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5.元聖女は自分のことを知る決心をしました。
第123話(ステファン視点)
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「グレンダさん……、王都のギルド所長のあなたが、こんなところで何やってるんですか?」
グレンダは「やれやれ」という表情で肩を持ち上げた。
この人の、人を小馬鹿にしたような魔法使いによくいそうな仕草は腹が立つ。
――僕らなんて、魔法でどうとでもなると、思っているな、たぶん。
「――何って、旧友と会っていただけよ。――エド、貴方は先に。私は後始末をしてから行くわ」
エド……レイヴィスの上の名前か。ずいぶん親し気だな。
グレンダは呪文を呟きながら杖を掲げた。
どどどどと壁が揺れて、部屋の奥の方の天井の土が落ちて上に穴が開いた。星明りが見えて冷たい風が室内に流れ込んで来る。落ちた土は重なりあって、天井の穴へ続く階段状に固まった。
――土魔法か! しかも、魔法のレベルが高いな。
『後始末』って、どうするんだ? ここを僕たちごと埋める? それとも――。
思案していると、足元に何かが貼りついて、背中を這いあがってくる感触を感じて、僕は短剣を抜いた。
「グレンダ、悪いな。頼んだ」
レイヴィスはそう言い残して、階段を昇って地上へと駆けあがって行った。
「待てっ」
追いかけようと飛び出したライガに向かって、グレンダは杖を振った。熱気と共に、炎が噴き出す。
――生き埋めじゃなくて、炎で良かった!
僕は短剣で自分の左の拳を切った。じゅるり、と背中から這い上がって来ていたそれは、赤いべっとりとした身体で、勢いよく傷口に絡みついた。
「ライガ! レイヴィスを追いかけろ!」
僕はそのままライガを押しのけ噴き出した炎へ突っ込んだ。背中を這い上がって来ていたのは赤スライムだ。狼ほどのサイズの大きな個体が何体かくっついて大きくなったものが流血した左腕に絡みついて、さらに頭に覆いかぶさろうと広がり僕の身体を覆う。炎はそのスライムを焼いた。
じゅじゅじゅと音を立てて、スライムは勢いよく液体になって飛散して、火を消し去る。その隙にライガはレイヴィスを追って階段を駆け上がる。
――さっき、不自然な壁を見つけた時に、その奥にレイヴィスと仲間がもしいるなら、炎の魔法を使うやつがいるだろうと思った。だから、飼育されていた赤スライムの穴に置いてあった炎の力の宿った水晶を外して、スライムが僕らを追いかけてくるようにしてたんだ。
スライムの体は炎を消すのに使える。
「なっ……」
グレンダは驚いた声を上げると、ちらりと視線をライガと僕たちに流し、それから杖を壁際に積まれた本や何かに向けて振った。炎が机を包む。
――証拠焼く方を選んだか!
僕は後ろを振り返った。
「ステふぁっ……ぐっ」
背後で、エイダンが赤スライムに全身を覆われてうずくまっていた。
――思ってたより、襲われてる。
たぶん、しばらく前からスライムに襲われてたと思うのに、背後で大人しく黙ってたのは偉いな……。
「喋るな! 喉の奥に入ってくるから!」
僕は叫ぶと腕に力を集中させた。身体強化の魔法で、腕の力を増幅させる。
そのまま赤スライムに包まれたエイダンを掴んで、燃える机に向かって投げた。
スライムごとエイダンの身体は炎に包まれる。
じゅううううう
音を立ててスライムが溶けて、火を消した。身体が自由になったエイダンは、げほげほ咳き込みながら立ち上がった。グレンダはまた杖を振り上げる。
――もう魔法は使わせない!
