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仕置_2
シリコーンで出来た真っ黒な乗馬鞭の打撃部は、角が丸くなった正方形をしている。
それを暖馬に見せつけるように、機械製の腕がその先端を摘まみ上げた。
武器を構え、口の端を吊り上げたギガンに見下ろされると、暖馬は心臓が一際大きく跳ねるように感じる。
それが恐怖からなのか期待からなのか、暖馬自身でも分からなかった。
「あの、それは」
分かり切ったことだが、暖馬はギガンを見上げ、おずおずと尋ねる。
「説明が要るか? お前に口で説明しても無駄のようだからな。とっとと後ろを向け。それとも、そいつらみたいに床の上に這いつくばりたいか?」
ギガンは鞭の先でコンクリートの上に転がる下級戦闘員だったものを指す。
「いえ、その」
「何だ? 俺の言う事が聞けないのか?」
縦に二つ並ぶ異形の眼を細めながら、ギガンは声を低めた。
「違いますっ! 聞きます、ちゃんと聞きます」
暖馬は困り顔のまま、巨大なコンクリートの柱に手を付いた。
手袋越しに、冷たく無機質な固いものを感じる。
腕を伸ばし、九十度近くまで頭を下げ、臀部を背後へ突き出した格好を取る。
黒く光沢のあるバトルスーツに包まれた尻は、鍛え上げられた大殿筋で引き締まりつつも肉厚だった。
自ら尻を見せつけるようなその格好に、暖馬の顔が羞恥で火照る。
戦闘を終えたばかりのこともあり、スーツと密着している肌の表面は汗でうっすらと湿っていた。
「全く、物分かりが悪い犬だな。俺がやれと言ったことはすぐにやれ」
ギガンは不機嫌だとでも言いたげに、ぱし、ぱし、と打撃部を自らの掌に軽く打ち付ける。
「はい。すみません……」
暖馬は足元の床を見つめながら、小さな声で謝罪を口にする。
だが、勿論それで許されるわけもない。
「あぁ? 聞こえねえな。ヒーローだったくせにゴメンナサイもまともに言えねえのか、お前はっ」
ヒュッと鞭が空を切る音が鳴る。
そして打撃部が突き出された形のいい尻肉に叩き付けられた。
パシンとスーツと鞭の先が弾かれあう乾いた音が辺りに響く。
「ごめんなさいっ!」
右の尻の頂に一点、痛みが走る。だが、それはバトルスーツにより大幅に軽減されていた。
それでも虐げられる家畜のように鞭を打たれる、しかも馬用に造られたものを模したものでいたぶられるということは、暖馬に恥辱を覚えさせる。
だが、それだけではない。鳩尾のあたりから妙にじれったい熱が広がり、ぞくぞくと背筋を震わせる。暖馬はそれの正体にまだ気づけてはいなかった。
「ん? 随分余裕そうだな。そうか、そんなもん着てたらこんな玩具なんか屁でもねえってか」
「ちょっとは痛いですよ!」
「口答え出来るんだから余裕だな。そうだ、こういうのはどうだ。……動くなよ」
「えっ」
暖馬に大きな影が迫る。
柱に手を付いたままの暖馬の胸元に、ギガンの右手が伸ばされる。
漆黒のバトルスーツの胸元にはスーツの核となる石が埋め込まれており、ギガンはそれを遠慮なく掴んだ。
そして乗馬鞭を雑に白衣の内側に突っ込むと、胸元のポケットにしまっていた小型デバイスを取り出す。
「こんなもんか」
ギガンはそれを器用に左手で操作すると、石から電磁波のような痺れが一瞬にして全身を駆け巡った。
「あ゛ぁっ!?」
ビクッと爪先を浮かせて身体を震わせた暖馬には、さらなる仕打ちが待っていた。
「このスーツは俺が造った。どの部分をどの程度カバーするのかも、俺の匙加減だ」
ギガンは暖馬の胸元から手を放し、また元のように暖馬の背後へ陣取る。
「だから躾に邪魔な部分の装甲も外せるってわけだ」
「それは、どういう」
「こういうことだ」
