22 / 23
踏み出した一歩
しおりを挟む
そしてそれから一ヶ月が経った頃…
「本当に辞めるの?」
「はい、すみません…一身上の都合として…」
「私には辞める理由教えてくれても良いんじゃないかしら?」
「…それは…ごめんなさい…」
「そっか…それにしても、ここ最近ですごい変化よねぇ…」
「はい?」
「ほら、会長から社長に変わるって言うし、御門さんも辞めちゃう。もしかして会長となにか関わってたりして」
「断じてありません…」
「だよね、ごめん、冗談よ」
「…今月いっぱいで…」
「解りました。でも残ってる有休もあるから実質半月ってところね」
「はい」
そうして退職を決意した桜。本音を言えば、中条が言ったことは遠からずといったところだろう。間違いでも無い。ただ、牧田と一緒に居た、始まりの場所にとどまっているのはどうしても辛かった。
「…ハァ…」
「どうかした?」
そう声をかけたのは瀬戸だった。
「あ、瀬戸さん、私大変お世話になりました」
「え?何言ってるんですか?もう辞めるみたいな言い方して…」
「辞めるんで…」
「冗談ですよね?」
「冗談で流石にこれは言えないですよ」
「じゃぁ本当に?」
「はい」
そう話をしていた。社員までいったのに?とか何があったんですか?とか、色々と聞かれていたものの牧田とのことを口にすることもなく、一身上の都合で…と答えるのみにしていたのだった。
「そうだ、最後に聞きたいことがあって!」
そう瀬戸が切り出した。
「何?私に解ることなら良いんだけど…?」
「会長って恋人いるんですかね」
突如振られた牧田の恋人事情。桜は気が気ではなかったものの、瀬戸に問いかけた。
「でも、どうして?」
「ほら、会長って結構大人なわりに時々笑ったりする顔とか凄くたまに甘い顔したりするじゃないですか!」
「そう、かな?」
「あ、知らなかったですか?そうなんですよ!で、恋人とかいないなら…とかって思ってたんですけど、もう会えなくなってるし…そう思って…聞いてみました!」
「どうかな、本人に聞いてみたら?って言っても聞けないもん…ね」
「そうなんですよ」
「で、なんでそれ私に聞くんですか?」
「なんか、会長と御門さん、仲良さそうだったから…だから何かそういう話してたりして知ってるかなって思っただけです。」
「そか…ごめんね?役に立てなくて…」
「あ、大丈夫です!」
そう返事をする瀬戸だったものの、それでも変わらずにネットサーフィンを相変わらずしたまま何も変わらないままに過ごしていくのだった。
***
こうして桜の最後の出勤日。金本と一緒になった朝イチの引き継ぎ。
「で、以上です」
「はい、解りました」
「で、御門さん、ちょっと…」
「はい?」
おうして金元に連れられたままに事務所に向かっていく桜。言った移動したのか…少し気になりながらもついて行けば、振り返り、『はい』と手紙を差し出された。
「これって?」
「うん、預かった。」
「あ、ずかった?」
「そう。渡して欲しいって」
「…誰から?」
「ん?会長から」
そう話を聞いて桜はゆっくりとポケットに折りたたんでしまった、
「…折るのか」
「あ、折っちゃダメな奴だったかな…」
「それ言われてもわからんな」
「だよね…でも、ありがとう」
「俺は頼まれたのを渡しただけだって…」
そうして時期に夜勤組は帰っていく。最後の最後というのに、他に誰も居ない。桜一人のシフトだ。
「…読んでも…良いよね…一人だし…」
そうしてカサリと封を開けて中から取り出した。
『桜へ
これ読んでるって事は無事に金本君から手渡されたってことだな。まずは良かった。
俺が最後にホテルに行ったとき、桜は半分しかって言ってただろ。嘘ってことくらい解るよ。でも、桜がそうしたいならそれでいいと思ってた。何をするにも、俺は桜の笑顔が亡くならないならって思ってた。でも、なんだかんだ結局俺は桜から逃げてたのかも知れないな。もっとちゃんと、伝えなきゃいけなかった。
手遅れなのは解ってる。だけど俺が桜を好きになった気持ちは嘘じゃないから。出会ってくれてありがとう。一時でも俺を選んでくれてありがとう。
それから…俺よりも桜が幸せになれよ?
