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19.なんだかんだ仲良し
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「ーーなあ、俺が魔法を使えるとして、それは書から花がでてきたみたいなやつか?」
書き損じを処分しながら、俺は尋ねた。
「そうだ。具現化の魔法なのだろう」
「練習のときは何にも出てこないのに?」
「あのときとは気の込め方が違う」
「あーー、なるほど」
たしかに、皇帝の間で書を披露したときは、必死のパッチってやつだったよな。
「じゃあ、気合を込めて、大きな鳥でもだそうかな。空に飛んで行けるぞ」
「すぐに落ちるだろう」
「………」
ーーはいはい、そうですか。こいつって意地悪なことばっかりいうよな……。ふん、そう言って俺が出ていかないように、嘘をついてるんじゃないのかーー?
「あんたってさ、ーー俺に側にいて欲しいのか?」
思い切って聞くと、ルイリの切れ長な目が大きく開かれた。
「?」
なんでそんなに驚いてるんだろう?あ、あれか?調子こいたこと言うな、ってやつ?
「ーーわからないのか?」
秀麗な顔をゆがめてルイリが俺を見る。『ーーわからないのか?』ーーって俺が何かをわかってないの……?
問われた言葉の意味を考えるけど、何がわからないんだろう?何かをわかってほしいのかーー?
「何をだよ?」
素直に聞いてみたのに、ルイリは俺の顔をじっと見て、何かを悟ってほしそうな圧をだしてくる。ーーあのね、そんな圧力をかけられても、わからないものはわからないの。
「………」
俺が悪いのか謎だけど、そんな眉を寄せたままそっぽ向かれてもさ……。なんか小さな子供が親の気を引くために、むっとするような顔だよ。俺はここから何を悟ればいいんだ?はっきり言えばいいのに……。
ーー変なやつ。
黙ってしまったルイリは無視して、風呂にはいることにしようーー。夜になったらすぐに来るから、のんびり入ることもできないんだ。せっかく風呂が温泉なのに、カラスの行水で済ますしかないとはーー……。
ちゃぷん。
「雪が降ったら良い景色だろうな……」
手入れの行き届いた庭園を見ながら、露天風呂にひとりではいるんだぜ?お姫様バンザイだよな。母さんは温泉好きだから、これ知ったらうらやましがるだろなーーー……。
『ーー雪を見ながら入る温泉は最高よ』
『また、行きたいな。月璃も次は一緒に行こう』
『ーー行かねえよ。タマ、どうすんだよーー』
親と一緒に旅行なんて冗談じゃない、恥ずかしいーー……、って、おいっ、俺!そんな思春期こじらしてんじゃねえよ。行けるときには行っとけよ!
でないと、それがもう二度と行けないものだったらどうするんだ?一度しかないチャンスだったら?それがわかってたら行ったのか?わからなくても行っとくべきだろーー!?
「はあ……」
「おい、身体を洗え」
「!」
突然のルイリの登場に、俺は湯の中に沈みかけた。
「な、なんではいってくるんだよ!」
「入ってくるなとは言われていない」
たとえそうでもプライベートなところは放っといてほしいに決まってる。
「寒い。風邪を引きそうだ」
嘘つけ、顔色ひとつ変わってないぜ。……ーーけどホントだったら皇帝に風邪を引かせた罪で、俺がカメリアに氷の海に放り込まれることになるかもしれないーー………。
「ーーまったく。ひとの身体なんか洗ったことないから、力加減とかわかんねえぞ」
俺は我が身の安全をとることにした。観念したほうが早い、さっさと済ませばいいだけの話だし。
「苦情は受け付けないからな」
「……ああ」
それ用の道具はクラメンが一式置いといてくれてるけど、まさか使う日がくるなんてなーー……。風呂ぐらい自分のとこではいってきたらいいのにさ。
まさか、「ド下手くそ」、とか言って斬らないよなーー?
俺は置いてある火山灰で作られた洗浄粉でルイリの髪を洗う。見た目以上にツヤのあるきれいな毛だ。いつまでもさわってられるキューティクルってやつか?
「お客さん、かゆいところはないっすか?」
「ーーなんだそれは?」
「なんだろな?」
ーー床屋さんごっこだよ。
水気を軽く拭いてから、ハーブや椿油でできたオイルで仕上げをして、はい!いっちょあがりだよ!ホント、いままでといろいろ勝手が違うから、何もかもがめんどくさいんだよな!シャンプーとリンスっていつできるんだろ?
