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Chapter11 サイバー犯罪
#76 恐れた事態
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『【新たな予言】彼は、古木のように地に深く根を張り、歳月を重ねてきた。その枝葉には、智慧の実がたわわに実り、多くの人々がその木陰に集ったものだ。けれど、ある春の日、見えぬ場所から伸びる黒い蔦が、彼の幹に絡みつき始めた。それは、眩しき新芽への、焦がれるほどの羨望。やがて蔦は全身を覆い尽くし、筆を持つ腕は固く縛られ、彼はただ、沈黙の檻の中で朽ちていった。#AI予言 2043年7月6日・13:30』
『【AI解析:翻案予言botの正体】翻案予言botの初期投稿文(画像2枚目)と、ある著名な作家の初期作品(画像3枚目)をAIが比較解析した結果、驚くべき一致が見られました。類似度98.7%。AIは、人間の筆跡ならぬ「文跡」を正確に識別します。翻案予言botの正体は、AIの目には明らかです。2043年7月6日・13:30』
〈漆黒の夜【公式】〉は、ほぼ毎日13:30に何かしら投稿をする。だから、投稿直後にこのふたつのポストを目にしたのは私だけではなかったはずだ。
ひとつ目の投稿文を読んで湧き上がった不安は、ふたつめの投稿を見た瞬間に絶望へと変化した。翻案予言botの正体を知っていたせいもあるが、その投稿には文体解析グラフの他に、匠真の文章だと確信できるものが2枚添付されていた。
『初期作品』とされる画像3枚目の文章は、彼のデビュー作の一節だった。そして、『翻案予言botの初期投稿文』とされる画像2枚目はPitter投稿のスクショ。アカウント名は『Bun-guy』となっているが、「@」から始まるユーザー名に赤線が引かれている。おそらく翻案予言botのユーザー名と一致するのだろう。
投稿内容はマイクロノベルだった。匠真は、Bun-guyというアカウント名だった時に『#ハヤト文体』のタグ付き投稿をリポストし、その文章を自分流に翻案していたと聞いている。きっと、これもそのうちのひとつなのだろう。
匠真らしい文章だったが、ここ数年の、すこし柔らかさを帯びた彼の文体とは少し異なっていた。それはつまり、〈漆黒の夜【公式】〉が匠真の著作の中でも文体一致率の高いものを選んで比較したということだ。
そんな冷静な分析をしながら、一方で頭の一部は完全に麻痺していた。
これからどうしたらいいのか、何をすべきなのかまったく思い浮かばない。コモンズ・カフェでひとり呆然とスマホをながめていると、手の中で着信音が鳴った。画面に表示されたのは『惣領蒼』の文字。
通話を押したものの声が出てこない。すると『理久さん?』と聞こえた。
『理久さん。漆黒の夜の投稿、見ました?』
「見……た。どうしよう。……匠真に連絡しなきゃ」
『理久さん』
名前を呼ばれただけだったが、いつもより低く穏やかな声は「落ち着いて」と言っているようだった。
「ごめん、蒼君。私ちょっと、動揺してるみたい」
『仕方ないです。動揺しないほうがおかしいですよ。結城先生にはきっと堂坂府警から連絡が行っていると思いますから、理久さんは――』
突然、蒼君の言葉が途切れた。私は不安に駆られ「蒼君?」と問いかける。返ってきたのは強張った声。
『理久さん、ひとまず9階に来てください。佐伯部長は外出中のはずなので、上で話しましょう。今、もう1件投稿がありました』
「漆黒の夜?」
『はい。結城先生と新田さんのやりとりが、……暴露されました』
全身から血の気が引いた。
「すぐ、行く」
