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3.元聖女は冒険者として仕事をします。
第49話
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今日も起きたらまず冒険者ギルドに行きます。
ギルドの中に入ると、今はギルドのお手伝いをしてるテムズさんが、壁にぺたぺたと依頼を貼っている……。
「今日は何だかいつもよりたくさんありますね……」
そう言うと、テムズさんは「そうなんだよ」と言って、掲示板が埋まってしまっているので椅子を置いて、その上に登って高いところに紙を貼り付けていく。
カウンターの中からリルさんが私に話しかけた。
「行商の人と旅人から、道中の護衛依頼が多いのよ。キアーラの横を通ってルシドドの町に行くルートに最近魔物がたくさん出るみたいなの」
『ルシドド』っていうと、私と最初に会った時にステファンとライガも『ルシドド』からこの街までテムズさんの護衛をしてたって言ってたなあ。
『ルシドド』はどこの国でもない独立した大きな町で、海にも面してるから、商人の人たちがたくさんいるってステファンが言ってたっけ。
リルさんは「はぁ」とため息をついた。
「そっちにうちの冒険者がけっこう行っちゃって……、いったん行くとしばらく戻ってこないから、こっちの魔物退治とか魔術師ギルドからの収集依頼なんかに人手が足りないの。私も現場に行かないとかしら」
「私、手が空いてますよ。私もそろそろ魔物退治ですかねっ」
私はウキウキして言った。
私の仕事は、出発する人たちに退魔の祈りをしてばっかりで、それはそれで大切なことだと思うんだけど……。そろそろ、ステファンたちと一緒に山に入ったりもしてみたい。
テオドールさんの教会に何回か通って、祈りの効果についても聞いたし、――相変わらず精霊の気配っていうのははっきりとはわからないけど、回復魔法についても習っていて、少しの擦り傷くらいなら、時間をかければ治せるようになってきた。
たくさん食べて寝て体力も前よりついた気がするし!!
「魔物退治なんて、そんなに楽しいものじゃないわよぉ。服だってどろどろになるし……、怪我したりもするし……、疲れるし……、髪もぼさぼさになるし……、日焼けするし……」
「はぁぁぁ」とリルさんは受付に突っ伏して深いため息をついた。
「それに、レイラちゃんが出発前に祈ってくれると怪我が少なくて、とっても助かってるわ」
リルさんは起き上がると、気を取り直したみたいに、「今日もお願いね」とウィンクした。
***
商人さんの護衛に出発する人もいるみたいで、今日はいつもより多い人に祈らないといけない。
順番に祈っている途中、私は誰かに近くで顔を見られている気配がして、祈りの言葉を途中で止めて目を開けた。
「わぁ」
思わず声を出す。黒いローブを被った赤毛の女の子の顔が目の前にあった。
私が目を開けてびっくりしたのか、 「きゃぁ」とその子も声を上げて、後ろへ下がった。
「な、なんですか?」
見上げると、その女の子は少し腰を落として私と目線を合わせた。
「近くで見るとほんっとうに子どもじゃない。ステファンってやっぱり小人好きの****」
私がぽかんとしてると、彼女は途中から口だけパクパクさせて、いつかの沈黙の呪文をかけられたノアくんみたいになってしまった。
「ヤキモチ焼いて、あることないこと言うんじゃないわよ、ソーニャ」
受付から出てきたリルさんが杖を持って呆れたように言った。
「*******」
ぱくぱくしてる彼女にリルさんは「えい」ともう一回杖で触れる。
「****そ、あ、声出るっ、そ、そんなんじゃないです」
ソーニャさんはぷいっと私から顔を背けるとリルさんを睨んだ。
「はいはい。あんまり人の悪口ばっかり言ってると、魔術師ギルドに素行不良で報告しちゃうわよ」
リルさんはため息をついて、ソーニャさんの連れの、剣を持った男の人を指差した。
「せっかく新しくパーティー組んでもらったんだから、余計なこと騒いでないで早く仕事に行ってらっしゃい」
「分かってます! 行ってきます! ジャン、行こうっ」
ソーニャさんは私を、まだ何か言いたい事がありそうな視線で一瞥してから、その剣士の人を引っ張って去ってしまった。
