5 / 6
空気清浄機
しおりを挟むぼくはお部屋の隅にいる。
毎日吸って吐くを繰り返す。
一日中、二十四時間、それを休むことはない。
ぼくが吸うと、空気中のゴミは
ぼくの肺の中におさまる。
ぼくの周りの空気はきれいになる。
だけど、ぼくの肺は段々黒くなっていく。
それでもぼくは、休むことはない。
ぼくがいくら動いても、ゴミはなくならないからだ。
たまに、ぼくの肺は掃除してもらえる。
そうすると、ぼくはまた深呼吸ができるようになる。
だけど、掃除しても、段々汚れは取れなくなってくる。
ぼくの肺は、もうあの頃のきれいな姿には戻れないのだ。
ぼくはそのうち、動けなくなる。
このお部屋に、いらないものになるのだ。
ぼくの肺を捧げてもなくならなかったゴミは、
ぼくの次の台になれば消えるのだろうか。
それとも、その次の、いやそのまた次の、
いやまたその次の次の台になれば消えるのだろうか。
あといくつの肺を捧げたら、
この世界はきれいになるのだろうか。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる