51 / 66
第51話 「ビー」までね
しおりを挟む
「陽菜、合格おめでとう」
「ありがとう~、圭」
夏休みが終わり、僕は家庭教師のバイトに加え、カテマッチの運営も本格的に参与するようになり、さらには不倫研究会のサークル活動もあり、多忙を極めた。
サークルには新入生が三人も入り、僕にも後輩ができ、サークルでは副幹事の役職を与えられた。
もちろん、学業もおろそかにはできない。
忙しさに時間はあっという間過ぎ、気が付けば四月も半ばに差し掛かっていた。
陽菜は無事に志望校に合格し、今日はお祝いを兼ねて陽菜と新宿にあるパンケーキのお店に来ている。
「待った甲斐があったね~、凄く美味しそう~」
陽菜は、幸せそうにパンケーキを頬張っていた。
店内は満席で、僕以外は全員女性という状況で完全アウェーの状況に、ますます美少女ぶりに磨きをかけた陽菜と一緒だと目立つ。
周りの客が、チラチラと僕たちを見ているのだ。
僕が気になって食がすすまないでいると、陽菜が心配そうに声をかけてきた。
「圭、食欲ないの? あまり食べてないね」
「い、いや~、どうも甘いものは苦手で……」
「あれ? バレンタインで小躍りして喜んでたのは誰だったかな~?」
ひと月前のバレンタイン、陽菜は手作りのチョコを僕にくれた。
女の子にチョコを貰ったのは初めてだったので、僕は凄く嬉しかったのだ。
ちなみに、愛莉と綾乃は完全スルー、佳那は陽菜と同じものをくれた。つまり、陽菜がくれたのは佳那が作ったモノという事になる。
「佳那さんに作ってもらったくせに、偉そうに言うな」
「え? なんでママに作ってもらったの、知ってるの?」
(しまった!)
「い、いや、どうせ……、そんな事かな~、と思って」
陽菜が疑惑の目を向ける。
「ワタシさ、ママの様子がおかしいって、ずっと思ってたんだよね」
陽菜は感の鋭い子だ。しかも頭が良い、ちょっとしたほころびからボロが出るから気を付けないといけない。
「もしかして、どこかで不倫とかしてるんじゃないかな~、なんて」
「ま、まさか、佳那さんに限って、そんな事ある訳ないだろ」
「そうだよね~、あんなオバサン、相手にする訳ないか 笑」
陽菜は自分の母親をオバサン呼ばわりして、ケタケタと笑った。
まさか目の前に不倫相手がいるとも思わず……。
僕の胸が痛む。
「ところでさ、小梢さんのこと、知ってる?」
「……なにが?」
「は~ん、その様子じゃ、やっぱり何も聞いてないんだね」
陽菜が悪戯っぽい視線を向ける。
「小梢の事は、もう良いよ……」
せっかく、忘れかけていたのに余計な事を切り出すのだから……。
「先月、小梢さんとデートしたんだよね~」
「そ、そうなのか?」
『ほら、喰いついてきた』と言わんばかりに、陽菜がフフンといった表情になる。
「ビッグニュースがあるんだけど……、知りたい?」
(知りたい!)が、陽菜がタダで教えてくれるとは思えない。
「教えてあげても良いけど……、条件付きね 笑」
(ほら来た! やっぱりだ!)
「なんだよ……、勿体ぶるなよ」
「教えてあげるから、今から、圭の部屋へ行って良い?」
「なんで交換条件が、僕の部屋に来ることなんだよ?」
「だって~、受験前から最近まで、キスしてもらってないもの」
陽菜の受験が終わるまで、という事で暫くはキスをせがまれても自重していた。
「それとも~、路チューしてくれる?」
「ば、ばか! そんな事できる訳ないだろ」
「でしょ~」陽菜はテーブルの向こうでニヤニヤする。
「僕の部屋に来ても、それだけだからな、分かっているとは思うけど」
一応、くぎを刺すが、陽菜は予想外の行動に出るから油断できない。
「まあ、小梢さんに操を立ててるんだったら、もう必要ないと思うけどね」
「どういうことだ?」
「おっーと、これ以上は、後でね 笑」
(まさか……、小梢に新しい恋人でもできたのだろうか?)
小梢を諦めると誓っていても、やはり気になる。
僕は、残っていたパンケーキを一気に頬張った。
「ちょ、そんなに気になるの? さっきまで、あまり食べてなかったのに」
「僕も陽菜とキスしたいんだよ」
嘘である。本当は小梢の事が気になっているだけだ。そして、陽菜も当然、そんなことは分かってる。
「嘘つき!
ブーー、あからさまに嘘つかれるとムカつく~」
「ゴメン、でも、久しぶりなのは本当だろ?」
「まあ、たしかに、でもムカついたから、今日はBまでして」
「ビーって、何?」
「圭……、知らないの?
