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ギガンはモニタを上に退けると、暖馬が被るヘッドギアの右側面にあるスイッチを押した。
微かにぐじゅ、ずるっ、という音が耳あて内から聞こえる。触手が引っ込んでいったようだ。
「おい、起きろ」
暖馬の頭からヘッドギアを引き抜いたギガンは、それをワゴンの上に戻す。
瞼も口も半開きで、およそ人前で見せられないような顔をした暖馬の身体は左右にふらふらと揺れている。
「しっかりしろ」
ギガンが暖馬の左頬をぺしぺしと軽くはたくと、朦朧としていたニンゲンの眼にようやく光が戻った。
❖
「もう一度聞くぞ。お前がディメンション・パトロールと顔を合わせたのは一度きり」
「はい。一回だけです」
「本当に?」
「はい」
ギガンは研究室兼私室に連れ戻した暖馬を、少し前まで物置棚と化していたスツールの上に座らせた。
難しい顔をしたギガンは、腕組みをしつつ暖馬を見下ろす。
「補欠とはいえ、後代ヒーローの前にも顔を見せんとはなあ」
「きっと色んな業務があって忙しかったんですよ」
「お前らの戦いを鑑賞するのも仕事か。いい御身分だな。それで、元祖ヒーロー様ってのはどんなツラしてるんだ? 教えてくれよ」
「どんなって……普通ですよ。あっ、もちろん皆役者みたいな感じですけど、その」
「何だ、俺の顔に何かついてるか。それとも、俺みたいなバケモノ面なんかじゃねえと、そう言いたいのか?」
薄ら笑いを浮かべて凄むギガンに、暖馬は苦笑いでたじろぐ。
「違います違いますっ! 普通の人間ってことを言いたかったんです!」
何のフォローにもなっていないが、ギガンはそれ以上突っつくのをやめた。
「普通のニンゲン、か」
それから暖馬は何人かの俳優名を挙げてみせたが、それはニンゲンの娯楽文化に興味がないギガンには聞き覚えの無い綴りの羅列でしかない。
ただ一つはっきりとしていることは、ニンゲンは既に人ならざるモノの傀儡に過ぎないということだった。
ギガンは部屋の隅に積んであった段ボールから銀色の何も書かれていないレトルトパウチをいくつか暖馬へ投げ、はす向かいにある給湯室で温めてくるよう命令した。
僅かではあるが、ギガンを含めて研究棟で知的生命体としての営みをしている者は存在する。
最低限の調理器具と使い捨ての食器類は揃っているはずだ。
「これ何ですか? カレーですか?」
「知るか。とっとと湯煎してこい」
ギガンは食料など腹に収まれば何でもよかったが、暖馬はそうではないようだ。
勝手に段ボールを開封し、米のパックを見つけると嬉しそうに部屋を出て行った。
脆弱で繊細なニンゲンの脳に負荷を与えることなく、自然な認識操作、記憶改ざんを行える異能力。
脳の持ち主は引き出せないメモリーを、いつか誰かが観測すると予知して保存しておく超技術。
反吐が出る。
ギガンは初めて敵の親玉を薄気味悪いと感じた。
これまでディメンション・パトロールという者たちをニンゲン支配を邪魔するお節介な正義感の塊として認識していたが、もはやそうは思えない。
奴らは世を救うためにヒトに力を授けるのではなく──
PCモニタの前で思案に耽るギガンを邪魔するように、デスク上のワイヤレスインターホンのベルが鳴る。
台座に立てかけられた大ぶりなスマートフォンのようにも見えるその機器は、基地内でそこそこ急ぎかつ重要な通知を受け取る用に必ず設置させられていた。
黒い画面に映る発信者の名前は[タコ野郎]となっている。
律儀にオクトールの名前を表示したくなかったギガンが設定したものだ。
無視をしたいが、そうもいかない。
なぜならオクトールを動かしているのは紛れもない教団の頭からくる圧だからだ。
ギガンは一つ舌打ちをすると、乱暴に通話開始ボタンを押した。
『やあ。突然すまないね。君にどうしても確認しておかなければならないことがある』
「まだ出来てねえよ」
『最後までこちらの話を聞く姿勢くらい見せてくれないか』
「それで答えが変ることもねえからな」
『そうか、困るな。近いうちに大規模作戦を開始する。肉壁にすらならない今の下級戦闘員を配備されては成功するものも成功しない』
「それは大将のお頭次第だろ。毎度毎度撤退しやがって」
『俺ならもっと上手くやれた、か? 悪いが戦線復帰が叶わなかった君にだけは言われたくないね』