牧田 柾』
~side 桜~
どうして…こんなにも優しい人を傷つけたんだろう…
何の権利があって…私はこの人を傷つけたんだろう…
大切に思ってくれていたのに…これ以上の愛情はないって解っていたのに…もっとなんで…素直になれなかったんだろう…どうして…
本当は誰にも渡したくない…あの優しさも…繋いでくれた手の大きさも…抱きしめてくれた時に感じるフローラルの様な優しい香りと一緒に感じる鼓動…
全部大切だったのに…それを手放したのは私なのに…
後悔しか残らない…もっと一緒に居たかった…
もっと…たくさん笑いあいたかった…
もっと…一緒にやりたいことも…行きたい所もあった…
後悔してももう遅いのに…もう…元に戻れないのに……
私の勝手な感情だけで…
ここが家じゃなくて良かった…
泣いて…
泣いて…
枯れるほど泣いてもまだでてくるくらい泣いて止まらなくなるところだったから…
柾…
「好き…」
そう呟く声は誰のもとにも届くことのないまま、ホテルの中にとどまるのだった。
「本当に辞めるの?」
「はい、すみません…一身上の都合として…」
「私には辞める理由教えてくれても良いんじゃないかしら?」
「…それは…ごめんなさい…」
「そっか…それにしても、ここ最近ですごい変化よねぇ…」
「はい?」
「ほら、会長から社長に変わるって言うし、御門さんも辞めちゃう。もしかして会長となにか関わってたりして」
「断じてありません…」
「だよね、ごめん、冗談よ」
「…今月いっぱいで…」
「解りました。でも残ってる有休もあるから実質半月ってところね」
「はい」
そうして退職を決意した桜。本音を言えば、中条が言ったことは遠からずといったところだろう。間違いでも無い。ただ、牧田と一緒に居た、始まりの場所にとどまっているのはどうしても辛かった。
「…ハァ…」
「どうかした?」
そう声をかけたのは瀬戸だった。
「あ、瀬戸さん、私大変お世話になりました」
「え?何言ってるんですか?もう辞めるみたいな言い方して…」
「辞めるんで…」
「冗談ですよね?」
「冗談で流石にこれは言えないですよ」
「じゃぁ本当に?」
「はい」
そう話をしていた。社員までいったのに?とか何があったんですか?とか、色々と聞かれていたものの牧田とのことを口にすることもなく、一身上の都合で…と答えるのみにしていたのだった。
「そうだ、最後に聞きたいことがあって!」
そう瀬戸が切り出した。
「何?私に解ることなら良いんだけど…?」
「会長って恋人いるんですかね」
突如振られた牧田の恋人事情。桜は気が気ではなかったものの、瀬戸に問いかけた。
「でも、どうして?」
「ほら、会長って結構大人なわりに時々笑ったりする顔とか凄くたまに甘い顔したりするじゃないですか!」
「そう、かな?」
「あ、知らなかったですか?そうなんですよ!で、恋人とかいないなら…とかって思ってたんですけど、もう会えなくなってるし…そう思って…聞いてみました!」
「どうかな、本人に聞いてみたら?って言っても聞けないもん…ね」
「そうなんですよ」
「で、なんでそれ私に聞くんですか?」
「なんか、会長と御門さん、仲良さそうだったから…だから何かそういう話してたりして知ってるかなって思っただけです。」
「そか…ごめんね?役に立てなくて…」
「あ、大丈夫です!」
そう返事をする瀬戸だったものの、それでも変わらずにネットサーフィンを相変わらずしたまま何も変わらないままに過ごしていくのだった。
***
こうして桜の最後の出勤日。金本と一緒になった朝イチの引き継ぎ。
「で、以上です」
「はい、解りました」
「で、御門さん、ちょっと…」
「はい?」
おうして金元に連れられたままに事務所に向かっていく桜。言った移動したのか…少し気になりながらもついて行けば、振り返り、『はい』と手紙を差し出された。
「これって?」
「うん、預かった。」
「あ、ずかった?」
「そう。渡して欲しいって」
「…誰から?」
「ん?会長から」
そう話を聞いて桜はゆっくりとポケットに折りたたんでしまった、
「…折るのか」
「あ、折っちゃダメな奴だったかな…」
「それ言われてもわからんな」
「だよね…でも、ありがとう」
「俺は頼まれたのを渡しただけだって…」
そうして時期に夜勤組は帰っていく。最後の最後というのに、他に誰も居ない。桜一人のシフトだ。
「…読んでも…良いよね…一人だし…」
そうしてカサリと封を開けて中から取り出した。
『桜へ
これ読んでるって事は無事に金本君から手渡されたってことだな。まずは良かった。
俺が最後にホテルに行ったとき、桜は半分しかって言ってただろ。嘘ってことくらい解るよ。でも、桜がそうしたいならそれでいいと思ってた。何をするにも、俺は桜の笑顔が亡くならないならって思ってた。でも、なんだかんだ結局俺は桜から逃げてたのかも知れないな。もっとちゃんと、伝えなきゃいけなかった。
手遅れなのは解ってる。だけど俺が桜を好きになった気持ちは嘘じゃないから。出会ってくれてありがとう。一時でも俺を選んでくれてありがとう。
それから…俺よりも桜が幸せになれよ?
牧田 柾』
~side 桜~
どうして…こんなにも優しい人を傷つけたんだろう…
何の権利があって…私はこの人を傷つけたんだろう…
大切に思ってくれていたのに…これ以上の愛情はないって解っていたのに…もっとなんで…素直になれなかったんだろう…どうして…
本当は誰にも渡したくない…あの優しさも…繋いでくれた手の大きさも…抱きしめてくれた時に感じるフローラルの様な優しい香りと一緒に感じる鼓動…
全部大切だったのに…それを手放したのは私なのに…
後悔しか残らない…もっと一緒に居たかった…
もっと…たくさん笑いあいたかった…
もっと…一緒にやりたいことも…行きたい所もあった…
後悔してももう遅いのに…もう…元に戻れないのに……
私の勝手な感情だけで…
ここが家じゃなくて良かった…
泣いて…
泣いて…
枯れるほど泣いてもまだでてくるくらい泣いて止まらなくなるところだったから…
柾…
「好き…」
そう呟く声は誰のもとにも届くことのないまま、ホテルの中にとどまるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
心のすきまに【社会人恋愛短編集】
山田森湖
恋愛
仕事に追われる毎日、でも心のすきまに、あの人の存在が忍び込む――。
偶然の出会い、初めての感情、すれ違いのもどかしさ。
大人の社会人恋愛を描いた短編集です。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる