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第50話 新たなる決意
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「フクマロ。故郷に行ってみたいか?」
えりとから聞いた、フェンリルの里があるかもしれないという可能性。
俺は真っ直ぐにフクマロを見つめて聞いてみる。
「ワフ!」
「おお!」
フクマロは強い興味を示した。
ということは!
「やっぱりそこが故郷なのか!」
俺は期待を込めて聞き返す。
「……ワフ?」
「あれ?」
しかし、その質問には首を傾げるフクマロ。
一体どういうことだろう。
「でも、行きたい?」
「ワフ!」
今度は「うん!」と首を縦に振った。
ふむ、“故郷”にはしっくりと来ていないけど、他のフェンリルには会いたいってことなのかな。
とにかく、行きたいと言ってくれて助かった。
「分かったぞ~フクマロ!」
「クゥン」
もう一度頭を撫でると、フクマロは飛びついて来る。
本当に可愛い子だ。
「えと、やすひろさん? フクマロちゃんの故郷というのは?」
「まだそうだと決まったわけではないのですが。フェンリルの里があるかも、っていう痕跡が見つかったらしいんです」
「へー! それはえりとさんが?」
「そうです」
目銅佐オーナーも興奮気味になる。
彼女も俺と同じみたいだ。
フェンリルの里と聞くとドキドキするよね。
なんたって、フクマロみたいなモフモフが溢れているのだから。
「フクマロちゃんの反応も良さそうですし、やっぱり行かれるんですよね」
「はい。今ちょうどその決心が出来ました」
俺はチラっとフクマロの方を見る。
「フクマロが嫌だって言ったら、行くつもりはなかったんですけど」
出会った時は傷ついた状態だったフクマロ。
もしかしたら、故郷で何か嫌な事があってあんな風になっていたのかと心配したが、反応を見るにそんなこともなさそうだ。
そうなれば「行く」の一択だろう。
フェンリルの生態についても、掴めるものがあるかもしれないからな。
「そうなんですね! よかったね~フクマロちゃん、仲間に会えるかもしれないよ~?」
「クゥ~ン」
目銅佐オーナーにも撫でられ、フクマロが甘い声を出す。
彼女には、フクマロ含めた四匹ともすっかり懐いているよな。
ペット好きなことを皆も感じているんだろうな。
「では、そろそろ私も失礼しますね」
「あ、じゃあ送っていきま──」
「いえ、専用のタクシーが来てますので」
「……なるほど」
それで以て、未だオーナーとしての力も健在みたいだからすごい人だ。
「今日もありがとうございました~」
「はい。また今度!」
オーナーは荷物を持って玄関を出て行った。
俺は四匹の方を振り返る。
「じゃあ次の目標が決まったぞ」
小さな四匹たちはキラキラとした目で、下から俺を見つめて来る。
小さい体とつぶらな瞳の破壊力を耐えながら、俺は声を上げた。
「次の目標は『地獄谷』だ!」
「ワフー!」
「ニャフー!」
「キュルー!」
「プクー!」
それぞれ「はーい」と手を上げ、元気な返事をしてくれる。
えりとによると『世界樹ダンジョン』よりも難しいという話だったが、この四匹といれば大丈夫だ。
目指せ、フェンリルの里!
★
<三人称視点>
とあるダンジョン、最深部。
人足が一切見られないこの地で、遠吠えが響く。
「クォ~~~ン!」
滅多に人前に姿を見せない気高き狼の魔物。
名を『フェンリル』という。
モフモフの毛並みに隠れた強靭な手足、鋭い目付きで遠くを見つめる姿はまさに魔物の頂点。
そんなフェンリルが多く集まるこの地は、里。
『フェンリルの里』だ。
「「「クォ~~ン!」」」
先ほどのフェンリルに続き、他の個体も遠吠えを上げた。
しかし、その声はどこか寂しく、元気がないようにも思える。
その原因は、里の状態によるものか、はたまた──。
えりとから聞いた、フェンリルの里があるかもしれないという可能性。
俺は真っ直ぐにフクマロを見つめて聞いてみる。
「ワフ!」
「おお!」
フクマロは強い興味を示した。
ということは!
