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本編
俺が異世界トリップしてから2年たちました
しおりを挟む「サクヤ、火起こして!」
「はいはい」
朔也は読んでいた魔術書から声のした方へと顔を上げる。
赤茶色の髪にペリドットのような目の色をした少女が俺の名を呼ぶ。女の子の隣にはブロンドの髪で女の子と同じ瞳の色の女性が立っている。彼女たちは夕飯の支度を始めようとエプロンをつける。
「ほらっ」
ボッ
火が起こる。
彼女が立っている所は台所で女の子、リアは母のエマと一緒に料理をしている。
「あ、先に言っとくけどこの2人は俺の奥さんと娘じゃないからな」
「…?サクヤお兄ちゃん誰にいってるの?」
「ん?読者様にだよ」
確かにエマさんは美人でスタイルも良くてぜひ奥さんに欲しいけど。でもリアは現在6歳で俺がこの世界パーチェに来たのは2年前流石の俺でも無理だ。
ガチャっ
「おう!エマ、リア帰ったぞ!!」
玄関から入って来たのは赤茶色の短髪でグレーの瞳の大柄な男だった。
「お父さんおかえり!!」
「あなたお疲れ様」
「よう、ルーカス。久しぶりだな。」
「うぉっ、サクヤっ!こっちに来てたのか」
「お父さんー!」
リアはルーカスに向かって走って父親に抱きつく。
「はぁ、リアはかわいいなぁ」
ルーカスはリアの父親で美人なエマさんの旦那。ただ今顔が緩んでいてとてもだらしない。
「あらあら、リア台所の近くで危ないから走っちゃ駄目でしょ。」
「あ、お母さんごめんなさい。」
「謝れて偉いわねリア。」
そう言ってエマも手を止めてルーカス達の元へ行きリアの頭を撫でる。
「まったくだな久しぶりにリアに合ったが相変わらずかわいいな。ルーカスの娘だとは思えん」
「余計なお世話だ!リアは俺とエマのかわいい娘だよ!」
「お母さん、またお父さんとサクヤ喧嘩してる」
「ふふっそうねぇ、2人は本当に仲が良いわね」
「喧嘩してるのに?」
「ええ、いいリア?世界にはね喧嘩するほど仲がいいって言う言葉があるのよ」
「へぇ、じゃあ2人は仲が良いんだね!」
「ほらっ、2人ともあともう少しで夕飯出来るから大人しく座っていてくださいね」
「「はいっ!!」」
「それじゃぁリア続きをしましょか?」
「うんっ!」
エマさん何か背中に黒いものが見えたんですが…
数分後ー
「はい、出来たわよ。」
「できたー!」
「「おおー」」
「運ぶの手伝うぞエマ。」
「あら、ありがとうルーカス。」
ルーカスが席から立ちエマのもとへ向かう。
テーブルに夕飯が並び全員で挨拶をしてから食べる。
「やっぱりエマさんの料理は美味いなぁ。」
「あら、お世辞はいいわよ。サクヤさんは色々な所に行って美味し物を食べているでしょ?」
「お世辞じゃないって。確かに色々な所に行って沢山美味し物も食べたけどやっぱり家庭の味は違うよ」
「そう言えばサクヤ冒険者ランクSになったって?」
「あぁ、この前ドラゴン倒したら上がった。」
「ドラゴンさん?サクヤお兄ちゃん倒したの?」
「あぁ、食べてみたくてな。」
「それだけの理由で倒しに行ったのか…」
「サクヤさんらしいですけど…」
「あ、そうだこれドラゴンステーキのサンドイッチここのお土産に取っておいたんだ。」
インベントリからドラゴンステーキのサンドイッチを取り出す。
「あらあら、ありがとうございます。」
「いいって俺もこの家にはいつもお世話になってますから。」
「気にしなくてもいいのに。私達だってサクヤさんにはお世話になっているんですし。サクヤさんがいると水汲みや火起こしが楽なんだから。それに今日だって突然来たけどお肉やお菓子何かをくださったんですから。お礼を言うのはこちらです。それにサクヤさんは私達家族からしたらもう家族の様なものです。」
「そう言って貰えると俺も嬉しいな」
俺の本当の家族にはもう会えないから。初めて出会った人達がこの人で本当に良かった。
「そう言えばルーカスさんどうして俺がSランクに上がったこと知ってたんですか?」
「あ?そりゃあ誰でも知ってるに決まってるだろ。世界的にも数少ないSランク冒険者に新しく加わった上に、冒険者ギルドに登録してたった2年で冒険者の最上位Sランクになったんだから。」
「そこまですごいのか?」
「当たり前だろ!!」
「サクヤお兄ちゃん凄いねお母さん!」
「そうねぇ」
「しかもサクヤは出会った最初は冒険者ギルドすら知らなかったやつがな。まさかたった2年でSランクになるなんて今でも信じらんねぇ。」
______________________________
2年前
異世界にトリップして飛翔しながら最も近くにあった村に向かっている途中、マップに魔物の反応があり資金調達のために狩ろうと近くに降りた。反応があった所に向かって行くとそこにはエマさんとリアが木の実を拾いに来ていた。いつもは魔物も少なく安全な所だったがその日は運悪く魔物がいた。
まぁ俺が通りかかった日って意味ではお互い運が良かったな。
魔物はホーンラビットで背後から風魔法でホーンラビットの首を狩った。これが初めての狩りだった。
俺まだスライムもゴブリンも見てないのに…
最初ってまずはスライムとかじゃないの?
あ、従魔の仕方調べよ。名前付けるだけかな?スライム触りたいし、大きな狼系の魔物を従魔にしてその背中で寝てみたい。それで日向ぼっことかしたら絶対に気持ちいい!
その後エマさんに助けて貰った礼をしたいと言われ気がついたら目的地のエリソンという村にあるルーカスの家に滞在する事になっていた。
ルーカス達は農民で色々な野菜を作っている。常識もそうだが服装も異世界の物なわけで怪しい人にしか見えないだろう俺にも優しくすくってくれて詮索も全くしてこない。俺としては有り難いが心配でもある、エマさんはルーカスを完全に尻に敷いているようだから天然という訳では無いのだろうが……
そんなこんなで俺は魔物を倒しつつエマさんに解体の仕方を学んだり。その他常識をこの家族に教わった。
初めの頃は他の村人達も俺を注視していたがルーカス達の人望のお陰かしだいに他の村人達も俺にも挨拶をしてくれるようになった。
ただ居候しているのは悪いので魔法を駆使して仕事を手伝ったり、魔物を狩って来たりして皆に分けて暮らしていた。料理も意外と美味しかった。料理チートと言えるほどと言えないかもしれないが異世界レシピを伝授したりした。
1ヶ月後
あらかた常識を知り、行商人にきているバンさんの馬車に乗せてもらいオルドリッジ辺境伯領の都市オルドリッジに馬車の旅で10日で向かった。俺は護衛役で乗せてもらえた。護衛役には他に冒険者が3人いて賑やかに行くことが出来た。あ、ちなみに魔物の素材を売ったことで懐はだいぶ温まった。
バイトより楽に大金稼げた。地球でのバイトより短い時間で倍はいった。
その後、都市オルドリッジに付きバンさんと別れ冒険者3人組について行き冒険者登録をして今現在Sランク冒険者になった。
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