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22.妃候補達と一緒に。
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「ーーすごいわね、ロウバイの乙女様。毎晩陛下が泊まられるそうよ……」
「もう2ヶ月にもなるし、そろそろどうなのかしらーー?」
「まあー、ねえーー?」
ーー下世話だな。俺の腹に皇帝の子がいるかどうか推測してるのかーー?
俺はヒソヒソと噂話で盛り上がる侍女から目を離し、目の前の美しい女性達を見た。
「ーーお幸せそうね、ロウバイの乙女」
目が合うなり仕掛けてきたのはダリアの乙女リタナだ。どどん!と、迫力のある巨大なボインを揺らして、俺に自分の身体を見せつけてくる。わたくしのほうが魅力的よ~~~、ってアピールしたいのかな?
「わたくしもあやかりたいぐらいですわ~」
ばばぁ~ん!と、テーブルにボインをのせる。………うん、アホかもな、このハデ姫様………。他のふたりが一緒にされたくないわーー、って顔で引いてるよ。
ーーでも、感心するぐらいすごい胸だーー……、そりゃルイリもこんなのを知ってたら、俺の偽乳になんか無反応なわけだよ。………ーーいや、身体の関係のことなんか知らないし、聞く気もないけどさ……。俺だったらーー……、うん、緊張しすぎて勃たないかも………。
今日はなんと妃候補の交流日で、小船に乗せられ(無理やり)湖の上でティータイムってやつなんだ。この湖は皇帝の居城裏にあって、左はユリの宮殿を、右にはロウバイ宮殿を遠くに見ることができる場所なんだ。
船着き場はユリの宮殿の近くだったから、一番遠いのはリタナ姫様だったのに、朝からテンションも高いし薄着で元気だよな。ーー案外、寒風摩擦とかが似合いそうな姫様だよ。
そうなんだ、はっきりいって寒いんだ。なんでこんな寒いのに船に乗らなきゃならないの?風邪引くだろーー?事前に船に乗るのを聞いてたら、ブランケットぐらい用意しといたのにさーー……。ちゃっかり他の姫様達は厚着してるじゃん、ずるいな~。
小船だから人数も最小限、俺達4人以外にはお茶を用意してくれた侍女2人と、船頭さんが前と後ろに1人ずついるだけ。もちろん、近くに衛兵が乗る船があるんだけどさ。
天気はいいし風もないから眺めは最高なんだけど、船でお茶を飲むなんて、上流階級のひとの楽しみは、よくわからないーー……。こんなところでイジメはないと、ーー思いたいけどね。
「聞いておられます?」
ボインがカップにあたりそうだな……、気にならないのかーー?ゴージャスなドレスをまとってポーズを決め続けるリタナに、俺は制作した矢立を使い紙に文字を書く。ルイリが魔法でスケッチブックを作ってくれたんだ、すごいよな!
文字もいまはまだ、簡単な綴りしか書けないけどさ、意味が伝われば上出来さ。
『寒くない?』
俺が書いた文字を読んで、リタナは吹きだした。
「寒い、ですって?寒ければ、毛皮を羽織ればいいのよ!」
立派な毛皮を頭からかぶり、リタナが獣になる。すっぽりかぶってるところを見ると、寒かったんだろう……ーーうん、寒いよな。
ーーしかし、ドレスに毛皮って、セレブな考え方だ……。
俺が納得するように頷いたからか、リタナは、ふん、と肩をそびやかせた。ごきげんだなーー、でも積極的に俺と関わろうとしてくれるなんて、悪いやつじゃないよ。後のふたりはにこやかにしてるけど、なんか警戒してるから……。
そうだーー。俺、ドレスって勝手にシンデレラみたいな下が膨らんだものとばっかり思ってたけど、このひと達が着ているのはスカートの部分が違うんだ。
デコルテがレースになってて、胸は強調されてるのは一緒だけど、スカートはスリムで長く、両脇にスリットがはいっているやつなんだよ。
う~ん。もしかすると、布の節約かな……。それとも、流行?ボリュームがあるやつより、すっきりしてるやつのほうが見た目にはいいけどさ~~~。ははっ、俺も男の子だよな……。
ーーこんな女装してますけどねーー、定番のビラビラの漢服に苦笑いしかでない。
だけど、リタナのボインにはちっとも興味がわかないぜ……、笑いを取りにきてるからか?ある意味曲芸に近いようなーー……。