ギガンはデバイスを胸元に仕舞うと、生身の右手で一度暖馬の尻肉を軽く叩いた。
パン、と小気味いい音が鳴る。先ほどよりも小さな痛み。
だが、それを合図に暖馬の臀部を覆うスーツは薄く伸びたスライムのように外向きに蠢き、ついに暖馬の尻を丸々裸にするほどの大穴を作った。
湿った冷たい空気が何にも守られていない素肌を撫でる。
「お前、自分が今どんな格好してるか分かるか?」
「それは……」
「鏡で見せてやりたいくらいだな。丸出しのケツ突き出してるみっともねぇヒーローなんか、この地球上でお前だけだぞ」
「う……したくてしてるわけでは」
羞恥に顔を赤く上気させた暖馬がそう零すと、生身の尻肉にぴたりと冷たいものが押し当てられた。
ぐりぐりと乗馬鞭の打撃部が右の尻肉をなじるように擦っていく。
「はぁ? 俺にこんな躾させてんのはお前のせいだろ? お前が旧型に手間取るクソ雑魚ヒーローモドキだから、俺がこうして身体に教えてやってんだろうがッ」
ギガンは右手を大げさに振り上げ鞭をよくしならせると、先ほどまで鞭の先を押し付けていた引き締まった尻の頂へそれを振り下ろした。
パンッ、と破裂音にも似た乾いた音がコンクリート制の大空洞の空気を震わせる。
「いっ……!」
剥きだしの尻肉に直接、鞭が打たれる。
熱く鋭い痛みが一点に集う。スーツに守られていた時とは比べ物にならない、生の痛み。
思わず壁に付いている手を外しそうになったが、まだその命令は出ていないことに気が付いた暖馬は、みっともなく尻を突き出したまま下唇を噛んで恥辱に耐えていた。
「お前は口答えばっかりだな。言ったよな、俺をがっかりさせるなと」
ほんのり赤く色づいた肌の上を、ギガンはペチペチと鞭の先で呼びかけるように軽く叩いていく。
「はい……」
「はい、じゃねえよ。きちんと謝れ。少しは期待してた俺に悪いと思わないのか? ほら、下っ端にも手こずる二軍ヒーローで申し訳ございませんでした、だ。言え」
鞭が空を裂き、打撃部が左の尻肉に強かに打ち付けられる。
「あっ!」
新たないたぶり暖馬は声を上げて背を震わせる。
皮膚を直に打つ痛みが、じんじんと身体中に熱を起こさせた。
ギガンが躾と称する通り、その打撃がもたらす痛みは身体を傷つけることを目的としてはいない程度に絞られている。
絶妙にコントロールされた鞭使いは、痛覚を通じて暖馬の精神を支配し、嬲ってゆく。
「下っ端に、手こずる二軍、ヒーローで、申し訳ございません、でした……」
胸の内に押し込んでいた劣等感を自ら口にするよう仕向けられた暖馬は、情けなさで顔を歪ませながら、途切れ途切れの謝罪を口にした。
破廉恥な恰好をさせられている恥ずかしさ、ギガンを失望させた悔しさ、戦闘能力に欠ける自らへの憤り、そんなものがないまぜになって、暖馬の瞳を潤ませる。
「このままじゃ畜生以下だぞ雑魚犬が。何とか言ってみろ!」
「う゛っ、頑張りますっ、次は頑張りますから! 博士の為に頑張りますからっ……!」
パシン、パシン、と黒い打撃部が尻肉を打ち据えた。
間隔を置かず二度三度振るわれる鞭に、暖馬は悶えながら懇願めいた言葉を口走る。
するとギガンは鞭を引っ込め、赤みを帯びた左の尻を血の通っていない機械製の手でむんずと掴む。
「犬が俺のために頑張るなんて当たり前なんだよ、全く……次はちゃんとやるんだな?」
ギガンは大きな掌で腫れつつある尻を労わるかのようにすりすりと優しく撫でていく。
その優し気でこそばゆい感覚に、暖馬はぶるりと腰を震わせた。
「あっ……。はい、次は博士をがっかりさせないよう、何でも死ぬ気でやります」
「そうか、いい子だ。その言葉忘れんなよ」
ギガンはぺしん、と一発暖馬の尻を軽く打つと、もういい、と暖馬に屈辱的なポーズの解除命名を出した。
──どうしよう。バレてない、よな?