身体はやわらかいシルクタオルで洗うんだけど、洗い上がりがツヤツヤですごいんだ。柔らかいからってやり過ぎると、肌がすぐに赤くなるから注意しないとだめだけどさーー……。
そして、俺は最大の難関にぶつかる。
ーーやっぱり、ここも洗うのかよ……。
それを前にして、俺は引きつるしかない。いや、自分のは一生懸命洗うじゃん?ゴシゴシ力をいれようと自分のだから加減できるしさ………。けどさ、ひとのモノよ?裏側も洗って大丈夫なのか?スーパーデリケートゾーンだよな?プライバシーの侵害以外の何物でもないだろ。
書き損じを処分しながら、俺は尋ねた。
「そうだ。具現化の魔法なのだろう」
「練習のときは何にも出てこないのに?」
「あのときとは気の込め方が違う」
「あーー、なるほど」
たしかに、皇帝の間で書を披露したときは、必死のパッチってやつだったよな。
「じゃあ、気合を込めて、大きな鳥でもだそうかな。空に飛んで行けるぞ」
「すぐに落ちるだろう」
「………」
ーーはいはい、そうですか。こいつって意地悪なことばっかりいうよな……。ふん、そう言って俺が出ていかないように、嘘をついてるんじゃないのかーー?
「あんたってさ、ーー俺に側にいて欲しいのか?」
思い切って聞くと、ルイリの切れ長な目が大きく開かれた。
「?」
なんでそんなに驚いてるんだろう?あ、あれか?調子こいたこと言うな、ってやつ?
「ーーわからないのか?」
秀麗な顔をゆがめてルイリが俺を見る。『ーーわからないのか?』ーーって俺が何かをわかってないの……?
問われた言葉の意味を考えるけど、何がわからないんだろう?何かをわかってほしいのかーー?
「何をだよ?」
素直に聞いてみたのに、ルイリは俺の顔をじっと見て、何かを悟ってほしそうな圧をだしてくる。ーーあのね、そんな圧力をかけられても、わからないものはわからないの。
「………」
俺が悪いのか謎だけど、そんな眉を寄せたままそっぽ向かれてもさ……。なんか小さな子供が親の気を引くために、むっとするような顔だよ。俺はここから何を悟ればいいんだ?はっきり言えばいいのに……。
ーー変なやつ。
黙ってしまったルイリは無視して、風呂にはいることにしようーー。夜になったらすぐに来るから、のんびり入ることもできないんだ。せっかく風呂が温泉なのに、カラスの行水で済ますしかないとはーー……。
ちゃぷん。
「雪が降ったら良い景色だろうな……」
手入れの行き届いた庭園を見ながら、露天風呂にひとりではいるんだぜ?お姫様バンザイだよな。母さんは温泉好きだから、これ知ったらうらやましがるだろなーーー……。
『ーー雪を見ながら入る温泉は最高よ』
『また、行きたいな。月璃も次は一緒に行こう』
『ーー行かねえよ。タマ、どうすんだよーー』
親と一緒に旅行なんて冗談じゃない、恥ずかしいーー……、って、おいっ、俺!そんな思春期こじらしてんじゃねえよ。行けるときには行っとけよ!
でないと、それがもう二度と行けないものだったらどうするんだ?一度しかないチャンスだったら?それがわかってたら行ったのか?わからなくても行っとくべきだろーー!?
「はあ……」
「おい、身体を洗え」
「!」
突然のルイリの登場に、俺は湯の中に沈みかけた。
「な、なんではいってくるんだよ!」
「入ってくるなとは言われていない」
たとえそうでもプライベートなところは放っといてほしいに決まってる。
「寒い。風邪を引きそうだ」
嘘つけ、顔色ひとつ変わってないぜ。……ーーけどホントだったら皇帝に風邪を引かせた罪で、俺がカメリアに氷の海に放り込まれることになるかもしれないーー………。
「ーーまったく。ひとの身体なんか洗ったことないから、力加減とかわかんねえぞ」
俺は我が身の安全をとることにした。観念したほうが早い、さっさと済ませばいいだけの話だし。
「苦情は受け付けないからな」
「……ああ」
それ用の道具はクラメンが一式置いといてくれてるけど、まさか使う日がくるなんてなーー……。風呂ぐらい自分のとこではいってきたらいいのにさ。
まさか、「ド下手くそ」、とか言って斬らないよなーー?
俺は置いてある火山灰で作られた洗浄粉でルイリの髪を洗う。見た目以上にツヤのあるきれいな毛だ。いつまでもさわってられるキューティクルってやつか?
「お客さん、かゆいところはないっすか?」
「ーーなんだそれは?」
「なんだろな?」
ーー床屋さんごっこだよ。
水気を軽く拭いてから、ハーブや椿油でできたオイルで仕上げをして、はい!いっちょあがりだよ!ホント、いままでといろいろ勝手が違うから、何もかもがめんどくさいんだよな!シャンプーとリンスっていつできるんだろ?
身体はやわらかいシルクタオルで洗うんだけど、洗い上がりがツヤツヤですごいんだ。柔らかいからってやり過ぎると、肌がすぐに赤くなるから注意しないとだめだけどさーー……。
そして、俺は最大の難関にぶつかる。
ーーやっぱり、ここも洗うのかよ……。
それを前にして、俺は引きつるしかない。いや、自分のは一生懸命洗うじゃん?ゴシゴシ力をいれようと自分のだから加減できるしさ………。けどさ、ひとのモノよ?裏側も洗って大丈夫なのか?スーパーデリケートゾーンだよな?プライバシーの侵害以外の何物でもないだろ。
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