本田家の日常

雪桃

文字の大きさ
6 / 9

テスト三昧

しおりを挟む
「凄いね優。全部補習ギリギリセーフじゃん」
「褒められてる気がしない」
「褒めてる気がしない」

 休み明け連続テストなんて聞いてないよ。抜き打ちなんて今の世の中まだ残ってたの!?

「これからは澪ちゃんに教えてもらうって言ったから私は私で自分の勉強してたけど。お姉さんが分かりにくかったの?」
「違う。澪ちゃん今忙しすぎて勉強見てあげるどころじゃなかった」
「え、じゃあノー勉?」
「奏に見てもらった」
「姉の意地とは」

 オー・タマールにも春夏秋冬はありまして、今はまだ春だから台風とか気候変動が凄いんだって。毎年春と秋になると澪ちゃんは凄く苦労してる。

「中学と高一ってほぼ同じ教材を使ってるらしいからよっぽどじゃない限り分かったらしいよ」
「……やっぱり私も勉強見るよ。聞いてるこっちが悲しくなってくるから」
「え、そう? 桃華が良いなら遠慮なく」

 なんか何とも言えない顔されてるけど。進んで教えてくれるのなら万々歳。

「まあ私も英語以外はからっきしだけど」
「仲間!」
「ごめん、平均は取れてる」
「裏切り者!」

 分かっていましたとも。その上げて落とす癖が変わらないところは。でも自力でやってもほんの一ミリも成長できない私は反論なんて一切できない。 

「じゃあとりあえず今日の昼休みにテスト直ししよう」
「直しって必要?」
「……あんたは勉強法から改善していった方がいいのかしら?」




 お昼ご飯を食べながらみっちり絞られた私は午後の授業、半分意識が無かった。恐るべし、英語の殺人力。

「ああ~死ぬところだった」
「死なないで。誰にも気づかれないように門くぐらなきゃいけないのに死体なんて目立つでしょ」
「えーそこー?」

 薄情な妹だ。疲れすぎて気力が無いから返事もだらけてるけど。

「まったくもう。それで?」
「何が?」
「テストはどうだったの? 期待はしてないけど私昨日自分の勉強より優ちゃんを優先したんだからね。テスト見せて」
「あ、テスト用紙捨てちゃったかもー」

 あんなの見せたら奏がキレるからしらばっくれる。この子怒ると強いからな。拓ちゃんを殴って黙らせるくらい。

「さっき桃華ちゃんとテスト直ししてるとこ見たよ」
「ストーカー!? あ、ごめん抓らないで、いててて」

 そんな凶器になりうる爪でほっぺ抓らないでください。飾りとかも食い込んできてめっちゃ痛い。

「ねえ奏。何か効率の良い勉強法とか無いの?」
「あるけど人それぞれ相性があるからどれかって探すのが大変だよ」
「ならば片っ端から調べていくのみ」
「それに付き合う私の身にもなって欲しいんだけど」

 メモを見ただけじゃ分からない私には必然的に説明役が必要になってくる。また奏の勉強時間が減っちゃうね。すまん。

「澪ちゃんに教えてもらうのが一番早いんだけどね」
「そうだね」

 天気予報を調べてみたら最低でも後二日は荒れるらしい。その間は澪ちゃんの手を借りられない。

「それにしたって皆遅いね。もうすぐ門開くよ」
「うん。次に来るのは八時になっちゃうから小学生組は危ないよね」
「迎えに行ってもいないし」
「何してるの二人とも」
「いや怜達が……修ちゃんいつの間に!?」

 門をくぐる為には校門で待ち合わせる必要があるから別に誰が通っても良いんだけど急に現れたら流石に驚くわ。

「怜達がいないの? 後十分くらいだけど」
「うん。毎日のことだからギリギリまで遊んでるわけでは無さそうだし」

 もしかしたらもう一度小学校に行けば会えるかもしれない。

「奏。魔法は?」
「ああそっか。ちょっと二人とも隠して」

 魔法は秘密にしてなきゃいけないから。修ちゃんと私の背中に隠れて奏は足踏みを始める。

「え、ちょ、やばいよ修ちゃん!」

 確認し終わった奏が急に焦り出した。

「どうしたの奏」
「何か追われてるよ三人。図体でかい男数人に」
「場所は?」
「小学校の裏にある人気の少ない公園」

 あそこは近いけど遊具が殆ど無いに等しいから滅多に人が来ないところ。中学と高校を繋ぐ人気のない渡り廊下が第一とすればこの公園は第二に学生が行きたがらない場所。

「し、修ちゃん」
「大丈夫。急ごう」

 取られる心配は置いとくことにした私達は校門にバッグを置いて公園まで猛ダッシュした。




「……弱いものイジメするなんて最低だと思う」

 怜が呟く。その目の前には五人の大男が。

「怜兄あぶないよ!」

 後ろでは剛と結が心配そうにその様子を見ている。
 なんの恨みがあって捕まってるかは知らない三人だが、一般人に迂闊に自分の力を見せてはいけないと教えられている手前、逃げることしか出来ない。

「おい。まだ本田は来ないのかよ。さっさとしねえと可愛い弟妹が痛い目見るぞ」
「本田ってどの本田? 九人いるから分かんないよ」
「うっせえんだよチビ!」
「一発殴っちまおうぜ? あいつは挑発しない限り殴って来ねえよ」

 男の一人が怜の前髪を引っ掴む。

「怜兄!」
「歯ぁ食いしばれよ」

 男が拳を怜の頬に殴りつけようと振り上げた。

「堕落しきった奴らだな」
「あ?」
「あ」

 低い声で二人の間を遮ったのは

「修兄」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います

こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...