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【4】聖女 『天使』を倒す
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「よろしければ僕が退治いたしましょうか」
わたしの肩から、ぬいぐるみがそう声を上げた。
「え? 人形が……?」
わたしとゴーシェを見比べるジェイドさん。
「ルチルっちの使い魔、すごいね」
いや、その姿じゃ無理だろう。
どういうつもりかと肩に視線を送る。ゴーシェはフェルトの前髪をかき上げて言った。
「さっ、ルチルさん。ちゅっとしてください」
こいつ……。
半眼で呆れていると、ぬいぐるみは両手をぽふぽふ叩きながら、
「きーすっ、きーすっ、きーすっ」
「…………」
わたしは無言でぬいぐるみの頭をむんずと掴んだ。
そのまま大きく振りかぶると、
「死んでこおぉぉいっっ!!」
『天使』に向かって投げつける。
おー、めっちゃ飛んだわ。
「ぎぃやぁぁぁっっ!」
「うわぁぁ!? なにしてるん!?」
遠ざかるゴーシェの悲鳴。顔を青ざめさせ、飛行板でそれを追いかけるジェイドさん。
素早いレスポンスだった。団長の名は伊達ではないらしい。
ぬいぐるみは『天使』の顔にぽねっと当たって跳ね返った。団長さんがそれを見事にキャッチする。
怪鳥がギロリとジェイドさんを睨んだ。
「なんでぇ!? オレじゃないよ!? オレじゃないよぉ!」
悲鳴を上げてこちらに逃げ帰ってくる団長さん。
その間にもわたしは呪文を唱え終えている。
「火炎の矢!」
強化された魔王版・火炎の矢が『天使』を捕らえた。
十本の炎の矢が、胸部を貫き翼を焼き尽くす。
火だるまになった怪鳥は、
「ギィヤァァァ!!」
耳を覆いたくなるような叫びを上げながら森の中へと落ちていった。
わたしの肩から、ぬいぐるみがそう声を上げた。
「え? 人形が……?」
わたしとゴーシェを見比べるジェイドさん。
「ルチルっちの使い魔、すごいね」
いや、その姿じゃ無理だろう。
どういうつもりかと肩に視線を送る。ゴーシェはフェルトの前髪をかき上げて言った。
「さっ、ルチルさん。ちゅっとしてください」
こいつ……。
半眼で呆れていると、ぬいぐるみは両手をぽふぽふ叩きながら、
「きーすっ、きーすっ、きーすっ」
「…………」
わたしは無言でぬいぐるみの頭をむんずと掴んだ。
そのまま大きく振りかぶると、
「死んでこおぉぉいっっ!!」
『天使』に向かって投げつける。
おー、めっちゃ飛んだわ。
「ぎぃやぁぁぁっっ!」
「うわぁぁ!? なにしてるん!?」
遠ざかるゴーシェの悲鳴。顔を青ざめさせ、飛行板でそれを追いかけるジェイドさん。
素早いレスポンスだった。団長の名は伊達ではないらしい。
ぬいぐるみは『天使』の顔にぽねっと当たって跳ね返った。団長さんがそれを見事にキャッチする。
怪鳥がギロリとジェイドさんを睨んだ。
「なんでぇ!? オレじゃないよ!? オレじゃないよぉ!」
悲鳴を上げてこちらに逃げ帰ってくる団長さん。
その間にもわたしは呪文を唱え終えている。
「火炎の矢!」
強化された魔王版・火炎の矢が『天使』を捕らえた。
十本の炎の矢が、胸部を貫き翼を焼き尽くす。
火だるまになった怪鳥は、
「ギィヤァァァ!!」
耳を覆いたくなるような叫びを上げながら森の中へと落ちていった。
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