通話を切って立ちあがる。揺れる地面を歩いているような気持ち悪さだった。
混乱しながらも急くように店を出ると、すれ違った女性から「DRIさん」と声をかけられる。突撃取材だろうかと身構えたが、そこにいたのはコネクト・アベニューの書店『Grimoire』の店長。
「あ、……お久しぶりです。えっと、花尾店長さん?」
「うわあ、名前覚えててくださったんですね。Pitterで騒がれてるの知って、ずっと心配してたんです。大変でしたよね。怪我とかされませんでした?」
「あ、はい。怪我はしてません。事件の影響でコモンズ・カフェもずっと混んでたし、常連さんにはご迷惑でしたよね?」
「迷惑だなんて。コモンズ・カフェも大変そうだなって思ってましたけど、でも落ち着いたみたいで良かったです」
調子よく喋っていた花尾店長が、ふいに私の顔をのぞき込んだ。そして、心配そうに眉をひそめる。
「顔色があまり良くないみたいですけど、大丈夫ですか?」
「ああ、はい。大丈夫です。上から呼び出されてて、気持ちがそっちに向いちゃってて。すいません」
「あっ、そうだったんですか。足を止めさせちゃってごめんなさい。あまり、無理しないでくださいね。また店にも寄ってください」
「はい」と答え、私は足早にエレベーターに向かった。
きっと、彼女はPitterを開いて私の顔色が悪かった理由に気づくだろう。コモンズ・カフェはまたメディア関係の客に席を占領され、常連の足が再び遠のいてしまうかもしれない。
6階で他の乗客が降りてエレベータにひとりになると、私はスマホで〈漆黒の夜【公式】〉の投稿を確認した。
『【AI解析:犯罪の証拠】AIが解析したチャットログの一部を公開します。作家Y氏のスマホからK氏へ「ハヤト文体」の抽出依頼、それを「予言」として利用する計画が発見されました。また、同スマホから、アイドルH氏とNPO職員のフェイク写真を生成した痕跡が見つかりました。2043年7月6日・13:40』
添付された画像は4枚。1枚はSLNビルの裏手入口で撮った私の写真。顔にはボカシが入れられ、人物は私ひとりしか写っていない。しかし、パッと見ただけでフェイク画像に使われた写真だとわかる。
問題は残りの画像だった。送受信者の情報は加工で消され、代わりに『Y』『K』と赤字で書き加えられ、日時と会話内容だけが表示されている。
――1枚目(2043年4月17日の会話)――
K:ハヤト文体を長編翻案から抽出するのはほぼ不可能です。マイクロノベルだから際立った特徴が表れてるだけで、平井先生の実際の文体がハヤト文体とかけ離れてることはご存知でしょう?
Y:それっぽいものがないわけじゃない。私はリテラ・ノヴァの公開作品の中から自力で探し出しました。こういう時のためにAIがあるのでは?
これくらいのこともできないなら、やはりAIが存在する意味はないですよね。
――2枚目(2043年5月29日の会話)――
K:DRIが翻案予言botの存在を把握しました。目立った投稿はしないでください。
Y :そこまでDRIを気にする必要があるとは思えない。非公開データから予言文を引っ張ってきてくれるなら別の話だが。
K:それは無理だと言ったはずです。特殊な事情がない限り非公開データにアクセスすることはできません。持ち出しは論外です。
Y :権限か技術がないということか。AIエンジニアはピンキリだと聞いたことがある。君のところの天才は権限も技術もあるんだろうね。
K:権限や技術ではなく倫理の問題です。彼に頼んだところで絶対に引き受けません。
――3枚目(2043年6月16日の会話)――
K:今夜●●がSLNに向かうようです。
Y:予言の件で?