フフフ、あとで教えてあげる」
悪戯っぽく、陽菜はウインクして見せた。
「ありがとう~、圭」
夏休みが終わり、僕は家庭教師のバイトに加え、カテマッチの運営も本格的に参与するようになり、さらには不倫研究会のサークル活動もあり、多忙を極めた。
サークルには新入生が三人も入り、僕にも後輩ができ、サークルでは副幹事の役職を与えられた。
もちろん、学業もおろそかにはできない。
忙しさに時間はあっという間過ぎ、気が付けば四月も半ばに差し掛かっていた。
陽菜は無事に志望校に合格し、今日はお祝いを兼ねて陽菜と新宿にあるパンケーキのお店に来ている。
「待った甲斐があったね~、凄く美味しそう~」
陽菜は、幸せそうにパンケーキを頬張っていた。
店内は満席で、僕以外は全員女性という状況で完全アウェーの状況に、ますます美少女ぶりに磨きをかけた陽菜と一緒だと目立つ。
周りの客が、チラチラと僕たちを見ているのだ。
僕が気になって食がすすまないでいると、陽菜が心配そうに声をかけてきた。
「圭、食欲ないの? あまり食べてないね」
「い、いや~、どうも甘いものは苦手で……」
「あれ? バレンタインで小躍りして喜んでたのは誰だったかな~?」
ひと月前のバレンタイン、陽菜は手作りのチョコを僕にくれた。
女の子にチョコを貰ったのは初めてだったので、僕は凄く嬉しかったのだ。
ちなみに、愛莉と綾乃は完全スルー、佳那は陽菜と同じものをくれた。つまり、陽菜がくれたのは佳那が作ったモノという事になる。
「佳那さんに作ってもらったくせに、偉そうに言うな」
「え? なんでママに作ってもらったの、知ってるの?」
(しまった!)
「い、いや、どうせ……、そんな事かな~、と思って」
陽菜が疑惑の目を向ける。
「ワタシさ、ママの様子がおかしいって、ずっと思ってたんだよね」
陽菜は感の鋭い子だ。しかも頭が良い、ちょっとしたほころびからボロが出るから気を付けないといけない。
「もしかして、どこかで不倫とかしてるんじゃないかな~、なんて」
「ま、まさか、佳那さんに限って、そんな事ある訳ないだろ」
「そうだよね~、あんなオバサン、相手にする訳ないか 笑」
陽菜は自分の母親をオバサン呼ばわりして、ケタケタと笑った。
まさか目の前に不倫相手がいるとも思わず……。
僕の胸が痛む。
「ところでさ、小梢さんのこと、知ってる?」
「……なにが?」
「は~ん、その様子じゃ、やっぱり何も聞いてないんだね」
陽菜が悪戯っぽい視線を向ける。
「小梢の事は、もう良いよ……」
せっかく、忘れかけていたのに余計な事を切り出すのだから……。
「先月、小梢さんとデートしたんだよね~」
「そ、そうなのか?」
『ほら、喰いついてきた』と言わんばかりに、陽菜がフフンといった表情になる。
「ビッグニュースがあるんだけど……、知りたい?」
(知りたい!)が、陽菜がタダで教えてくれるとは思えない。
「教えてあげても良いけど……、条件付きね 笑」
(ほら来た! やっぱりだ!)
「なんだよ……、勿体ぶるなよ」
「教えてあげるから、今から、圭の部屋へ行って良い?」
「なんで交換条件が、僕の部屋に来ることなんだよ?」
「だって~、受験前から最近まで、キスしてもらってないもの」
陽菜の受験が終わるまで、という事で暫くはキスをせがまれても自重していた。
「それとも~、路チューしてくれる?」
「ば、ばか! そんな事できる訳ないだろ」
「でしょ~」陽菜はテーブルの向こうでニヤニヤする。
「僕の部屋に来ても、それだけだからな、分かっているとは思うけど」
一応、くぎを刺すが、陽菜は予想外の行動に出るから油断できない。
「まあ、小梢さんに操を立ててるんだったら、もう必要ないと思うけどね」
「どういうことだ?」
「おっーと、これ以上は、後でね 笑」
(まさか……、小梢に新しい恋人でもできたのだろうか?)
小梢を諦めると誓っていても、やはり気になる。
僕は、残っていたパンケーキを一気に頬張った。
「ちょ、そんなに気になるの? さっきまで、あまり食べてなかったのに」
「僕も陽菜とキスしたいんだよ」
嘘である。本当は小梢の事が気になっているだけだ。そして、陽菜も当然、そんなことは分かってる。
「嘘つき!
ブーー、あからさまに嘘つかれるとムカつく~」
「ゴメン、でも、久しぶりなのは本当だろ?」
「まあ、たしかに、でもムカついたから、今日はBまでして」
「ビーって、何?」
「圭……、知らないの?
フフフ、あとで教えてあげる」
悪戯っぽく、陽菜はウインクして見せた。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる