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本田家の次女様
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規則的な機械音が鳴り響く。ピピピピ。ピピピピって。うるさいなー。私はまだ気持ちよく……
「いつまで寝てるの優! 遅刻するわよ!」
ちこく……私は今ベッドの中にいて今日は新年度で……
「学校!! 今何時!?」
さっきから鳴ってたのは目覚まし時計。これが壊れていなければ今は七時五十分。学校は八時三十分登校。
「遅刻するぅぅぅ!!」
「早くしなさい! 八時には出発するわよ」
お母さんが制服を投げつけて怒る。投げつけるのは如何なものですかお母さん。なんて言ってる場合じゃない!
「み、みんなは!?」
「もう行ったわよ」
「何で誰も起こしてくれないの!?」
「毎日寝坊してる子を起こす身にもなりなさい」
漫画でよくある食パンを齧りながら登校――なんて一切なし。お母さんにチョコ一欠片を口に押し込まれて朝食は終わり。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
玄関で靴を突っかけて私は船から飛び降り、門をくぐり抜けた。正面に見えるのは私が通う学校。
「せ、セーフ」
門が閉じたのは私がくぐった瞬間だった。後数秒遅かったら今日欠席だった。危ない危ない。
改めて初めまして。本田優、今年から高校生になる本田家次女です。
家族は兄三人に姉一人、弟二人に妹二人の九人兄妹プラス両親の大家族です。因みに一番上は二十一、下は五です。
これだけならまだ大家族だけで済むのだけれど、私達、実は半分地球人ではないんです。
地球とは魔法の門――通称『アスカレッジ』と呼ばれている朝昼夕夜三十分ずつ開いている門をくぐり抜けた先の世界、妖精女王ティタニアが統べる別世界、オー・タマールが故郷です。
オー・タマールに住んでいる人達はそれぞれ何かしら魔法を使うことが出来ます。メジャーなものからマイナー……って言うとなんか変だけど。
私達のお母さんはオー・タマールの出身。お父さんは地球人。だから私達の名字は本田だし、言語も学校も日本。バイリンガルって言うんだっけ?
私達が通っている学校は保育園から大学までエスカレーター式なので兄妹一人を除いて全員ここに通っています。除いた人はまたおいおい。
そうそう。さっきも言ったけどこの学校はエスカレーター式だから入学式は保育園、卒業式は高校しかない。大学は違うところに行く人もいるから。それ以外は大体始業式で行います。
エスカレーター式だから新鮮味が無いけどつい一ヶ月前は中学生だったんだよね、私。高校は校舎が違うから楽しみ。一つ下の妹とは離れちゃうけど。
「私の席は~っと」
座席表を見てみても知らない人はごく一部。喋ったことが無くても顔を見知っている人は九割以上。コミュニケーション能力とかどうすんの? って? 大丈夫。地域交流が盛んな学校だから。
保健調査票とか環境調査票とか書かなきゃいけないんだよね。えっと筆箱は……
「忘れた!」
叫んだ私に周りは何事かと目を向けた。だけどさして何も無かったからすぐに逸らされた。
それよりも筆箱忘れた。多分玄関で落としたな。お母さんもほんわかしてるし朝は忙しいから今頃落ちてる筆箱に気づいてるかも。
「始業式だから午前中で終わるよね。うん、そう信じよう」
私はこの時間誰もいない屋上へと続く階段の隅に腰掛ける。
秘密にされている魔法を見られないようになるべく隠れて。
「能力模放」
お椀の形をした手の中にいつも見慣れている私の筆箱が現れた。勿論中にはペンとか消しゴムとか入ってる。
私の能力は『能力模倣』と言って、私が見たものは何でも具現化出来る。見るだけだから偉人とか宇宙人とかは無理だよ勿論。それにこの魔法、半日しか持たないから一日中授業がある日は誰かに借りなきゃいけないし不便。
「それより急がないと。始業式から遅刻なんてシャレにならん」
ホームルームが始まる前に教室へ走っていった。
やっぱり午前のみの授業が無いのは楽だなー。早起きは変わらないんだけど。
次に門が開くのは十二時半。まだ十時半。こんな時さっさと帰れれば楽なのに。売店はまだ早いしなー。
「よし。奏のとこに行こう」
折角だし進級した皆の顔を見に行こうっと。
「いつまで寝てるの優! 遅刻するわよ!」
ちこく……私は今ベッドの中にいて今日は新年度で……
「学校!! 今何時!?」
さっきから鳴ってたのは目覚まし時計。これが壊れていなければ今は七時五十分。学校は八時三十分登校。
「遅刻するぅぅぅ!!」
「早くしなさい! 八時には出発するわよ」
お母さんが制服を投げつけて怒る。投げつけるのは如何なものですかお母さん。なんて言ってる場合じゃない!
