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48.そのときの記憶のない月璃
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「ーーーん……、タマ……、ん?……タマ……、くすぐったいって、………タマ?………え?……あ、あん!!」
胸の中にいるのは猫のタマだと思ってた俺は、寝ぼけながらも頭を撫でてやろうとしたんだ。でも、これはタマじゃない!タマは俺の乳首を舐めたり、噛みついたりはしないからなーー!
「ーー起きたか……」
「……ルイリ?ーーえっ?なんで、ルイリが……?」
俺は飛び起きてまわりを見た。ーーけど、気持ちだけは飛び起きたんだけど、不思議なことに身体がまったく動かない。かろうじて首は動かせるから、キョロキョロフリフリ、目と首だけを動かしてみる。
「え?全身麻酔でもしてるのか?」
いや、胸触るなって、俺は女の子じゃないんだから、乳首つまんでも何もでないってーー、ってルイリのことを振りはらいたいのに、身体がいうことをきいてくれない……。
「麻酔、か……、まだ研究段階だが、おまえは勉強家だなーー」
あれ?俺の乳首、赤くなってないか?こすりすぎたみたいにヒリヒリするし、ーー変なの。
「そこでしゃべるなよ!ゾワゾワする!」
あっ、声がガサガサじゃん。潤いがゼロって感じ。
「…ふ……」
欠伸をして身を起こしたルイリを、俺はガン見しちゃったんだけど、マジドキドキする可愛さだよ。いやーー、けど欠伸か……、なんかこいつの人間らしい部分って、照れるんだな。
「あっ!ここ、ルイリのベッドだよな?」
しっかりとしたデカいベッドは、前にお世話になったときに寝かされたとこだ。部屋の壁は落ち着いた感じだし、調度品も黒が多い、ルイリの寝室で間違いなさそうだけどーー、なんで俺はここにいるんだ?
「ーーどのぐらい記憶がある?」
頬を撫でられたんだけど、俺の頬、っていうか口のまわりなんかついてない?見えないけど、何かが固まってるような気がする……。
「記憶?」
「なぜ、低級な魔法師ギルドになど行った?一緒にいた男にさらわれたのか?」
「一緒に、いたーー……。あっ、サージだな!ーーあいつがたしか……、魔法薬の新薬協力に誘ってきたんだよ。お金になるってさ」
「ーーどういう仲だ?」
ルイリってば、なんで怒った顔してるんだ?
「えっと……、ーーかいつまんで話すと、建国祭のときにカラン大橋の下に住む子供達と仲良くなったんだよ」
「………」
「んで、俺はその後城に入れなくなったから、そこでしばらく世話になることにしたんだ。サージは子供達が働いてるゴミ捨て場を管理してるヤツで、かなり調子がいいヤツだよ」
「そうか」
怒りがとけた様子で、ルイリが着替えをはじめる。ーーあれ?カメリアとか手伝わないのかな?前に俺がここに来たときは、ーー熱で寝てたけど、誰かいたような気がするんだけど……。
「んーー……、それから俺どうしたんだろ?」
「ずいぶんと記憶に障害がでる薬だな」
「薬……。俺、飲んだのか?ーーだからいま身体が動かないのか?」
「………」
「でもルイリのところにいるって意味不明なんだけど、なんで俺はいるの?」
「私が連れてきた」
「え?いつの間に……どうやってーー?って、俺何も着てないの?あっ、ルイリもシャツだけだったよな……」
嫌な予感しかしないけど、ーー俺、下着もつけてない……(いちおパンツもどきはあるんだよ)。しかも、ーーなんだろ……、お尻のナカが痛くはないけど、……違和感しかない、っていうのか……、なんだ?
俺はなんとか右手を動かし、お尻の穴にさわってみた。そこから液体がでてくる……、俺、漏らしてる?ケツからオシッコってでるの?どっかでつながってたっけ?ーーいや、前に母さんが超過敏性腸症候群になったとき、透明なゼリーみたいなのがでてきたって言ってたな……、それか?ーーギリ尿よりはそっちがいいんだけど……。
「な、なあ……、」
「どうした?」
「俺、下痢のひどいやつみたいなんだけど、トイレに連れてってくれないか?」
何を皇帝に頼んでるんだよな?しかし、しょうがあるまい。
「ーー私のものなら腹の緩みはないはずだが」
「いやーー、何かいっぱいでてきてるって……。ーー私のもの?ーー腹の緩み?」
聞き慣れないワードに、俺は目を瞬いた。うーん、ようはルイリのものが俺のケツにはいっているの……?ーー魔法のしもべとかペット?ーーってそんなわけないしな……。
「あーー、とりあえず拭くもの!ベッドがヤバい!」
「すでに酷い状態だが」
「何でだよ!ベッドメイクしてないのか!?」
「五日目に諦めた。風呂に行くぞ」
「だから~、身体が動かないんだってば~~~!」
なんでこんなに身体が重いんだろ、しゃべってるのも疲れるし、声張ると喉が激痛じゃん。
「今日は私が洗ってやろう」
「え~~!?」
無礼者の俺は、なんと皇帝陛下に身体を洗ってもらって、ーーその上とんでもないことをされたんだけど……、マジなんなの?俺どうなってんの?
「ーーもしかして、俺は危なかったのか?」
「ああ……」
さっばりした身体とは反対に、身体はまだどんより重いし、全体的にだるさがとれない。ソファーに座ったまま動けない俺に、ルイリがフルーツを食べさせてくれるんだけど、こいつってばひとの世話ができたんだな。
「……それはごめん」
でも、お尻の穴なんかいじられたら……、顔を合わすのも恥ずかしいし、ーーちょびっと気持ちよかったから、…えっと、……実はかなりよかったけどーー、もう!大丈夫か、俺ってやつは~~~!
「ーーいや、私が悪い」
「え?」
落ち込んだルイリの顔に俺は首をかしげる。な、なんだよ、どうしたんだよな?助けてくれたんだろ……?なんだか俺は、おまえに助けられてばっかりだな……。
「ーー早くおまえを探しに行けばよかったのだ」
「あーー、それは……」
「おまえの気持ちを魔法で聞いた」
「へ?」
魔法?便利な魔法があるんだな……。
「ーー嬉しかった」
薄く微笑んだルイリの破壊力。こらヤベーぞ、内臓に、ゲフッとくるぞ。
「へえ」
俺の気持ちを聞いてうれしかったのか……、そっか……ーー、?ーー俺の気持ち?
「愛している、ツキリ」
「!」
彼からの愛の告白が耳に直撃し、俺はそれをただ呆然と聞くしかなかった。
ーーお、俺は、ーー何を言ったんだ?いや、ーー何をしたんだろ?記憶のない俺は何をしてこうなったんだ?
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