「やっぱりそこが故郷なのか!」
俺は期待を込めて聞き返す。
「……ワフ?」
「あれ?」
しかし、その質問には首を傾げるフクマロ。
一体どういうことだろう。
「でも、行きたい?」
「ワフ!」
今度は「うん!」と首を縦に振った。
ふむ、“故郷”にはしっくりと来ていないけど、他のフェンリルには会いたいってことなのかな。
とにかく、行きたいと言ってくれて助かった。
「分かったぞ~フクマロ!」
「クゥン」
もう一度頭を撫でると、フクマロは飛びついて来る。
本当に可愛い子だ。
「えと、やすひろさん? フクマロちゃんの故郷というのは?」
「まだそうだと決まったわけではないのですが。フェンリルの里があるかも、っていう痕跡が見つかったらしいんです」
「へー! それはえりとさんが?」
「そうです」
目銅佐オーナーも興奮気味になる。
彼女も俺と同じみたいだ。
フェンリルの里と聞くとドキドキするよね。
なんたって、フクマロみたいなモフモフが溢れているのだから。
「フクマロちゃんの反応も良さそうですし、やっぱり行かれるんですよね」
「はい。今ちょうどその決心が出来ました」
俺はチラっとフクマロの方を見る。
「フクマロが嫌だって言ったら、行くつもりはなかったんですけど」
出会った時は傷ついた状態だったフクマロ。
もしかしたら、故郷で何か嫌な事があってあんな風になっていたのかと心配したが、反応を見るにそんなこともなさそうだ。
そうなれば「行く」の一択だろう。
フェンリルの生態についても、掴めるものがあるかもしれないからな。
「そうなんですね! よかったね~フクマロちゃん、仲間に会えるかもしれないよ~?」
「クゥ~ン」
目銅佐オーナーにも撫でられ、フクマロが甘い声を出す。
彼女には、フクマロ含めた四匹ともすっかり懐いているよな。
ペット好きなことを皆も感じているんだろうな。
「では、そろそろ私も失礼しますね」
「あ、じゃあ送っていきま──」
「いえ、専用のタクシーが来てますので」
「……なるほど」
それで以て、未だオーナーとしての力も健在みたいだからすごい人だ。
「今日もありがとうございました~」
「はい。また今度!」
オーナーは荷物を持って玄関を出て行った。
俺は四匹の方を振り返る。
「じゃあ次の目標が決まったぞ」
小さな四匹たちはキラキラとした目で、下から俺を見つめて来る。
小さい体とつぶらな瞳の破壊力を耐えながら、俺は声を上げた。
「次の目標は『地獄谷』だ!」
「ワフー!」
「ニャフー!」
「キュルー!」
「プクー!」
それぞれ「はーい」と手を上げ、元気な返事をしてくれる。
えりとによると『世界樹ダンジョン』よりも難しいという話だったが、この四匹といれば大丈夫だ。
目指せ、フェンリルの里!
★
<三人称視点>
とあるダンジョン、最深部。
人足が一切見られないこの地で、遠吠えが響く。
「クォ~~~ン!」
滅多に人前に姿を見せない気高き狼の魔物。
名を『フェンリル』という。
モフモフの毛並みに隠れた強靭な手足、鋭い目付きで遠くを見つめる姿はまさに魔物の頂点。
そんなフェンリルが多く集まるこの地は、里。
『フェンリルの里』だ。
「「「クォ~~ン!」」」
先ほどのフェンリルに続き、他の個体も遠吠えを上げた。
しかし、その声はどこか寂しく、元気がないようにも思える。
その原因は、里の状態によるものか、はたまた──。
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