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5.元聖女は自分のことを知る決心をしました。
第135話(ステファン視点)
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「わ……ぁああ! お前たち! 絶対に! 絶対に僕の手を、離すなよ!!!」
エイダンの叫び声が空中に吸い込まれて行く。
雷竜はいったんかなり上空まで羽ばたいてから、白い建物が密集して見える場所――キアーラの王都の方へ勢いよく滑空した。何かに憑かれたように一心不乱にその場所に向かう竜は斜めに空を切っていて、僕らは竜の上に乗るという感じではなく、僕とライガが竜の首輪と胴に回された鞍にしがみついて、それぞれ片手でエイダンの両腕を持つ形で飛んでいた。腕力がすごいライガはいいだろうけど、僕は集中して腕に魔力を回して力を込めてないと吹き飛ばされそうだ。顔に風が吹きつけるので、できるだけ身を低くして、竜の首の影に隠れるようにする。
――どれくらいそうしてただろうか、体感時間としてはあっという間に、真下にキアーラの白い王宮と大神殿が見えた。
「おい、あれっ。飛竜じゃねぇか」
僕より余裕のあるライガが頭ををめに向けて叫んだ。
何とかそっちに顔を向けると、胴体が小さく、翼が一際大きい竜――飛竜が同じ方向に向かっているのが見えた。
――――竜が集合してる?
そんなことを考えている間に、雷竜は白い石造りの大神殿の目の前に、着地した。
どすっという衝撃が伝わって、僕らは勢いで振り落とされる。
受け身をとって地面に転がり、何とか立ち上がった間に、竜は首を上げて一声吠えて、その白い建物に突進していった。
――ちょっと、待てよ――。
僕は目をこする。雷竜の着地で舞っただけではない量の砂埃が、周囲にたちこめている。
「――大神殿が……」
地面で尻餅をついたままのエイダンが呆然としたように呟いた。
上から見るとわからなかったが、大神殿はぼろぼろだった。
扉は吹き飛び地面に転がり、建物はところどころ崩れている。
何があったんだ、と考える前に、雷竜と飛竜が一斉にその半壊の大神殿の中に流れ込んで行った。
中から、悲鳴が聞こえる。
「また来た! 今度は二匹も……!」
中から神官が叫びながら飛び出してくる。
僕はエイダンに肩を貸して立ち上がらせると、神殿の中に飛び込んだ。
何が起こってる?
「逃げるな! 祈れ!!」
「大司教様をお守りするんだ」
神殿の中は外よりすごいことになっていた。
礼拝のための机や椅子は砕けて四方に飛び散って、壁に並んでいただろう彫刻なんかの飾りは落ちて焦げたり、ばらばらになっている。壁際には呻き声をあげる神官たちが横たわっていて、彼らの白い神官服は、ところどころ切れて赤くなっていた。
奥の祭壇の方で、20人以上はいそうな神官やシスターたちが、ずらっと輪になって祈るようなポーズをしている。その近くには赤い竜と、蛇のような龍――水龍、それからまた別の雷竜がとぐろを巻くように丸まって眠るような姿勢をとっていた。
先に、この寝てる竜が暴れてたのか?
僕らが乗って来た雷竜と、同時に突っ込んだ飛竜は神官たちを跳ね飛ばすように奥に進もうとする。神官たちはそれを取り囲んで、必死に手を組んで祈りの言葉を大声で唱える。
竜の咆哮と、神官の叫び声と、祈りの言葉が響く。
――大混乱の神殿内は、しばらくの後、静かになった。
二匹の竜は、火が消えたように大人しくなり、その場に丸く丸まって動かなくなったのだ。
「大人しく――なった――」
そんな呟きと共に、神官たちの間から歓声が上がった。
その神官たちの後ろから、白い髭を蓄えた男が放心状態の様子で出てきて、大災害にでもあったかのような神殿を見回して呟いた。
「私の――――神殿が――――」
「大司教!」
僕の横でエイダンが叫んだ。
大司教は、僕らのことになど気づかない様子で発狂したような声を上げた。
「――――悪魔が、この悪魔が! 耳を切るだけで済ませず、その眼をえぐってやれば良かった!! 何てことを!!!」
――――レイラ!
