。
俺は第一走者で、いつもまっしーにバトンを渡す。きっかり歩幅15で走り出すまっしーとピタリと息があったーー
今日もそうだった。走り終わった後は第二走者のスタート付近の芝生で呆然と突っ立ってた。
もう明日からまっしーと走ることが二度とないんだという事実に気がついてしまっから。

バシバシッ!!と背中をたたかれる。
振り返るとまっしーだった。
まっしーは空を見上げのびをすると、「終わったな」と呟きテントの方に去ってしまった。


秋が終わり、いよいよ受験が近づいてきた。俺は推薦での進学の目処がたっていたため。そう焦ることはなかったが、まっしーは離れた工業高校の機械科に進学すると言っていた。


「まっしーそこ答え3x-1だよ」
「あ?そンな訳……ちっ…クソだりぃ」

ゴシゴシと消しゴムでノートを擦るまっしー。まっしーは勉強が、特に数学が苦手だったから俺が教えていた。
まっしーのかっこ良さを受験の成績でしか評価できない高校なんてクソだと思ったが、しょうがない。
俺なら面接だけで問答無用で合格にするんだけどなとため息をつく。

「なんだよ、俺に教えンのそんなに面倒かよ」
「違うよ、俺が試験管ならまっしーは面接だけで一発合格なのにって思ってただけ。」
「お前って…いや、いい。」

まっしーはハアとため息をつくと。机に伏せた。
「まっしーどうしたの?体調悪い?」
「いや、少しダルくなった。」

受験ってめんどうだよな、さっさと終わっちまえばいいのにと呟くまっしーに胸が締め付けられる。

受験が終わればもうまっしーに会えなくなるからだ。

ふと外を見るとチロチロと白く雪が降ってきた。そういえば今朝からキンっと体の芯からつきささるような冷たさがあった。

「まっしー?そろそろ帰らない?雪が降ってきたよ?」

まっしーは伏せたまま静かに寝息を立てていた。震える指先でそっとまっしーの頭に触れ、そっと3回ほど撫でてみた。毛質は硬いけど、ツヤツヤとした柔らかな手触りに泣きたくなる

「まっしー・・・・好き、すっ・・きだ・・ッ」

嗚咽が堪えきれずに溢れ出す
大好き、大好きなんだまっしー
ごめん、ごめんなさい
もうちょっとだけそばにいさせて欲しい。


涙がまっしーに溢れないように奥歯を噛み締めて上を向く。



(心を空っぽにしてーーダライ・ラマのことでも考えよう)



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

白花の檻(はっかのおり)

AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。 その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。 この出会いは祝福か、或いは呪いか。 受け――リュシアン。 祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。 柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。 攻め――アーヴィス。 リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。 黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。 王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。

クズ彼氏にサヨナラして一途な攻めに告白される話

雨宮里玖
BL
密かに好きだった一条と成り行きで恋人同士になった真下。恋人になったはいいが、一条の態度は冷ややかで、真下は耐えきれずにこのことを塔矢に相談する。真下の事を一途に想っていた塔矢は一条に腹を立て、復讐を開始する——。 塔矢(21)攻。大学生&俳優業。一途に真下が好き。 真下(21)受。大学生。一条と恋人同士になるが早くも後悔。 一条廉(21)大学生。モテる。イケメン。真下のクズ彼氏。

君に二度、恋をした。

春夜夢
BL
十年前、初恋の幼なじみ・堂本遥は、何も告げずに春翔の前から突然姿を消した。 あれ以来、恋をすることもなく、淡々と生きてきた春翔。 ――もう二度と会うこともないと思っていたのに。 大手広告代理店で働く春翔の前に、遥は今度は“役員”として現れる。 変わらぬ笑顔。けれど、彼の瞳は、かつてよりずっと強く、熱を帯びていた。 「逃がさないよ、春翔。今度こそ、お前の全部を手に入れるまで」 初恋、すれ違い、再会、そして執着。 “好き”だけでは乗り越えられなかった過去を乗り越えて、ふたりは本当の恋に辿り着けるのか―― すれ違い×再会×俺様攻め 十年越しに交錯する、切なくも甘い溺愛ラブストーリー、開幕。

【完結】番になれなくても

加賀ユカリ
BL
アルファに溺愛されるベータの話。 新木貴斗と天橋和樹は中学時代からの友人である。高校生となりアルファである貴斗とベータである和樹は、それぞれ別のクラスになったが、交流は続いていた。 和樹はこれまで貴斗から何度も告白されてきたが、その度に「自分はふさわしくない」と断ってきた。それでも貴斗からのアプローチは止まらなかった。 和樹が自分の気持ちに向き合おうとした時、二人の前に貴斗の運命の番が現れた── 新木貴斗(あらき たかと):アルファ。高校2年 天橋和樹(あまはし かずき):ベータ。高校2年 ・オメガバースの独自設定があります ・ビッチング(ベータ→オメガ)はありません ・最終話まで執筆済みです(全12話) ・19時更新 ※なろう、カクヨムにも掲載しています。

恋と脅しは使いよう

makase
BL
恋に破れ、やけ酒の末酔いつぶれた賢一。気が付けば酔っぱらいの戯言を弱みとして握られてしまう……

先輩のことが好きなのに、

未希かずは(Miki)
BL
生徒会長・鷹取要(たかとりかなめ)に憧れる上川陽汰(かみかわはるた)。密かに募る想いが通じて無事、恋人に。二人だけの秘密の恋は甘くて幸せ。だけど、少しずつ要との距離が開いていく。 何で? 先輩は僕のこと嫌いになったの?   切なさと純粋さが交錯する、青春の恋物語。 《美形✕平凡》のすれ違いの恋になります。 要(高3)生徒会長。スパダリだけど……。 陽汰(高2)書記。泣き虫だけど一生懸命。 夏目秋良(高2)副会長。陽汰の幼馴染。 5/30日に少しだけ順番を変えたりしました。内容は変わっていませんが、読み途中の方にはご迷惑をおかけしました。

処理中です...