スーツを元に戻してもらった暖馬は、こっそり自分の股間を見やる。
通常よりほんの少し膨らんだそこは、鞭責めに合っている間に段々と硬さを帯びていたのだ。
半勃起状態を見つかったら博士に何を言われるのか分からない。ケツ叩かれて勃起する変態マゾ犬とか、そういうこと言われそうだ。
暖馬は刀を入れていたケースで股間あたりを隠しつつ、エレベーターに向かうギガンの背中を粛々と追っている。
まさか自分にこんな面があったとは。いや、不可抗力というか何というか、まだ俺がMに目覚めたってわけでもないというか、恥ずかしかっただけだし……。
自問自答を繰り返しながらなんとか理由をつけてトイレに行こうと考えていた暖馬は、飼い主が無言でデバイスを見ながら歩いていることに気が付いていなかった。
──こいつ、とんだマゾ豚野郎だな。
暖馬のバイタルを表示した画面には、身体のある一点が膨張していることや軽い興奮状態にあることがありありと数値と図によって表示されている。
今ここでそれを指摘して、公開オナニーショーでもやらせたいところだったが、そうもいかないのが教団幹部だ。
デバイスには次々入れていた予定のアラームがポップアップされる。
進捗報告連絡会という文字にギガンはデバイスを何処かに放り投げたくなった。
……まあいい。今しがたそれなりのデータは出た。それに、マゾ犬で遊ぶならもっと合ったやりようがある。
ギガンはニンゲンの通販サイトを開き、ハッキング済みのヒーロー基地職員の私的アカウントから適当なものを選んで、勝手にあるものを注文した。
博士、忙しそうだなあ。
熱心にデバイスを操作しているギガンに気付いた暖馬は、何も知らず筋肉で膨れた白衣をまじまじと見上げていた。
つづく
それを暖馬に見せつけるように、機械製の腕がその先端を摘まみ上げた。
武器を構え、口の端を吊り上げたギガンに見下ろされると、暖馬は心臓が一際大きく跳ねるように感じる。
それが恐怖からなのか期待からなのか、暖馬自身でも分からなかった。
「あの、それは」
分かり切ったことだが、暖馬はギガンを見上げ、おずおずと尋ねる。
「説明が要るか? お前に口で説明しても無駄のようだからな。とっとと後ろを向け。それとも、そいつらみたいに床の上に這いつくばりたいか?」
ギガンは鞭の先でコンクリートの上に転がる下級戦闘員だったものを指す。
「いえ、その」
「何だ? 俺の言う事が聞けないのか?」
縦に二つ並ぶ異形の眼を細めながら、ギガンは声を低めた。
「違いますっ! 聞きます、ちゃんと聞きます」
暖馬は困り顔のまま、巨大なコンクリートの柱に手を付いた。
手袋越しに、冷たく無機質な固いものを感じる。
腕を伸ばし、九十度近くまで頭を下げ、臀部を背後へ突き出した格好を取る。
黒く光沢のあるバトルスーツに包まれた尻は、鍛え上げられた大殿筋で引き締まりつつも肉厚だった。
自ら尻を見せつけるようなその格好に、暖馬の顔が羞恥で火照る。
戦闘を終えたばかりのこともあり、スーツと密着している肌の表面は汗でうっすらと湿っていた。
「全く、物分かりが悪い犬だな。俺がやれと言ったことはすぐにやれ」
ギガンは不機嫌だとでも言いたげに、ぱし、ぱし、と打撃部を自らの掌に軽く打ち付ける。
「はい。すみません……」
暖馬は足元の床を見つめながら、小さな声で謝罪を口にする。
だが、勿論それで許されるわけもない。
「あぁ? 聞こえねえな。ヒーローだったくせにゴメンナサイもまともに言えねえのか、お前はっ」
ヒュッと鞭が空を切る音が鳴る。
そして打撃部が突き出された形のいい尻肉に叩き付けられた。
