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119 騒がしい倉庫裏
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倉庫から出ると、裏で元の姿をしたヤギさんが、同じようなヤギの骨の頭を被った同業者……?に胸ぐらを掴まれているのを発見した。
レイヴとイルザ様は気づいていないようなので、彼らはそこに停めてある車に向かって行った。私とイオリでヤギさん達の方に近づいた。
ヤギさんは『ごめんだから!それはごめんだから!』と繰り返している。どうやら怒られてるっぽい。
『32番!お前のせいでイオリ・アルバレスを連れて行けなかっただろうが!あいつは禁忌を犯していたからゴーストにはなれずに、そのまま下界へ行く予定だった!連れてく途中で奴が急に死体のある場所まで引き戻されて、何が起きたのかと慌てて現場に向かえば、謎の技術でアリシアとか言うお前の作り出したモンスターと共に、あの元気そうな人間にくくりつけられてしまっていた!俺の任務をどうしてくれる!?イオリはどうなるんだ!?』
ヤギさんは答えた。
『だからあの様子だとレイヴ君が死なない限りイオリは生き続けるだろうね!あ、死んでるか!あっはっは!』
『あははじゃない!貴様がアリシアを強力化させたせいだぞ!もうこれ以上はないと思え!ばかやろうが!』
その時に、イオリが足音を鳴らしてしまった。こちらを振り返ったヤギさんの同業者は姿を消してしまった。ヤギさんは『助かった。』と一息ついた。
でも私が今度は彼の胸ぐらを掴んだ。ヤギさんは驚いた顔を向けた。
『な、なんだいリアちゃん!?』
「どうしてイオリがいなくなるのを伝えてくれなかったの!?知ってたの!?」
『知ってるも何も、その人の寿命が頭の上に書いてあるんだから仕方ない!じゃあサービスで教えちゃうね!レイヴ君は長生きだよ、良かったね!』
「そのノリで教えてくれても良かったでしょうが!」
『違うんだよ!いつ終わるかって言うのは、定められているの!どうやって防ごうとも、絶対にその瞬間に終わりが来るって事!どれだけ安全な場所に逃げても、病で倒れる。だから防ぎようがないんだよ。それが運命だから。でも良かったじゃないか、シードロヴァの発明があってね。』
「ああ、そうだな……。」とイオリがしんみりとした声を出したので、私はヤギさんを締めるのをやめた。イオリは、白くなった彼自身の肌の色を見ながら言った。
「彼には意外な優しさがあったものだと、俺も驚愕している。彼は愛を知っていたのか?いや……ならば、どうして?俺にも理解出来ないことが多すぎて、思考が追いつかない。」
ヤギさんがイオリに近づいた。
『この世は面白いよね、ワシでも分からないことがたくさんありすぎる。シードロヴァ君は最も分かりづらい人だったね。普段はゴーストを強力化しないから、それだとこの発明は使えないし、きっと君たちの為だけに、シードロヴァ君は時間を使ったのだろうね。本当のネクロマンサーはシードロヴァ君の方だったか、なんてね。はああ、君たちがレイヴ君と共に散ったら、僕も下界から去ろうかな。悪戯っ子だと思われてるし。』
「そうしたらいい。」
イオリの発言に、ヤギさんはイオリの肩を軽くどついてから、姿をシュッと消した。そして何処かからヤギさんの声が聞こえた。
『イオリ君、その白いワンピースよく似合うよ。女の子みたいで。ふふ。』
「……ぬあああああ!」
急にイオリが車の方に走って行った。私も急いで追いかけた。彼は車の後部座席のドアを開けた。するとイルザ様が座っていた。それを見た彼は、助手席のドアを開け直して、そこに座った。
ちょっと面白かった。私はイルザ様の隣に座った。そして皆に聞いた。
「これからどうするの?」
「どうって」レイヴが車を走らせながら答えた。「俺は知らねえ。どこに行けばいいの?俺の居場所ってどこなの?」
すると隣に座ってるイルザ様が答えた。