「ーーで、聞いています~?」
「?」
ん?聞いてなかった、ごめんよ。
俺は慌ててスケブに文字を書く。
『何がです?』
「建国祭では、妃候補の孤児院慰問があるんですのよ~」
カキカキ。
『ーーーーー外に行くのですか?』
「ええ。特別な日ですもの~」
ーーへぇ、城の外に出られるのか……。そりゃすっごい楽しみだな。
「ロウバイの乙女。孤児院ではわたくし達が子供達にパンを配ります」
ふんわりとした美女に微笑まれると、ちょっと恥ずかしい。このひとは、ミルトニアの乙女ヘレナ。
「動きやすい服装を考えてくださいね」
凛とした美しい美女は、ユリの乙女ルーシェだ。ルイリの話だと、このふたりが俺のことを男だって怪しんでるんだな(うん、リタナ姫様じゃあないよな……)。
だからかな、俺を見る目がすっごいキツイんだよ。暴いてやろうかどうしようか、って感じなんだ。ーーでも、このひと達もいまは追求できないはずーー。
だってさ、肝心の皇帝が言わないんだもん。皇帝がそれを言わないってことは、万が一がある。暴露したけど俺が本当に女だったら?困るのは自分達だ。妃候補の不名誉な噂をばら撒いた、っていうので怒られるかもしれない。
このひと達がほしいのは、決定的な証拠なんだろうな。けど、俺なんか見るからに男だから、暴きようはいくらでもありそうなもんだけどーー……。
例えば、『大浴場に誘う』、とかな。これやられたら俺は一発アウトだ。浴布で身体を覆ったところで、向こうは間違えたって、「たまたま浴布をはいでしまった」、って言うだけでいいんだから。ふふっ、そうなったら、俺も姫様達のをはいでやるけどね~。
ーーう~ん。それよりも動ける服装か……。外に出られるのはうれしいけど、またまた困った問題だな……。気が重いことが続くぜーー……。
「もう2ヶ月にもなるし、そろそろどうなのかしらーー?」
「まあー、ねえーー?」
ーー下世話だな。俺の腹に皇帝の子がいるかどうか推測してるのかーー?
俺はヒソヒソと噂話で盛り上がる侍女から目を離し、目の前の美しい女性達を見た。
「ーーお幸せそうね、ロウバイの乙女」
目が合うなり仕掛けてきたのはダリアの乙女リタナだ。どどん!と、迫力のある巨大なボインを揺らして、俺に自分の身体を見せつけてくる。わたくしのほうが魅力的よ~~~、ってアピールしたいのかな?
「わたくしもあやかりたいぐらいですわ~」
ばばぁ~ん!と、テーブルにボインをのせる。………うん、アホかもな、このハデ姫様………。他のふたりが一緒にされたくないわーー、って顔で引いてるよ。
ーーでも、感心するぐらいすごい胸だーー……、そりゃルイリもこんなのを知ってたら、俺の偽乳になんか無反応なわけだよ。………ーーいや、身体の関係のことなんか知らないし、聞く気もないけどさ……。俺だったらーー……、うん、緊張しすぎて勃たないかも………。
今日はなんと妃候補の交流日で、小船に乗せられ(無理やり)湖の上でティータイムってやつなんだ。この湖は皇帝の居城裏にあって、左はユリの宮殿を、右にはロウバイ宮殿を遠くに見ることができる場所なんだ。
船着き場はユリの宮殿の近くだったから、一番遠いのはリタナ姫様だったのに、朝からテンションも高いし薄着で元気だよな。ーー案外、寒風摩擦とかが似合いそうな姫様だよ。
そうなんだ、はっきりいって寒いんだ。なんでこんな寒いのに船に乗らなきゃならないの?風邪引くだろーー?事前に船に乗るのを聞いてたら、ブランケットぐらい用意しといたのにさーー……。ちゃっかり他の姫様達は厚着してるじゃん、ずるいな~。
小船だから人数も最小限、俺達4人以外にはお茶を用意してくれた侍女2人と、船頭さんが前と後ろに1人ずついるだけ。もちろん、近くに衛兵が乗る船があるんだけどさ。
天気はいいし風もないから眺めは最高なんだけど、船でお茶を飲むなんて、上流階級のひとの楽しみは、よくわからないーー……。こんなところでイジメはないと、ーー思いたいけどね。
「聞いておられます?」
ボインがカップにあたりそうだな……、気にならないのかーー?ゴージャスなドレスをまとってポーズを決め続けるリタナに、俺は制作した矢立を使い紙に文字を書く。ルイリが魔法でスケッチブックを作ってくれたんだ、すごいよな!