パシンとスーツと鞭の先が弾かれあう乾いた音が辺りに響く。
「ごめんなさいっ!」
右の尻の頂に一点、痛みが走る。だが、それはバトルスーツにより大幅に軽減されていた。
それでも虐げられる家畜のように鞭を打たれる、しかも馬用に造られたものを模したものでいたぶられるということは、暖馬に恥辱を覚えさせる。
だが、それだけではない。鳩尾のあたりから妙にじれったい熱が広がり、ぞくぞくと背筋を震わせる。暖馬はそれの正体にまだ気づけてはいなかった。
「ん? 随分余裕そうだな。そうか、そんなもん着てたらこんな玩具なんか屁でもねえってか」
「ちょっとは痛いですよ!」
「口答え出来るんだから余裕だな。そうだ、こういうのはどうだ。……動くなよ」
「えっ」
暖馬に大きな影が迫る。
柱に手を付いたままの暖馬の胸元に、ギガンの右手が伸ばされる。
漆黒のバトルスーツの胸元にはスーツの核となる石が埋め込まれており、ギガンはそれを遠慮なく掴んだ。
そして乗馬鞭を雑に白衣の内側に突っ込むと、胸元のポケットにしまっていた小型デバイスを取り出す。
「こんなもんか」
ギガンはそれを器用に左手で操作すると、石から電磁波のような痺れが一瞬にして全身を駆け巡った。
「あ゛ぁっ!?」
ビクッと爪先を浮かせて身体を震わせた暖馬には、さらなる仕打ちが待っていた。
「このスーツは俺が造った。どの部分をどの程度カバーするのかも、俺の匙加減だ」
ギガンは暖馬の胸元から手を放し、また元のように暖馬の背後へ陣取る。
「だから躾に邪魔な部分の装甲も外せるってわけだ」
「それは、どういう」
「こういうことだ」
ギガンはデバイスを胸元に仕舞うと、生身の右手で一度暖馬の尻肉を軽く叩いた。
パン、と小気味いい音が鳴る。先ほどよりも小さな痛み。
だが、それを合図に暖馬の臀部を覆うスーツは薄く伸びたスライムのように外向きに蠢き、ついに暖馬の尻を丸々裸にするほどの大穴を作った。
湿った冷たい空気が何にも守られていない素肌を撫でる。
「お前、自分が今どんな格好してるか分かるか?」
「それは……」
「鏡で見せてやりたいくらいだな。丸出しのケツ突き出してるみっともねぇヒーローなんか、この地球上でお前だけだぞ」
「う……したくてしてるわけでは」
羞恥に顔を赤く上気させた暖馬がそう零すと、生身の尻肉にぴたりと冷たいものが押し当てられた。
ぐりぐりと乗馬鞭の打撃部が右の尻肉をなじるように擦っていく。
「はぁ? 俺にこんな躾させてんのはお前のせいだろ? お前が旧型に手間取るクソ雑魚ヒーローモドキだから、俺がこうして身体に教えてやってんだろうがッ」
ギガンは右手を大げさに振り上げ鞭をよくしならせると、先ほどまで鞭の先を押し付けていた引き締まった尻の頂へそれを振り下ろした。
パンッ、と破裂音にも似た乾いた音がコンクリート制の大空洞の空気を震わせる。
「いっ……!」
剥きだしの尻肉に直接、鞭が打たれる。
熱く鋭い痛みが一点に集う。スーツに守られていた時とは比べ物にならない、生の痛み。
思わず壁に付いている手を外しそうになったが、まだその命令は出ていないことに気が付いた暖馬は、みっともなく尻を突き出したまま下唇を噛んで恥辱に耐えていた。
「お前は口答えばっかりだな。言ったよな、俺をがっかりさせるなと」
ほんのり赤く色づいた肌の上を、ギガンはペチペチと鞭の先で呼びかけるように軽く叩いていく。
「はい……」
「はい、じゃねえよ。きちんと謝れ。少しは期待してた俺に悪いと思わないのか? ほら、下っ端にも手こずる二軍ヒーローで申し訳ございませんでした、だ。言え」
鞭が空を裂き、打撃部が左の尻肉に強かに打ち付けられる。
「あっ!」