「み、みんなは!?」
「もう行ったわよ」
「何で誰も起こしてくれないの!?」
「毎日寝坊してる子を起こす身にもなりなさい」
漫画でよくある食パンを齧りながら登校――なんて一切なし。お母さんにチョコ一欠片を口に押し込まれて朝食は終わり。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
玄関で靴を突っかけて私は船から飛び降り、門をくぐり抜けた。正面に見えるのは私が通う学校。
「せ、セーフ」
門が閉じたのは私がくぐった瞬間だった。後数秒遅かったら今日欠席だった。危ない危ない。
改めて初めまして。本田優、今年から高校生になる本田家次女です。
家族は兄三人に姉一人、弟二人に妹二人の九人兄妹プラス両親の大家族です。因みに一番上は二十一、下は五です。
これだけならまだ大家族だけで済むのだけれど、私達、実は半分地球人ではないんです。
地球とは魔法の門――通称『アスカレッジ』と呼ばれている朝昼夕夜三十分ずつ開いている門をくぐり抜けた先の世界、妖精女王ティタニアが統べる別世界、オー・タマールが故郷です。
オー・タマールに住んでいる人達はそれぞれ何かしら魔法を使うことが出来ます。メジャーなものからマイナー……って言うとなんか変だけど。
私達のお母さんはオー・タマールの出身。お父さんは地球人。だから私達の名字は本田だし、言語も学校も日本。バイリンガルって言うんだっけ?
私達が通っている学校は保育園から大学までエスカレーター式なので兄妹一人を除いて全員ここに通っています。除いた人はまたおいおい。
そうそう。さっきも言ったけどこの学校はエスカレーター式だから入学式は保育園、卒業式は高校しかない。大学は違うところに行く人もいるから。それ以外は大体始業式で行います。
エスカレーター式だから新鮮味が無いけどつい一ヶ月前は中学生だったんだよね、私。高校は校舎が違うから楽しみ。一つ下の妹とは離れちゃうけど。
「私の席は~っと」
座席表を見てみても知らない人はごく一部。喋ったことが無くても顔を見知っている人は九割以上。コミュニケーション能力とかどうすんの? って? 大丈夫。地域交流が盛んな学校だから。
保健調査票とか環境調査票とか書かなきゃいけないんだよね。えっと筆箱は……
「忘れた!」
叫んだ私に周りは何事かと目を向けた。だけどさして何も無かったからすぐに逸らされた。
それよりも筆箱忘れた。多分玄関で落としたな。お母さんもほんわかしてるし朝は忙しいから今頃落ちてる筆箱に気づいてるかも。
「始業式だから午前中で終わるよね。うん、そう信じよう」
私はこの時間誰もいない屋上へと続く階段の隅に腰掛ける。
秘密にされている魔法を見られないようになるべく隠れて。
「能力模放」
お椀の形をした手の中にいつも見慣れている私の筆箱が現れた。勿論中にはペンとか消しゴムとか入ってる。
私の能力は『能力模倣』と言って、私が見たものは何でも具現化出来る。見るだけだから偉人とか宇宙人とかは無理だよ勿論。それにこの魔法、半日しか持たないから一日中授業がある日は誰かに借りなきゃいけないし不便。
「それより急がないと。始業式から遅刻なんてシャレにならん」
ホームルームが始まる前に教室へ走っていった。
やっぱり午前のみの授業が無いのは楽だなー。早起きは変わらないんだけど。
次に門が開くのは十二時半。まだ十時半。こんな時さっさと帰れれば楽なのに。売店はまだ早いしなー。
「よし。奏のとこに行こう」
折角だし進級した皆の顔を見に行こうっと。
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