「目的地は勿論、ノアズ本社です。レイヴ、あなたは私の近衛兵になりなさい。イオリのオフィスをそのまま差し上げますから、そこでイオリとアリシアと共に職務に励んでください。」
「え?」と、レイヴがバックミラー越しにイルザ様を見た。「それって給料高い?」
「あの階にオフィスを持てるものは、易々と存在しません。あなたの能力ではなく、イオリとアリシアの能力で決めています。特にイオ「分かりましたから!俺はレイモンドと一緒に雑用でも何でもするからいいですーもう!」
私は身を乗り出して、助手席に座っているイオリに聞いた。
「イオリ、不本意な状態かもしれないけど、またしばらく一緒だね。何したい?」
「不本意だが、またアリシアと会えたのは良かった……しかし、まだ実感が湧かない……でもアリシア、お前はドラマを見たら消えてしまうのでは?」
「消えません。」イルザ様が淡々と答えた。「彼女もレイヴとリンクしています。レイヴが死なない限り、あなた方は一緒です。」
「それはすごいな……。」イオリが言った。「それは本当に嬉しい。まだ幽体に慣れないが、はは、アリシアを手本としてみるか。そうだな……もし、PCがあるのなら、本を書きたい。」
「え?」レイヴが苦笑いした。「ノアズやめるの?」
「違う。その仕事も行いたいが、傍で、執筆をしたい。それだけだ。」
「ふーん。」
「俺のことを書いた本を、図書館の奥で眠らせたい。ずっと後世に残るように。でも重要なことは含まないようにする。はは。そしてその内容には勿論、奴への不満も含ませてもらう。これみよがしに、ありったけの不満をな。だが、愛も込めて。」
「それは面白そうです。」イルザ様が答えた。「執筆が完了した際は、私に知らせてください。」
「かしこまりました。」
「ねー奴って誰への不満なの?ヤギへの不満?ってか、そんなことよりもさ、」レイヴが困り顔で言った。「俺のおうちどうしよう。あのトレーラー?また灯の雪原まで取りに行くの?」
イルザ様が答えた。
「ヴィノクールでよろしければ、適当に住居を用意しましょう。三人分。それで宜しいですか?」
「あ、ああそれはとても嬉しいでございます。」
「変です。」
「ごめんなさい。」
二人の会話のテンポが良くて私は笑った。同時にイオリも笑った。彼が振り返って、私に手を差し出した。私が彼の手を握ると、彼が嬉しそうに微笑んだ。私も嬉しかった。
レイヴとイルザ様は気づいていないようなので、彼らはそこに停めてある車に向かって行った。私とイオリでヤギさん達の方に近づいた。
ヤギさんは『ごめんだから!それはごめんだから!』と繰り返している。どうやら怒られてるっぽい。
『32番!お前のせいでイオリ・アルバレスを連れて行けなかっただろうが!あいつは禁忌を犯していたからゴーストにはなれずに、そのまま下界へ行く予定だった!連れてく途中で奴が急に死体のある場所まで引き戻されて、何が起きたのかと慌てて現場に向かえば、謎の技術でアリシアとか言うお前の作り出したモンスターと共に、あの元気そうな人間にくくりつけられてしまっていた!俺の任務をどうしてくれる!?イオリはどうなるんだ!?』
ヤギさんは答えた。
『だからあの様子だとレイヴ君が死なない限りイオリは生き続けるだろうね!あ、死んでるか!あっはっは!』
『あははじゃない!貴様がアリシアを強力化させたせいだぞ!もうこれ以上はないと思え!ばかやろうが!』
その時に、イオリが足音を鳴らしてしまった。こちらを振り返ったヤギさんの同業者は姿を消してしまった。ヤギさんは『助かった。』と一息ついた。
でも私が今度は彼の胸ぐらを掴んだ。ヤギさんは驚いた顔を向けた。
『な、なんだいリアちゃん!?』
「どうしてイオリがいなくなるのを伝えてくれなかったの!?知ってたの!?」
『知ってるも何も、その人の寿命が頭の上に書いてあるんだから仕方ない!じゃあサービスで教えちゃうね!レイヴ君は長生きだよ、良かったね!』
「そのノリで教えてくれても良かったでしょうが!」
『違うんだよ!いつ終わるかって言うのは、定められているの!どうやって防ごうとも、絶対にその瞬間に終わりが来るって事!どれだけ安全な場所に逃げても、病で倒れる。だから防ぎようがないんだよ。それが運命だから。でも良かったじゃないか、シードロヴァの発明があってね。』