K:たぶん。
Y:了解。
表示形式は違うが、チャット内容は以前一希君の見せてもらったものと同じだった。●●には私の名前『理久』が入る。
いつかこんなことになるかもしれないと覚悟してきたつもりだったけれど、思っていた以上に動揺していた。
一希君が罪を告白し、匠真が自白したあの日、匠真は私に対する感情を打ち明け、私は彼を追い詰めたのが自分だと知った。彼の気持ちを知った上でチャットを読み返すと、得も言われぬ複雑な感情が湧き上がってくる。それが怒りなのか、悲しみなのか、罪悪感なのか、自分でもよくわからなかった。ただ、これが多くの人の目に触れてしまうということが怖かった。
9階に着くと、合田部長のブースに蒼君と一希君だけでなく、糸井部長の姿もある。他のエンジニアたちは自分のブースからチラチラと彼らの様子をうかがい、一希君は彼ら背を向けるように立って項垂れていた。
『【AI解析:翻案予言botの正体】翻案予言botの初期投稿文(画像2枚目)と、ある著名な作家の初期作品(画像3枚目)をAIが比較解析した結果、驚くべき一致が見られました。類似度98.7%。AIは、人間の筆跡ならぬ「文跡」を正確に識別します。翻案予言botの正体は、AIの目には明らかです。2043年7月6日・13:30』
〈漆黒の夜【公式】〉は、ほぼ毎日13:30に何かしら投稿をする。だから、投稿直後にこのふたつのポストを目にしたのは私だけではなかったはずだ。
ひとつ目の投稿文を読んで湧き上がった不安は、ふたつめの投稿を見た瞬間に絶望へと変化した。翻案予言botの正体を知っていたせいもあるが、その投稿には文体解析グラフの他に、匠真の文章だと確信できるものが2枚添付されていた。
『初期作品』とされる画像3枚目の文章は、彼のデビュー作の一節だった。そして、『翻案予言botの初期投稿文』とされる画像2枚目はPitter投稿のスクショ。アカウント名は『Bun-guy』となっているが、「@」から始まるユーザー名に赤線が引かれている。おそらく翻案予言botのユーザー名と一致するのだろう。
投稿内容はマイクロノベルだった。匠真は、Bun-guyというアカウント名だった時に『#ハヤト文体』のタグ付き投稿をリポストし、その文章を自分流に翻案していたと聞いている。きっと、これもそのうちのひとつなのだろう。
匠真らしい文章だったが、ここ数年の、すこし柔らかさを帯びた彼の文体とは少し異なっていた。それはつまり、〈漆黒の夜【公式】〉が匠真の著作の中でも文体一致率の高いものを選んで比較したということだ。
そんな冷静な分析をしながら、一方で頭の一部は完全に麻痺していた。
これからどうしたらいいのか、何をすべきなのかまったく思い浮かばない。コモンズ・カフェでひとり呆然とスマホをながめていると、手の中で着信音が鳴った。画面に表示されたのは『惣領蒼』の文字。
通話を押したものの声が出てこない。すると『理久さん?』と聞こえた。
『理久さん。漆黒の夜の投稿、見ました?』
「見……た。どうしよう。……匠真に連絡しなきゃ」
『理久さん』
名前を呼ばれただけだったが、いつもより低く穏やかな声は「落ち着いて」と言っているようだった。
「ごめん、蒼君。私ちょっと、動揺してるみたい」
『仕方ないです。動揺しないほうがおかしいですよ。結城先生にはきっと堂坂府警から連絡が行っていると思いますから、理久さんは――』
突然、蒼君の言葉が途切れた。私は不安に駆られ「蒼君?」と問いかける。返ってきたのは強張った声。
『理久さん、ひとまず9階に来てください。佐伯部長は外出中のはずなので、上で話しましょう。今、もう1件投稿がありました』
「漆黒の夜?」
『はい。結城先生と新田さんのやりとりが、……暴露されました』
全身から血の気が引いた。
「すぐ、行く」
通話を切って立ちあがる。揺れる地面を歩いているような気持ち悪さだった。
混乱しながらも急くように店を出ると、すれ違った女性から「DRIさん」と声をかけられる。突撃取材だろうかと身構えたが、そこにいたのはコネクト・アベニューの書店『Grimoire』の店長。
「あ、……お久しぶりです。えっと、花尾店長さん?」