新たないたぶり暖馬は声を上げて背を震わせる。
皮膚を直に打つ痛みが、じんじんと身体中に熱を起こさせた。
ギガンが躾と称する通り、その打撃がもたらす痛みは身体を傷つけることを目的としてはいない程度に絞られている。
絶妙にコントロールされた鞭使いは、痛覚を通じて暖馬の精神を支配し、嬲ってゆく。
「下っ端に、手こずる二軍、ヒーローで、申し訳ございません、でした……」
胸の内に押し込んでいた劣等感を自ら口にするよう仕向けられた暖馬は、情けなさで顔を歪ませながら、途切れ途切れの謝罪を口にした。
破廉恥な恰好をさせられている恥ずかしさ、ギガンを失望させた悔しさ、戦闘能力に欠ける自らへの憤り、そんなものがないまぜになって、暖馬の瞳を潤ませる。
「このままじゃ畜生以下だぞ雑魚犬が。何とか言ってみろ!」
「う゛っ、頑張りますっ、次は頑張りますから! 博士の為に頑張りますからっ……!」
パシン、パシン、と黒い打撃部が尻肉を打ち据えた。
間隔を置かず二度三度振るわれる鞭に、暖馬は悶えながら懇願めいた言葉を口走る。
するとギガンは鞭を引っ込め、赤みを帯びた左の尻を血の通っていない機械製の手でむんずと掴む。
「犬が俺のために頑張るなんて当たり前なんだよ、全く……次はちゃんとやるんだな?」
ギガンは大きな掌で腫れつつある尻を労わるかのようにすりすりと優しく撫でていく。
その優し気でこそばゆい感覚に、暖馬はぶるりと腰を震わせた。
「あっ……。はい、次は博士をがっかりさせないよう、何でも死ぬ気でやります」
「そうか、いい子だ。その言葉忘れんなよ」
ギガンはぺしん、と一発暖馬の尻を軽く打つと、もういい、と暖馬に屈辱的なポーズの解除命名を出した。
──どうしよう。バレてない、よな?
スーツを元に戻してもらった暖馬は、こっそり自分の股間を見やる。
通常よりほんの少し膨らんだそこは、鞭責めに合っている間に段々と硬さを帯びていたのだ。
半勃起状態を見つかったら博士に何を言われるのか分からない。ケツ叩かれて勃起する変態マゾ犬とか、そういうこと言われそうだ。
暖馬は刀を入れていたケースで股間あたりを隠しつつ、エレベーターに向かうギガンの背中を粛々と追っている。
まさか自分にこんな面があったとは。いや、不可抗力というか何というか、まだ俺がMに目覚めたってわけでもないというか、恥ずかしかっただけだし……。
自問自答を繰り返しながらなんとか理由をつけてトイレに行こうと考えていた暖馬は、飼い主が無言でデバイスを見ながら歩いていることに気が付いていなかった。
──こいつ、とんだマゾ豚野郎だな。
暖馬のバイタルを表示した画面には、身体のある一点が膨張していることや軽い興奮状態にあることがありありと数値と図によって表示されている。
今ここでそれを指摘して、公開オナニーショーでもやらせたいところだったが、そうもいかないのが教団幹部だ。
デバイスには次々入れていた予定のアラームがポップアップされる。
進捗報告連絡会という文字にギガンはデバイスを何処かに放り投げたくなった。
……まあいい。今しがたそれなりのデータは出た。それに、マゾ犬で遊ぶならもっと合ったやりようがある。
ギガンはニンゲンの通販サイトを開き、ハッキング済みのヒーロー基地職員の私的アカウントから適当なものを選んで、勝手にあるものを注文した。
博士、忙しそうだなあ。
熱心にデバイスを操作しているギガンに気付いた暖馬は、何も知らず筋肉で膨れた白衣をまじまじと見上げていた。
つづく
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