「あ、まだ祈りの途中……だったんですけど……」
私はわけがわからず呟いた。
ギルドの中に入ると、今はギルドのお手伝いをしてるテムズさんが、壁にぺたぺたと依頼を貼っている……。
「今日は何だかいつもよりたくさんありますね……」
そう言うと、テムズさんは「そうなんだよ」と言って、掲示板が埋まってしまっているので椅子を置いて、その上に登って高いところに紙を貼り付けていく。
カウンターの中からリルさんが私に話しかけた。
「行商の人と旅人から、道中の護衛依頼が多いのよ。キアーラの横を通ってルシドドの町に行くルートに最近魔物がたくさん出るみたいなの」
『ルシドド』っていうと、私と最初に会った時にステファンとライガも『ルシドド』からこの街までテムズさんの護衛をしてたって言ってたなあ。
『ルシドド』はどこの国でもない独立した大きな町で、海にも面してるから、商人の人たちがたくさんいるってステファンが言ってたっけ。
リルさんは「はぁ」とため息をついた。
「そっちにうちの冒険者がけっこう行っちゃって……、いったん行くとしばらく戻ってこないから、こっちの魔物退治とか魔術師ギルドからの収集依頼なんかに人手が足りないの。私も現場に行かないとかしら」
「私、手が空いてますよ。私もそろそろ魔物退治ですかねっ」
私はウキウキして言った。
私の仕事は、出発する人たちに退魔の祈りをしてばっかりで、それはそれで大切なことだと思うんだけど……。そろそろ、ステファンたちと一緒に山に入ったりもしてみたい。
テオドールさんの教会に何回か通って、祈りの効果についても聞いたし、――相変わらず精霊の気配っていうのははっきりとはわからないけど、回復魔法についても習っていて、少しの擦り傷くらいなら、時間をかければ治せるようになってきた。
たくさん食べて寝て体力も前よりついた気がするし!!
「魔物退治なんて、そんなに楽しいものじゃないわよぉ。服だってどろどろになるし……、怪我したりもするし……、疲れるし……、髪もぼさぼさになるし……、日焼けするし……」
「はぁぁぁ」とリルさんは受付に突っ伏して深いため息をついた。
「それに、レイラちゃんが出発前に祈ってくれると怪我が少なくて、とっても助かってるわ」
リルさんは起き上がると、気を取り直したみたいに、「今日もお願いね」とウィンクした。
***
商人さんの護衛に出発する人もいるみたいで、今日はいつもより多い人に祈らないといけない。
順番に祈っている途中、私は誰かに近くで顔を見られている気配がして、祈りの言葉を途中で止めて目を開けた。
「わぁ」
思わず声を出す。黒いローブを被った赤毛の女の子の顔が目の前にあった。
私が目を開けてびっくりしたのか、 「きゃぁ」とその子も声を上げて、後ろへ下がった。
「な、なんですか?」
見上げると、その女の子は少し腰を落として私と目線を合わせた。
「近くで見るとほんっとうに子どもじゃない。ステファンってやっぱり小人好きの****」
私がぽかんとしてると、彼女は途中から口だけパクパクさせて、いつかの沈黙の呪文をかけられたノアくんみたいになってしまった。
「ヤキモチ焼いて、あることないこと言うんじゃないわよ、ソーニャ」
受付から出てきたリルさんが杖を持って呆れたように言った。
「*******」
ぱくぱくしてる彼女にリルさんは「えい」ともう一回杖で触れる。
「****そ、あ、声出るっ、そ、そんなんじゃないです」
ソーニャさんはぷいっと私から顔を背けるとリルさんを睨んだ。
「はいはい。あんまり人の悪口ばっかり言ってると、魔術師ギルドに素行不良で報告しちゃうわよ」
リルさんはため息をついて、ソーニャさんの連れの、剣を持った男の人を指差した。
「せっかく新しくパーティー組んでもらったんだから、余計なこと騒いでないで早く仕事に行ってらっしゃい」
「分かってます! 行ってきます! ジャン、行こうっ」
ソーニャさんは私を、まだ何か言いたい事がありそうな視線で一瞥してから、その剣士の人を引っ張って去ってしまった。
「あ、まだ祈りの途中……だったんですけど……」
私はわけがわからず呟いた。
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