文字もいまはまだ、簡単な綴りしか書けないけどさ、意味が伝われば上出来さ。
『寒くない?』
俺が書いた文字を読んで、リタナは吹きだした。
「寒い、ですって?寒ければ、毛皮を羽織ればいいのよ!」
立派な毛皮を頭からかぶり、リタナが獣になる。すっぽりかぶってるところを見ると、寒かったんだろう……ーーうん、寒いよな。
ーーしかし、ドレスに毛皮って、セレブな考え方だ……。
俺が納得するように頷いたからか、リタナは、ふん、と肩をそびやかせた。ごきげんだなーー、でも積極的に俺と関わろうとしてくれるなんて、悪いやつじゃないよ。後のふたりはにこやかにしてるけど、なんか警戒してるから……。
そうだーー。俺、ドレスって勝手にシンデレラみたいな下が膨らんだものとばっかり思ってたけど、このひと達が着ているのはスカートの部分が違うんだ。
デコルテがレースになってて、胸は強調されてるのは一緒だけど、スカートはスリムで長く、両脇にスリットがはいっているやつなんだよ。
う~ん。もしかすると、布の節約かな……。それとも、流行?ボリュームがあるやつより、すっきりしてるやつのほうが見た目にはいいけどさ~~~。ははっ、俺も男の子だよな……。
ーーこんな女装してますけどねーー、定番のビラビラの漢服に苦笑いしかでない。
だけど、リタナのボインにはちっとも興味がわかないぜ……、笑いを取りにきてるからか?ある意味曲芸に近いようなーー……。
「ーーで、聞いています~?」
「?」
ん?聞いてなかった、ごめんよ。
俺は慌ててスケブに文字を書く。
『何がです?』
「建国祭では、妃候補の孤児院慰問があるんですのよ~」
カキカキ。
『ーーーーー外に行くのですか?』
「ええ。特別な日ですもの~」
ーーへぇ、城の外に出られるのか……。そりゃすっごい楽しみだな。
「ロウバイの乙女。孤児院ではわたくし達が子供達にパンを配ります」
ふんわりとした美女に微笑まれると、ちょっと恥ずかしい。このひとは、ミルトニアの乙女ヘレナ。
「動きやすい服装を考えてくださいね」
凛とした美しい美女は、ユリの乙女ルーシェだ。ルイリの話だと、このふたりが俺のことを男だって怪しんでるんだな(うん、リタナ姫様じゃあないよな……)。
だからかな、俺を見る目がすっごいキツイんだよ。暴いてやろうかどうしようか、って感じなんだ。ーーでも、このひと達もいまは追求できないはずーー。
だってさ、肝心の皇帝が言わないんだもん。皇帝がそれを言わないってことは、万が一がある。暴露したけど俺が本当に女だったら?困るのは自分達だ。妃候補の不名誉な噂をばら撒いた、っていうので怒られるかもしれない。
このひと達がほしいのは、決定的な証拠なんだろうな。けど、俺なんか見るからに男だから、暴きようはいくらでもありそうなもんだけどーー……。
例えば、『大浴場に誘う』、とかな。これやられたら俺は一発アウトだ。浴布で身体を覆ったところで、向こうは間違えたって、「たまたま浴布をはいでしまった」、って言うだけでいいんだから。ふふっ、そうなったら、俺も姫様達のをはいでやるけどね~。
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