僕ははっとして、エイダンの腰の剣を奪い取るように借りると、神官たちの輪の中に駆けこんだ。神官たちを押し飛ばし進むと、その先で目を血走らせた大司教が、ぐったりしたレイラの襟首を掴んで持ちあげていた。レイラの頭はだらりと下を向いたままだ。
「お前! 何してるんだ!!!!」
思わず叫ぶと、レイラの身体を掴んで、大司教を蹴り飛ばした。
エイダンの叫び声が空中に吸い込まれて行く。
雷竜はいったんかなり上空まで羽ばたいてから、白い建物が密集して見える場所――キアーラの王都の方へ勢いよく滑空した。何かに憑かれたように一心不乱にその場所に向かう竜は斜めに空を切っていて、僕らは竜の上に乗るという感じではなく、僕とライガが竜の首輪と胴に回された鞍にしがみついて、それぞれ片手でエイダンの両腕を持つ形で飛んでいた。腕力がすごいライガはいいだろうけど、僕は集中して腕に魔力を回して力を込めてないと吹き飛ばされそうだ。顔に風が吹きつけるので、できるだけ身を低くして、竜の首の影に隠れるようにする。
――どれくらいそうしてただろうか、体感時間としてはあっという間に、真下にキアーラの白い王宮と大神殿が見えた。
「おい、あれっ。飛竜じゃねぇか」
僕より余裕のあるライガが頭ををめに向けて叫んだ。
何とかそっちに顔を向けると、胴体が小さく、翼が一際大きい竜――飛竜が同じ方向に向かっているのが見えた。
――――竜が集合してる?
そんなことを考えている間に、雷竜は白い石造りの大神殿の目の前に、着地した。
どすっという衝撃が伝わって、僕らは勢いで振り落とされる。
受け身をとって地面に転がり、何とか立ち上がった間に、竜は首を上げて一声吠えて、その白い建物に突進していった。
――ちょっと、待てよ――。
僕は目をこする。雷竜の着地で舞っただけではない量の砂埃が、周囲にたちこめている。
「――大神殿が……」
地面で尻餅をついたままのエイダンが呆然としたように呟いた。
上から見るとわからなかったが、大神殿はぼろぼろだった。
扉は吹き飛び地面に転がり、建物はところどころ崩れている。
何があったんだ、と考える前に、雷竜と飛竜が一斉にその半壊の大神殿の中に流れ込んで行った。
中から、悲鳴が聞こえる。
「また来た! 今度は二匹も……!」
中から神官が叫びながら飛び出してくる。
僕はエイダンに肩を貸して立ち上がらせると、神殿の中に飛び込んだ。
何が起こってる?
「逃げるな! 祈れ!!」
「大司教様をお守りするんだ」
神殿の中は外よりすごいことになっていた。
礼拝のための机や椅子は砕けて四方に飛び散って、壁に並んでいただろう彫刻なんかの飾りは落ちて焦げたり、ばらばらになっている。壁際には呻き声をあげる神官たちが横たわっていて、彼らの白い神官服は、ところどころ切れて赤くなっていた。
奥の祭壇の方で、20人以上はいそうな神官やシスターたちが、ずらっと輪になって祈るようなポーズをしている。その近くには赤い竜と、蛇のような龍――水龍、それからまた別の雷竜がとぐろを巻くように丸まって眠るような姿勢をとっていた。
先に、この寝てる竜が暴れてたのか?
僕らが乗って来た雷竜と、同時に突っ込んだ飛竜は神官たちを跳ね飛ばすように奥に進もうとする。神官たちはそれを取り囲んで、必死に手を組んで祈りの言葉を大声で唱える。
竜の咆哮と、神官の叫び声と、祈りの言葉が響く。
――大混乱の神殿内は、しばらくの後、静かになった。
二匹の竜は、火が消えたように大人しくなり、その場に丸く丸まって動かなくなったのだ。
「大人しく――なった――」
そんな呟きと共に、神官たちの間から歓声が上がった。
その神官たちの後ろから、白い髭を蓄えた男が放心状態の様子で出てきて、大災害にでもあったかのような神殿を見回して呟いた。
「私の――――神殿が――――」
「大司教!」
僕の横でエイダンが叫んだ。
大司教は、僕らのことになど気づかない様子で発狂したような声を上げた。
「――――悪魔が、この悪魔が! 耳を切るだけで済ませず、その眼をえぐってやれば良かった!! 何てことを!!!」
――――レイラ!
僕ははっとして、エイダンの腰の剣を奪い取るように借りると、神官たちの輪の中に駆けこんだ。神官たちを押し飛ばし進むと、その先で目を血走らせた大司教が、ぐったりしたレイラの襟首を掴んで持ちあげていた。レイラの頭はだらりと下を向いたままだ。
「お前! 何してるんだ!!!!」
思わず叫ぶと、レイラの身体を掴んで、大司教を蹴り飛ばした。
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