「うわあ、名前覚えててくださったんですね。Pitterで騒がれてるの知って、ずっと心配してたんです。大変でしたよね。怪我とかされませんでした?」
「あ、はい。怪我はしてません。事件の影響でコモンズ・カフェもずっと混んでたし、常連さんにはご迷惑でしたよね?」
「迷惑だなんて。コモンズ・カフェも大変そうだなって思ってましたけど、でも落ち着いたみたいで良かったです」
調子よく喋っていた花尾店長が、ふいに私の顔をのぞき込んだ。そして、心配そうに眉をひそめる。
「顔色があまり良くないみたいですけど、大丈夫ですか?」
「ああ、はい。大丈夫です。上から呼び出されてて、気持ちがそっちに向いちゃってて。すいません」
「あっ、そうだったんですか。足を止めさせちゃってごめんなさい。あまり、無理しないでくださいね。また店にも寄ってください」
「はい」と答え、私は足早にエレベーターに向かった。
きっと、彼女はPitterを開いて私の顔色が悪かった理由に気づくだろう。コモンズ・カフェはまたメディア関係の客に席を占領され、常連の足が再び遠のいてしまうかもしれない。
6階で他の乗客が降りてエレベータにひとりになると、私はスマホで〈漆黒の夜【公式】〉の投稿を確認した。
『【AI解析:犯罪の証拠】AIが解析したチャットログの一部を公開します。作家Y氏のスマホからK氏へ「ハヤト文体」の抽出依頼、それを「予言」として利用する計画が発見されました。また、同スマホから、アイドルH氏とNPO職員のフェイク写真を生成した痕跡が見つかりました。2043年7月6日・13:40』
添付された画像は4枚。1枚はSLNビルの裏手入口で撮った私の写真。顔にはボカシが入れられ、人物は私ひとりしか写っていない。しかし、パッと見ただけでフェイク画像に使われた写真だとわかる。
問題は残りの画像だった。送受信者の情報は加工で消され、代わりに『Y』『K』と赤字で書き加えられ、日時と会話内容だけが表示されている。
――1枚目(2043年4月17日の会話)――
K:ハヤト文体を長編翻案から抽出するのはほぼ不可能です。マイクロノベルだから際立った特徴が表れてるだけで、平井先生の実際の文体がハヤト文体とかけ離れてることはご存知でしょう?
Y:それっぽいものがないわけじゃない。私はリテラ・ノヴァの公開作品の中から自力で探し出しました。こういう時のためにAIがあるのでは?
これくらいのこともできないなら、やはりAIが存在する意味はないですよね。
――2枚目(2043年5月29日の会話)――
K:DRIが翻案予言botの存在を把握しました。目立った投稿はしないでください。
Y :そこまでDRIを気にする必要があるとは思えない。非公開データから予言文を引っ張ってきてくれるなら別の話だが。
K:それは無理だと言ったはずです。特殊な事情がない限り非公開データにアクセスすることはできません。持ち出しは論外です。
Y :権限か技術がないということか。AIエンジニアはピンキリだと聞いたことがある。君のところの天才は権限も技術もあるんだろうね。
K:権限や技術ではなく倫理の問題です。彼に頼んだところで絶対に引き受けません。
――3枚目(2043年6月16日の会話)――
K:今夜●●がSLNに向かうようです。
Y:予言の件で?
K:たぶん。
Y:了解。
表示形式は違うが、チャット内容は以前一希君の見せてもらったものと同じだった。●●には私の名前『理久』が入る。
いつかこんなことになるかもしれないと覚悟してきたつもりだったけれど、思っていた以上に動揺していた。
一希君が罪を告白し、匠真が自白したあの日、匠真は私に対する感情を打ち明け、私は彼を追い詰めたのが自分だと知った。彼の気持ちを知った上でチャットを読み返すと、得も言われぬ複雑な感情が湧き上がってくる。それが怒りなのか、悲しみなのか、罪悪感なのか、自分でもよくわからなかった。ただ、これが多くの人の目に触れてしまうということが怖かった。
9階に着くと、合田部長のブースに蒼君と一希君だけでなく、糸井部長の姿もある。他のエンジニアたちは自分のブースからチラチラと彼らの様子をうかがい、一希君は彼ら背を向けるように立って項垂れていた。
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