【本編完結】自由気ままな伯爵令嬢は、腹黒王子にやたらと攻められています

橋本彩里(Ayari)

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不調と新たな問題

新事実①

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 いつの間に脱いだのか雄の色香を全開にしたアンドリューに「もう、やめて」と本気で懇願するまで攻められ、お互い高め合う。
 直接肌を合わせる行為は恥ずかしいものの心の奥まで満たされるような幸福感に包まれる。

 それから、あれこれされた身体はこんなこと王子がしていいのってほど丁寧に清められ、服を着た頃には私はぐったりしていた。

「今日のティアも可愛かった」
「……加減というものがなくなっている気がするのですが」

 嬉々として攻められるこちらの身になってほしい。
 羞恥と快感にくったくたのくったくたで、ものすごくご機嫌な相手に対しこちらはむすっとしてしまう。

「心外だな。これでも加減はしているだろう?」
「どこがですか?」
「自分で立てているのだから加減はできている」

 にっこりと自信満々に告げられ、本気で言っているのだろうかと思わずアンドリューをじと目で見た。
 だけど、揺るぎない意志を持つ瞳で見つめられ、こんなこところでも俺様発揮になんだか力が抜ける。

「立てるか立てないかが基準なのですか?」
「そうだな」
「…………」

 あっさりと頷かれると、勢いがそがれてしまってますます拍子抜けした。

「反論しないのか?」
「反論の仕方がわかりません」
「ははっ。そうかっ」

 満足げなアンドリューにぎゅうっと背後から逞しい腕に抱きしめられ、抵抗という抵抗する力を根こそぎ奪われた。
 そうすると、ただただその温もりと安心感に包まれる。

 よくわからない持論を展開され、敏感になりつつある身体に思うことはたくさんあったけど、こうされるともうどうでもいいかと思うほど満たされる。
 私はほぅと息を吐いた。
 すると、アンドリューが不意打ちにキスをしてくる。

「ティア」
「あっ、んんぅ」
「じっとして」
「もうっ。また!」

 壮絶な艶を放たれたままアンドリューに肩に顔を寄せられ、私は濡れて吸われる感触に叫んでいた。
 熱い舌の感触に先ほどまでの官能をすぐに引き出されそうで慌てるが、吸い付きながらの静止の言葉ともに器用に舐められる。

 少しずつ下がっていく唇の感触を感じるたびに反応してしまう。
 もはや口だけの抵抗となっていることは私にもわかっているが、言わずにはいられない。

「綺麗についた」
「前のもまだ残っているのに」

 ぽつ、ぽつと残されている所有の印には思うところはある。

「それはもうすぐ消えるだろう? 新しいのを付けておかないと」
「もう!」
「怒ってるのもいいな」

 揶揄うようににっと口の端を上げて、きらきらした目で私を見てくる。

「アンディっ」
「ティアといるのは楽しい」
「…………私も楽しいですけど。でも、これはやっぱり」

 婚約しているとはいえ、これはどうなのだろうか。

「まあまあ」
「まあまあじゃないです」

 ここ最近、アンドリューに必ずと言っていいほど、覗き込めば見える位置にキスマークを付けられることに悩んでいた。

 オズワルドには絶倫とおまけのようにキスフェチという設定はあったけど、アンドリューには特になかったはずだ。
 姉の大変さを他人事のように思っていたら自らもって、姉妹でどうなのかとも思う。

 日に日に甘くなるアンドリューのその行為をきっぱり拒絶できないのは、私もその行為に込められる想いに反応してしまっていて嬉しいからでもある。

 これがあからさまな場所に付けられたらもっとはっきりと文句を言えるのだけどギリギリのところなので、愛情表現だと言われれば怒るに怒れない。
 にっこり微笑む美貌についつい甘くなり、計算された場所にうむむと唸って終わるのだ。

「ずっとこうしていたいな」
「ただれてます」
「ティアとだったら歓迎だ」

 すかさず返ってきた言葉とともに、頬にキスを落とされ私は数瞬固まる。
 あまりにも真剣な声は、それが本音だと知れた。

 普段は爽やなできすぎ王子で通っているので、二人きりのときにこんな発言をしながら甘たるい空気を出すなんて誰も想像できないだろうと思うと、なんだかおかしく感じる。

「ふふっ」
「どうして笑う?」
「いえ。そうは言っていても、アンディは王太子としての責務は放り出すことはしないでしょう? そんなアンディだから格好いいのですけど……って、ちょっとなんで噛むんですか?」

 カプッと肩を咬まれ、抗議の声を上げる。
 静止の言葉を聞いても構わず続けられ、最後はねっとりと舐められついでとばかりに耳たぶを食まれる。
 かかる吐息にぞくっと身体を震わせると、抱きこまれていた腕の力が逃がさないとばかりにさらに強くなった。

「アンディ!」

 王族しかわからない重圧のなかを過ごし、逃げずに立ち向かうアンドリューだからこそ尊敬しているし、身を任せられるのだなと思っていての王子の行動に戸惑う。
 吸い付く手前だったところに歯を当てられて、痛くはないが何してくれるのだと首を捻ってめいいっぱい睨むと、思ったより熱のこもった視線とかち合った。

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