【完結】小さなフェンリルを拾ったので、脱サラして配信者になります~強さも可愛さも無双するモフモフがバズりまくってます。目指せスローライフ!〜

むらくも航

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第52話 共に『地獄谷』へ!

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 受付を済ませ、ついにダンジョン内へ足を踏み入れる。
 この先は、日本最難関ダンジョン『地獄谷』だ。

「お、おお……」
「すごい……」

 扉を開き、目の前に広がった光景。
 感動とはまた違ったその景色に、思わず息を呑んでしまう。

「下が見えないな……」
「ですね……」

 立っている場所は丘。
 しかし、その先はすぐに崖のようになっており、下を覗けば『地獄谷』の名に相応ふさわしい大きな谷だ。

 谷が広すぎて向こう側の丘が見えない。
 むしろ穴という方が正しいのでは。

「これが日本最難関か」

 この『地獄谷』というダンジョンが最難関と言われる所以ゆえん
 それは、まずこの崖を降りられる探索者が極端に少ないことだ。
 
 パラシュートなど、方法は色々と考えられるが、挑戦しようと思わないのも頷ける。
 扉に入ったはいいものの、この光景を前にしてすぐに引き返す者も多いそうだ。

「それでも行かなくちゃです!」
「そうだね」

 でも、俺たちはこんなところでビビってはいけない。
 気合いを入れ、ポンと隣のモフモフに手を当てた。

「頼むぞ、タンポポ」
「プクッ!」

 こっちには空を飛べるタンポポがいるからな。

 覚醒して大きくなったタンポポに、早速二人と三匹で乗り込む。

「よし! 行けー!」
「プクー!」

 俺の号令でその場をバッと離れ、タンポポは滑空しながら谷に突っ込んでいく。
 いつもとは違って地面が見えない分、とてもスリリングだ。

 それでも、

「うおー!」
「気持ち良いですー!」

 俺たちに負担がかかりすぎないよう、急降下し過ぎないように谷を降りていくタンポポ。
 美月ちゃんも気持ちよさそうにしている。
 人に優しい飛行を一緒に練習した甲斐があったな。

 そうして見えてくるのは……森林。

「あれが!」

 『地獄谷』を降りて行った先には、『森林地』といわれる場所がある。
 谷はあくまでここまでだけの話であり、実際に探索するのはこの森林地だ。

 地上では見られない大きさの木が無数に生えており、多くの謎に満ちた森林。
 探索者が極端に少ないことから、ここからは事前情報がほとんどない中での探索になる。

 そんな時、

「プクー!」
「どうしたタンポポ!」
「プククー!」

 何か危険を察知したかのようなタンポポ。
 ここまで必死に声を上げるのも珍しい。

「!?」

 そうして、下からひゅんっと飛んでくるものがある。
 なんだ今のは。
 岩か何かに見えたぞ。
 
 タンポポが察知したのはこの岩か!?
 
「プクー!」
「うおっ!?」
「きゃっ!」

 さらに立て続けに連射される謎の砲撃。
 飛んでくる岩は、避けた先の谷に当たると“爆発”している。
 ただの岩ではないのかもしれない。
 打ち上げ花火のようなものにも見える。

「なんだこれ! 狙われているのか!」
「プク!」

 二人と四匹がいるとは言っても、実際に飛んでいるのはタンポポ一匹。
 これじゃ狙われるのも当然だ。

「……! タンポポ右だ!」
「プクー!!」

 飛んでくる打ち上げ花火のような岩は増え続ける。
 複数の魔物に気づかれたのか!?

「プクゥ!」
「ぐうっ……!」

 このままじゃまずい!
 探索どころか、着陸すらできない!

 何か!
 何かうまくかわす手段はないか!

「ぽよっ!」
「ぽよちゃん?」

 そんな時に名乗りを上げたのは、ぽよちゃん。

「どうにかできるのか!」
「ぽよー!」

 キリっとした目で張り切るぽよちゃん。
 こんな中で一体何が出来ると言うんだ。

「やすひろさん! わたし、ぽよちゃんを信じます!」
「美月ちゃん! でも──」
「何もしなければここまま撤退です!」
「それは……」

 美月ちゃんは自分のペットを信じたみたいだ。

 言葉に詰まりながらぽよちゃんをチラッと見る。
 決意に満ちた飼い主を守ろうとする顔だ。

「分かった! 頼んだぽよちゃん!」
「ぽよー!」

 俺が任せた瞬間、

「ぽよっ!」
「プク!?」

 ぽよちゃんはタンポポの羽をパクっとくわえた。
 待て……まさか!?

「ぽよー!」
「ぽよちゃん!?」

 ぽよちゃんは小さな羽を生やし、美月ちゃんを抱えて飛んだ。
 タンポポから美月ちゃんとぽよちゃんだけが離れた形だ。

「ぽよちゃん!? すごいよ!」
「ぽよー! ぽよよ!?」
「って、わああー!」
「二人とも!?」

 だが、完全に飛んでいるわけではないのか、滑空しながらも高度を落としていく。
 さすがに体の作りが違いすぎたか!

「プクー!」
「!!」

 それでも、標的は二体になったことで下からの砲撃が別れた。
 これなら着陸できるかもしれない。

「タンポポ! ぽよちゃんも! そのまま突っ込むんだ!」
「プクゥー!」
「ぽよー!」

 勢いのまま、俺たちは森林地へダイブした──。
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