冷酷な皇帝陛下の妃候補(身代わり)になったんだけど、男だってバレたら殺されるらしい。

濃子

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6.ピンチは続くよどこまでもーー。

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「ーーおはようございます、セラフィナ様」
 ………、誰の声だ?母さんじゃないぞ……。
「ーーまだ眠いよ……」
「そうでございますかーー」


 !



 飛び起きた俺はベットのすぐ側にいたクラメンの顔を見て、がっくりとうなだれる。ワンチャン夢だと信じてたのに、なんで俺まだここにいるんだ?

「クラメン……」
「はい」
「ーーこの国は、何だって?」
「はい、フリーギドゥム帝国です」
 ーー聞き覚えがない……。主要国じゃないよなーー、いや、そもそも帝国なんて戦時中の日本みたいだーー。属国もそうだ、国際社会に堂々と他国を植民地になんかできるわけがない。

「時代は?」
「フリーギドゥム1102年で、陛下は2年前に即位なされました」
「ふうん」
 建国して1100年ほどの国ーー、日本だと鎌倉時代だよな……。ーーいや、建国してだから、他の国とは西暦が違うとか?あちこち年号が違う場合、ややこしさマックスだけど、日本だって西暦以外に平成、令和とか使ってるもんな……。俺、思うんだけど、縄文や弥生がいつまでとか、あれ絶対に適当じゃね?

 ーーうん、脳ミソをフル回転させたけど、フリーギドゥム帝国なんか、教科書のどこにも載ってないよな……。ーータイムスリップとかでもないのか……。


「ーー俺はどんな状態で見つかったの?」
「はい、ロウバイ宮殿の奥庭で魔犬にーー、……犯されそうになっていたそうです」
「…………」
 言いにくそうなクラメンに俺は申し訳ない気持ちになる。まけんーー、ようは俺、犬にヤラれそうになってたの?その犬、もしかして今西じゃない?

「ーーそして、ここに連れて来られた……。なあ、セラフィナ様以外の3人は妃候補になって長いのか?」
「2年前の陛下ご即位のときからでございます」
「なんで、セラフィナ様は2年後になったの?本人がごねたのか?」
「ーー姫様は代わりにございます……」
「ん?俺がセラフィナ様の代わりで、セラフィナ様は誰かの代わりなの?」

「はいーー。元々、ロウバイ宮殿におられた方が、急な病により身罷られたからでございます」
「え……、亡くなったのか?」
「はい。そのため、セラフィナ様にお声がかかったのですーー」
 はあーー、とため息をついたクラメンは、なんだかそのことで嫌なことがあったのかもしれない。思い出したくもない、って感じなんだもん。

「順番で?ニバリスは遠いって言ってたから、あんまり政治的な意味はないよね?」
「おっしゃるとおり、ニバリスは属国の中でも最北の辺境地でございます。突出した産業もありませんしーー……、そこから出さなければならないほど、有力な国は断った、とお考えくださいーー」

「なんで?」
 俺の当然の疑問に、クラメンが声をひそめる。
「ーー実は前の方は、皇帝の不興をかってしまったが為に殺された、との噂がありまして……」
「はぁ?」
 あの皇帝が、自分の嫁候補を?ーー殺した……。

 背中に寒気が走る。俺はいままでとても安全な国にいたのに、ここでは常に皇帝に気を使って、殺されないように気を使わないとダメなんだ……。そんなの、精神がもつかな~~~?



リンゴ~ン~~~。

「ん?チャイム」
「はい、この宮殿の侍女は私だけですから、ノックを聞き流さないように、セチア様が各部屋に聞こえるようにこしらえてくださいました」
「ふうん……」
 そう言うと、クラメンが慌てたように寝室から出ていった。

 ーー姫様って、家来がいっぱいついてるんじゃないんだな……。

「あーー、それにしてもどこかねーー、ここはーー?」
 伸びをして窓辺に近づく。外は良い天気だ。
「空気、美味すぎん?」
 空がとても澄んで見えるなーー。



「セラフィナ様!」
 真っ青なクラメンが寝室に飛び込んできた。
「な、何だよ!」
 この何にたいしても冷静そうなひとが、こんなにも取り乱すことなんて、なんなんだ!?そ、それはもしかしてーー!

「こ、皇帝陛下が、セラフィナ様と食事をしたいと仰せになっておられます!」
 やっぱりそうか!皇帝がらみか~~~。
「ノゥーーーッ!ダメに決まってるだろ!」
 なんでそうなるんだよ!近くに来たら絶対にバレるに決まってんじゃん!

「ーー断ることは、国の存亡に関わります……」
「すぐに滅ぼされんなよ!」
「支度をいたしますーー」
「ひ~~ん……」
 もう、なんなんだよーー……!何しても滅ぶんなら、もう滅んでもいいだろーー。





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