「言うじゃねえか。テメェんとこには失敗作部隊をあてがってやるよ」
暫しの沈黙。
微かな溜め息がスピーカーの奥から漏れ聞こえる。
『いいかい、今はいがみ合う時ではない。非常に癪ではあるが、一定時間ヒーロー共を押しとどめられるだけの戦力が要る。下級戦闘員の製造および強化は君の急務だ。怠れば帝王様もお許しにならないだろう。それに、何のためにヒーロー崩れを攫ってきたのだね? 寿命など短くても良いから、クローンでも作ったらいいじゃないか』
「クローンだと? 簡単に言うな。西の地下工場がヒーロー共に木端微塵にされたの忘れたのか?」
『ならどうする』
「中身が雑魚でも装備が良けりゃいいだろ。ヒーロー共と同じだ」
『ほう?』
「今、強化スーツの開発中だ。奴らの戦闘技術を学習させた寄生型スーツを量産する。それを今の雑魚に着せれば何とかなるだろ。まあ、中身も少しは改良してやるよ。暖馬も捕まえたしな」
投げやりな口調でギガンはデスクの上にどっかりと機械の肘を置いて頬杖をついた。
『そうか。期待しよう。配備スケジュールは別途送信する。ところで、その素体君は元気かね?』
「あ?」
『きちんと服を着せてやろうとする所を見ると、随分可愛がっているようだね』
「はぁ? テメェなんかと一緒にすんな! 一匹しかいねえ実験動物にくたばってもらっちゃ困るんだよ。俺が好きでクソ雑魚の世話を焼いてると本気で思ってんのか?」
心底不愉快と言わんばかりにまくしたてるギガンは、部屋の扉が開いたことにすら気が付いていなかった。
「博士ー、ハヤシライスでした。ここに置いていいですか?」
「お前ッ……!」
ハヤシライスを盛った二つの紙皿を乗せたトレーを持った暖馬が、呑気にも通話中のギガンに近づく。
勿論しっかりと音声は拾われていた。
オクトールの低い忍び笑いがギガンの耳に届く。
『私は生まれて初めて君に好感を持ったよ、ギガン博士。配備の方は今月中に済ませてくれたまえ。さて、私も目加山君と昼食にするかな。では失礼』
ブツ、と通話が遮断された音が鳴る。
「すいません、あの、邪魔しちゃったみたいで……」
気まずそうに立ち尽くす暖馬を見て、ギガンは怒る気すら失っていた。
「早く置けよ。冷めるだろ」
「は、はい!」
魂がどこかに抜けていったかのような遠い眼をした主人を見ながら、暖馬は紙皿をデスクの空いたスペースに置くこととなった。
いそいそと紙の食器類をゴミ袋に入れる暖馬の背中へ、むすっとしたままのギガンが声をかける。
「おい。小休憩が終わったら服を脱げ」
「えっ」
驚き振り返った暖馬の手からゴミ袋が落ちそうになる。
それを何とか掴みなおしながら、暖馬は赤面しつつ言葉を返した。
「博士って……食欲も性欲も強いんですね」
「はぁ!? この色ボケ野郎! 実験のためだ!」
「あっ、そっちか」
「俺をなんだと思ってやがる! あの司令官モドキと一緒にするなよ」
「どちら様ですか?」
「何だ? 偽司令に基地ごと乗っ取られてたことも忘れたか?」
「確か、そんなこともあったような、なかったような……」
怪人がニンゲンの司令官に成りすまして基地内の人員を洗脳していた事件ですら、暖馬の中から薄れているようだ。
「その偽司令サマはなあ、間抜けぞろいの北東京から逃げてくるとき、よりにもよってニンゲンなんか土産にしやがったんだ。大した使い道のないメカニックをな。お前らが助けてやらねえから、ソイツはずっとオクトールの飼い犬だ」
「へえ、そうなんですか」
にこにこしながらゴミ袋を大型のバケツに押し込む暖馬を見て、ギガンの顔から表情が消える。
仮にもヒーローだった男が、仲間が攫われて虜囚の身となっていることに憤りはおろか興味さえわかないようだ。
精神汚染は暖馬が組するべき組織すら書き換えていく。
「お前の精神がもう少し強けりゃ、補欠にならなかったのかもな」
「はい?」
「こっちの話だ。向こうの犬はそれなりに仕事しているらしいな。どうせオクトールの性欲処理係だろうがよ。そろそろお前にも働いてもらうからな」
「もちろんです、何でも言ってください!」
ゴミを片付けた暖馬は目を輝かせながら椅子に腰かけるギガンの側に侍る。
それをどこか冷ややかな顔で眺めていたギガンが、億劫そうにこう切り出した。