僕は足元にまだいたスライムに、豚の血を入れてきた革袋を上から被せて掴んで抱えた。そのままグレンダに向かって飛び掛かり、革袋の口を彼女の頭に被せて抑え込んだ。袋がもぞもぞと動いた。革袋の中で餌を捕らえたスライムが、グレンダの口に流れ込んで詠唱を止めさせた。
「……っ、っぁ」
袋を外すと、頭を赤スライムに覆われたグレンダが喉を掻きむしるようにしながら床に転がった。その隙にロープを出して、彼女を縛って担ぐ。
――スライムは、口から体内に入ってこようとするけれど、窒息させるわけじゃない。中からゆっくり人を喰らうだけだ。だから、当分は死んだりしないから、とりあえず大丈夫だ。冒険者ギルドの所長が何でレイヴィスと親し気に一緒にいたのか、あとで聞かないといけない。
部屋を見回すと、エイダンは元気そうだし、卓上の本やなんかの大部分は無事だ。
「ライガを追いかける。こいつを見といてくれ」
エイダンにそう叫んで、縛ったグレンダを押し付けると、ライガたちを追って階段を駆け上った。
グレンダは「やれやれ」という表情で肩を持ち上げた。
この人の、人を小馬鹿にしたような魔法使いによくいそうな仕草は腹が立つ。
――僕らなんて、魔法でどうとでもなると、思っているな、たぶん。
「――何って、旧友と会っていただけよ。――エド、貴方は先に。私は後始末をしてから行くわ」
エド……レイヴィスの上の名前か。ずいぶん親し気だな。
グレンダは呪文を呟きながら杖を掲げた。
どどどどと壁が揺れて、部屋の奥の方の天井の土が落ちて上に穴が開いた。星明りが見えて冷たい風が室内に流れ込んで来る。落ちた土は重なりあって、天井の穴へ続く階段状に固まった。
――土魔法か! しかも、魔法のレベルが高いな。
『後始末』って、どうするんだ? ここを僕たちごと埋める? それとも――。
思案していると、足元に何かが貼りついて、背中を這いあがってくる感触を感じて、僕は短剣を抜いた。
「グレンダ、悪いな。頼んだ」
レイヴィスはそう言い残して、階段を昇って地上へと駆けあがって行った。
「待てっ」
追いかけようと飛び出したライガに向かって、グレンダは杖を振った。熱気と共に、炎が噴き出す。
――生き埋めじゃなくて、炎で良かった!
僕は短剣で自分の左の拳を切った。じゅるり、と背中から這い上がって来ていたそれは、赤いべっとりとした身体で、勢いよく傷口に絡みついた。
「ライガ! レイヴィスを追いかけろ!」
僕はそのままライガを押しのけ噴き出した炎へ突っ込んだ。背中を這い上がって来ていたのは赤スライムだ。狼ほどのサイズの大きな個体が何体かくっついて大きくなったものが流血した左腕に絡みついて、さらに頭に覆いかぶさろうと広がり僕の身体を覆う。炎はそのスライムを焼いた。
じゅじゅじゅと音を立てて、スライムは勢いよく液体になって飛散して、火を消し去る。その隙にライガはレイヴィスを追って階段を駆け上がる。
――さっき、不自然な壁を見つけた時に、その奥にレイヴィスと仲間がもしいるなら、炎の魔法を使うやつがいるだろうと思った。だから、飼育されていた赤スライムの穴に置いてあった炎の力の宿った水晶を外して、スライムが僕らを追いかけてくるようにしてたんだ。
スライムの体は炎を消すのに使える。
「なっ……」
グレンダは驚いた声を上げると、ちらりと視線をライガと僕たちに流し、それから杖を壁際に積まれた本や何かに向けて振った。炎が机を包む。
――証拠焼く方を選んだか!
僕は後ろを振り返った。
「ステふぁっ……ぐっ」
背後で、エイダンが赤スライムに全身を覆われてうずくまっていた。
――思ってたより、襲われてる。
たぶん、しばらく前からスライムに襲われてたと思うのに、背後で大人しく黙ってたのは偉いな……。
「喋るな! 喉の奥に入ってくるから!」
僕は叫ぶと腕に力を集中させた。身体強化の魔法で、腕の力を増幅させる。
そのまま赤スライムに包まれたエイダンを掴んで、燃える机に向かって投げた。
スライムごとエイダンの身体は炎に包まれる。
じゅううううう
音を立ててスライムが溶けて、火を消した。身体が自由になったエイダンは、げほげほ咳き込みながら立ち上がった。グレンダはまた杖を振り上げる。
――もう魔法は使わせない!
僕は足元にまだいたスライムに、豚の血を入れてきた革袋を上から被せて掴んで抱えた。そのままグレンダに向かって飛び掛かり、革袋の口を彼女の頭に被せて抑え込んだ。袋がもぞもぞと動いた。革袋の中で餌を捕らえたスライムが、グレンダの口に流れ込んで詠唱を止めさせた。
「……っ、っぁ」
袋を外すと、頭を赤スライムに覆われたグレンダが喉を掻きむしるようにしながら床に転がった。その隙にロープを出して、彼女を縛って担ぐ。
――スライムは、口から体内に入ってこようとするけれど、窒息させるわけじゃない。中からゆっくり人を喰らうだけだ。だから、当分は死んだりしないから、とりあえず大丈夫だ。冒険者ギルドの所長が何でレイヴィスと親し気に一緒にいたのか、あとで聞かないといけない。
部屋を見回すと、エイダンは元気そうだし、卓上の本やなんかの大部分は無事だ。
「ライガを追いかける。こいつを見といてくれ」
エイダンにそう叫んで、縛ったグレンダを押し付けると、ライガたちを追って階段を駆け上った。
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