「ああ、そうだな……。」とイオリがしんみりとした声を出したので、私はヤギさんを締めるのをやめた。イオリは、白くなった彼自身の肌の色を見ながら言った。
「彼には意外な優しさがあったものだと、俺も驚愕している。彼は愛を知っていたのか?いや……ならば、どうして?俺にも理解出来ないことが多すぎて、思考が追いつかない。」
ヤギさんがイオリに近づいた。
『この世は面白いよね、ワシでも分からないことがたくさんありすぎる。シードロヴァ君は最も分かりづらい人だったね。普段はゴーストを強力化しないから、それだとこの発明は使えないし、きっと君たちの為だけに、シードロヴァ君は時間を使ったのだろうね。本当のネクロマンサーはシードロヴァ君の方だったか、なんてね。はああ、君たちがレイヴ君と共に散ったら、僕も下界から去ろうかな。悪戯っ子だと思われてるし。』
「そうしたらいい。」
イオリの発言に、ヤギさんはイオリの肩を軽くどついてから、姿をシュッと消した。そして何処かからヤギさんの声が聞こえた。
『イオリ君、その白いワンピースよく似合うよ。女の子みたいで。ふふ。』
「……ぬあああああ!」
急にイオリが車の方に走って行った。私も急いで追いかけた。彼は車の後部座席のドアを開けた。するとイルザ様が座っていた。それを見た彼は、助手席のドアを開け直して、そこに座った。
ちょっと面白かった。私はイルザ様の隣に座った。そして皆に聞いた。
「これからどうするの?」
「どうって」レイヴが車を走らせながら答えた。「俺は知らねえ。どこに行けばいいの?俺の居場所ってどこなの?」
すると隣に座ってるイルザ様が答えた。
「目的地は勿論、ノアズ本社です。レイヴ、あなたは私の近衛兵になりなさい。イオリのオフィスをそのまま差し上げますから、そこでイオリとアリシアと共に職務に励んでください。」
「え?」と、レイヴがバックミラー越しにイルザ様を見た。「それって給料高い?」
「あの階にオフィスを持てるものは、易々と存在しません。あなたの能力ではなく、イオリとアリシアの能力で決めています。特にイオ「分かりましたから!俺はレイモンドと一緒に雑用でも何でもするからいいですーもう!」
私は身を乗り出して、助手席に座っているイオリに聞いた。
「イオリ、不本意な状態かもしれないけど、またしばらく一緒だね。何したい?」
「不本意だが、またアリシアと会えたのは良かった……しかし、まだ実感が湧かない……でもアリシア、お前はドラマを見たら消えてしまうのでは?」
「消えません。」イルザ様が淡々と答えた。「彼女もレイヴとリンクしています。レイヴが死なない限り、あなた方は一緒です。」
「それはすごいな……。」イオリが言った。「それは本当に嬉しい。まだ幽体に慣れないが、はは、アリシアを手本としてみるか。そうだな……もし、PCがあるのなら、本を書きたい。」
「え?」レイヴが苦笑いした。「ノアズやめるの?」
「違う。その仕事も行いたいが、傍で、執筆をしたい。それだけだ。」
「ふーん。」
「俺のことを書いた本を、図書館の奥で眠らせたい。ずっと後世に残るように。でも重要なことは含まないようにする。はは。そしてその内容には勿論、奴への不満も含ませてもらう。これみよがしに、ありったけの不満をな。だが、愛も込めて。」
「それは面白そうです。」イルザ様が答えた。「執筆が完了した際は、私に知らせてください。」
「かしこまりました。」
「ねー奴って誰への不満なの?ヤギへの不満?ってか、そんなことよりもさ、」レイヴが困り顔で言った。「俺のおうちどうしよう。あのトレーラー?また灯の雪原まで取りに行くの?」
イルザ様が答えた。
「ヴィノクールでよろしければ、適当に住居を用意しましょう。三人分。それで宜しいですか?」
「あ、ああそれはとても嬉しいでございます。」
「変です。」
「ごめんなさい。」
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