「……お前には新しいバトルスーツを着て戦ってもらう。いいな?」
つづく
微かにぐじゅ、ずるっ、という音が耳あて内から聞こえる。触手が引っ込んでいったようだ。
「おい、起きろ」
暖馬の頭からヘッドギアを引き抜いたギガンは、それをワゴンの上に戻す。
瞼も口も半開きで、およそ人前で見せられないような顔をした暖馬の身体は左右にふらふらと揺れている。
「しっかりしろ」
ギガンが暖馬の左頬をぺしぺしと軽くはたくと、朦朧としていたニンゲンの眼にようやく光が戻った。
❖
「もう一度聞くぞ。お前がディメンション・パトロールと顔を合わせたのは一度きり」
「はい。一回だけです」
「本当に?」
「はい」
ギガンは研究室兼私室に連れ戻した暖馬を、少し前まで物置棚と化していたスツールの上に座らせた。
難しい顔をしたギガンは、腕組みをしつつ暖馬を見下ろす。
「補欠とはいえ、後代ヒーローの前にも顔を見せんとはなあ」
「きっと色んな業務があって忙しかったんですよ」
「お前らの戦いを鑑賞するのも仕事か。いい御身分だな。それで、元祖ヒーロー様ってのはどんなツラしてるんだ? 教えてくれよ」
「どんなって……普通ですよ。あっ、もちろん皆役者みたいな感じですけど、その」
「何だ、俺の顔に何かついてるか。それとも、俺みたいなバケモノ面なんかじゃねえと、そう言いたいのか?」
薄ら笑いを浮かべて凄むギガンに、暖馬は苦笑いでたじろぐ。
「違います違いますっ! 普通の人間ってことを言いたかったんです!」
何のフォローにもなっていないが、ギガンはそれ以上突っつくのをやめた。
「普通のニンゲン、か」
それから暖馬は何人かの俳優名を挙げてみせたが、それはニンゲンの娯楽文化に興味がないギガンには聞き覚えの無い綴りの羅列でしかない。
ただ一つはっきりとしていることは、ニンゲンは既に人ならざるモノの傀儡に過ぎないということだった。
ギガンは部屋の隅に積んであった段ボールから銀色の何も書かれていないレトルトパウチをいくつか暖馬へ投げ、はす向かいにある給湯室で温めてくるよう命令した。
僅かではあるが、ギガンを含めて研究棟で知的生命体としての営みをしている者は存在する。
最低限の調理器具と使い捨ての食器類は揃っているはずだ。
「これ何ですか? カレーですか?」
「知るか。とっとと湯煎してこい」
ギガンは食料など腹に収まれば何でもよかったが、暖馬はそうではないようだ。
勝手に段ボールを開封し、米のパックを見つけると嬉しそうに部屋を出て行った。
脆弱で繊細なニンゲンの脳に負荷を与えることなく、自然な認識操作、記憶改ざんを行える異能力。
脳の持ち主は引き出せないメモリーを、いつか誰かが観測すると予知して保存しておく超技術。
反吐が出る。
ギガンは初めて敵の親玉を薄気味悪いと感じた。
これまでディメンション・パトロールという者たちをニンゲン支配を邪魔するお節介な正義感の塊として認識していたが、もはやそうは思えない。
奴らは世を救うためにヒトに力を授けるのではなく──
PCモニタの前で思案に耽るギガンを邪魔するように、デスク上のワイヤレスインターホンのベルが鳴る。
台座に立てかけられた大ぶりなスマートフォンのようにも見えるその機器は、基地内でそこそこ急ぎかつ重要な通知を受け取る用に必ず設置させられていた。
黒い画面に映る発信者の名前は[タコ野郎]となっている。
律儀にオクトールの名前を表示したくなかったギガンが設定したものだ。
無視をしたいが、そうもいかない。
なぜならオクトールを動かしているのは紛れもない教団の頭からくる圧だからだ。
ギガンは一つ舌打ちをすると、乱暴に通話開始ボタンを押した。
『やあ。突然すまないね。君にどうしても確認しておかなければならないことがある』
「まだ出来てねえよ」
『最後までこちらの話を聞く姿勢くらい見せてくれないか』
「それで答えが変ることもねえからな」
『そうか、困るな。近いうちに大規模作戦を開始する。肉壁にすらならない今の下級戦闘員を配備されては成功するものも成功しない』
「それは大将のお頭次第だろ。毎度毎度撤退しやがって」
『俺ならもっと上手くやれた、か? 悪いが戦線復帰が叶わなかった君にだけは言われたくないね』
「言うじゃねえか。テメェんとこには失敗作部隊をあてがってやるよ」
暫しの沈黙。
微かな溜め息がスピーカーの奥から漏れ聞こえる。
