【完結】小さなフェンリルを拾ったので、脱サラして配信者になります~強さも可愛さも無双するモフモフがバズりまくってます。目指せスローライフ!〜

むらくも航

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第51話 強力な助っ人たち?

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 「簡易テントに配信セット、水と食料は当日に入れるとして……こんなところか」

 ブルーシートの上に広がった物を確認した。
 これらは、三日後に出発する『地獄谷』の為の準備だ。

 えりと情報によると、フェンリルの足跡が見つかったのは“最深部”。
 日本で最高難易度を誇るそのダンジョンにおいて、人が辿り着いている最奥の場所だそうだ。

 そこへ、最強ペット四匹を連れてるとは言え、単身で乗り込むんだ。
 どれだけ準備をしても、し過ぎということはない。

「よし」

 配信はするつもりでいる。
 映像記録に残すことで、今後『地獄谷』に潜る探索者へのヒントにもなるかもしれないからな。

 それじゃあとは寝るだけ……

「お」
 
 そんな時、スマホに通話が来る。
 
「もしもし」
『やすひろさん!』

 相手は美月ちゃん。
 わざわざ通話なんて、急用かな。

『やすひろさん、『地獄谷』に行かれるんですよね』
「あ、うん。告知を見てくれたんだ」
『はい!』

 俺は先程、配信の最後に告知を行った。
 三日後に『地獄谷』へ出発するという告知だ。
 ありがたいことに、それもすでにトレンドに載っているようで、SNSも盛り上がっているみたい。
 
『それでなんですけど……』
「うん?」
『私も連れて行ってくれませんか!』
「えぇ!」

 少し間を置いて、美月ちゃんは大きめの声で伝えてきた。
 
「いやいや、美月ちゃん!? 『地獄谷』って最難関ダンジョンなんだよ!?」
『分かってます。……でも』

 向こうから、ぽよっという音が聞こえてきた。

『ぽよちゃんがすっごく興味を示してて』
「ぽよちゃんが?」
『はい。一緒にやすひろさんの配信を見ていたのですが、発表から一緒に行こうって聞かなくて!』
「そんなに……」

 スライムだけど、フクマロ達と比べても遜色そんしょくがないほどに賢い魔物のぽよちゃん。

 『地獄谷』に何かを感じているのだろうか。
 それは確かに気になる事ではあるな。

「でも、美月ちゃんは大丈夫なの?」
『……正直、ちょっと怖いです。わたしは『まあまあの密林』までしか行ったことありませんし』
「うん」

 言葉から、怖さが伝わってくるような声だ。

『それでも! わたしはぽよちゃんの飼い主なので! ぽよちゃんが行きたいというならどこでも行きます!』
「……そっか」

 覚悟は受け取った。
 ならば文句は言うまい。

「そういうことなら分かった。うちの四匹にも全力で守らせるよ」
『やすひろさん! ありがとうございます!』
「いいんだよ。俺も、ぽよちゃんがどうしてそこまで行きたいのか気になるからさ」

 これは本心だ。

 ぽよちゃんという、強すぎるスライムの謎のヒントが掴めるかもしれない。
 そんな胸騒ぎがするんだ。

「じゃあ三日後に。持ち物は──」

 それから、確認や改めての作戦会議を行って通話を終えた。







 三日後。

「がんばれー!」
「配信見てます!」
「応援してるよー!」

 『地獄谷』へ続く扉に併設されたギルドにて。
 
「なんだこれ」
「あはは、ちょっと驚きですね」

 時間通りにギルドにおもむいたところ、ものすごい人だかりができていた。
 それで以て入口は塞がない様にしていて、配慮も感じ取れる。

「やすひろさーん!」
「美月ちゃんと何かあったら許さないぞ!」
「手出すなよー!」

 応援の声から、美月ちゃんファンだろう人まで。
 何時から潜るかを告知していたから、それを聞きつけたファン達が集まって来たらしい。

 まるで2〇時間テレビのマラソンを走り終えたみたいな雰囲気だ。
 それほどに声援と歓声が入り混じっている。

 そして、

「キュルン!」
「プクン!」

 その中を真っ先に堂々と歩き始める、ココアとタンポポ。

 思いっきり胸を張り、ドヤ顔もバッチリ決める。
 映画祭のレッドカーペットのような気分なのかな。

「きゃー!」
「可愛い!」
「写真写真!」

 この二匹は相変わらずだなあ。
 子どもっぽいところは、いつまで経っても治らないらしい。
 それが可愛いとこでもあるんだけどね。

「ぽよよー!」

 それに続くぽよちゃん。
 うちのペットでも特に仲良しのココアの後に付いて行きたいのかも。
 でもそんなに急いだら……あ、やっぱりコケた。

「ぽよちゃーん!」
「大丈夫!?」
「可哀想だけど可愛い」

 それにもまた観衆が沸く。
 これも可愛いのはちょっと理解できてしまう。

「ぽよー……」

 ぽよちゃんはグスンと鼻を鳴らし(?)て、ゆっくり立ち上がる。
 俺たちも放ってはおけないので、美月ちゃんと急いで駆け寄った。

「ほら、焦っちゃダメだよー」
「誰も置いて行かないからな」
「ぽよよー……」

 今回の鍵、かもしれないぽよちゃん。
 この子にも目を付けておかないとな。

「フクマロとモンブランも。行こう!」
「ワフッ!」
「ニャフ!」

 温かなファンに迎えられながら、俺たちはいよいよ『地獄谷』へ潜る。
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