『いいかい、今はいがみ合う時ではない。非常に癪ではあるが、一定時間ヒーロー共を押しとどめられるだけの戦力が要る。下級戦闘員の製造および強化は君の急務だ。怠れば帝王様もお許しにならないだろう。それに、何のためにヒーロー崩れを攫ってきたのだね? 寿命など短くても良いから、クローンでも作ったらいいじゃないか』
「クローンだと? 簡単に言うな。西の地下工場がヒーロー共に木端微塵にされたの忘れたのか?」
『ならどうする』
「中身が雑魚でも装備が良けりゃいいだろ。ヒーロー共と同じだ」
『ほう?』
「今、強化スーツの開発中だ。奴らの戦闘技術を学習させた寄生型スーツを量産する。それを今の雑魚に着せれば何とかなるだろ。まあ、中身も少しは改良してやるよ。暖馬も捕まえたしな」
投げやりな口調でギガンはデスクの上にどっかりと機械の肘を置いて頬杖をついた。
『そうか。期待しよう。配備スケジュールは別途送信する。ところで、その素体君は元気かね?』
「あ?」
『きちんと服を着せてやろうとする所を見ると、随分可愛がっているようだね』
「はぁ? テメェなんかと一緒にすんな! 一匹しかいねえ実験動物にくたばってもらっちゃ困るんだよ。俺が好きでクソ雑魚の世話を焼いてると本気で思ってんのか?」
心底不愉快と言わんばかりにまくしたてるギガンは、部屋の扉が開いたことにすら気が付いていなかった。
「博士ー、ハヤシライスでした。ここに置いていいですか?」
「お前ッ……!」
ハヤシライスを盛った二つの紙皿を乗せたトレーを持った暖馬が、呑気にも通話中のギガンに近づく。
勿論しっかりと音声は拾われていた。
オクトールの低い忍び笑いがギガンの耳に届く。
『私は生まれて初めて君に好感を持ったよ、ギガン博士。配備の方は今月中に済ませてくれたまえ。さて、私も目加山君と昼食にするかな。では失礼』
ブツ、と通話が遮断された音が鳴る。
「すいません、あの、邪魔しちゃったみたいで……」
気まずそうに立ち尽くす暖馬を見て、ギガンは怒る気すら失っていた。
「早く置けよ。冷めるだろ」
「は、はい!」
魂がどこかに抜けていったかのような遠い眼をした主人を見ながら、暖馬は紙皿をデスクの空いたスペースに置くこととなった。
いそいそと紙の食器類をゴミ袋に入れる暖馬の背中へ、むすっとしたままのギガンが声をかける。
「おい。小休憩が終わったら服を脱げ」
「えっ」
驚き振り返った暖馬の手からゴミ袋が落ちそうになる。
それを何とか掴みなおしながら、暖馬は赤面しつつ言葉を返した。
「博士って……食欲も性欲も強いんですね」
「はぁ!? この色ボケ野郎! 実験のためだ!」
「あっ、そっちか」
「俺をなんだと思ってやがる! あの司令官モドキと一緒にするなよ」
「どちら様ですか?」
「何だ? 偽司令に基地ごと乗っ取られてたことも忘れたか?」
「確か、そんなこともあったような、なかったような……」
怪人がニンゲンの司令官に成りすまして基地内の人員を洗脳していた事件ですら、暖馬の中から薄れているようだ。
「その偽司令サマはなあ、間抜けぞろいの北東京から逃げてくるとき、よりにもよってニンゲンなんか土産にしやがったんだ。大した使い道のないメカニックをな。お前らが助けてやらねえから、ソイツはずっとオクトールの飼い犬だ」
「へえ、そうなんですか」
にこにこしながらゴミ袋を大型のバケツに押し込む暖馬を見て、ギガンの顔から表情が消える。
仮にもヒーローだった男が、仲間が攫われて虜囚の身となっていることに憤りはおろか興味さえわかないようだ。
精神汚染は暖馬が組するべき組織すら書き換えていく。
「お前の精神がもう少し強けりゃ、補欠にならなかったのかもな」
「はい?」
「こっちの話だ。向こうの犬はそれなりに仕事しているらしいな。どうせオクトールの性欲処理係だろうがよ。そろそろお前にも働いてもらうからな」
「もちろんです、何でも言ってください!」
ゴミを片付けた暖馬は目を輝かせながら椅子に腰かけるギガンの側に侍る。
それをどこか冷ややかな顔で眺めていたギガンが、億劫そうにこう切り出した。
「……お前には新しいバトルスーツを着て戦ってもらう。いいな?」
つづく
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