社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

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第1章・綺麗なエルフ族の女の子

022:VS魔人・後編

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 アランが自信満々で出していた砂の巨神を、エッタさんが光魔法と風魔法の融合魔法で簡単に倒してしまったのである。
 俺はあまりにも衝撃的な瞬間だった為、口を開けて驚きを隠せずにいると、エッタさんはペロッと舌を出して笑った。


「人間が魔人化すると負のオーラを纏う様になって全身が《闇魔法》の塊みたいになります」

「つまりは、どんな属性の魔法を使おうが、全て闇魔法が付与されるって事だよね? だから光魔法が有効的って事か」

「その通りです。それさえ分かれば、ミナト様に負けるはずがありません!!」


 そうか魔人は得意な属性があったとしても魔人化した時点で、体に流れる全てが闇属性になる。
 そうなれば光魔法が圧倒的な弱点となって、光属性を使える人間が圧倒的に有利に運ぶのである。
 それが分かれば戦いは有利になるし、光魔法Level5と風魔法Level6をエッタさんからコピーさせてもらった。


「さてと負ける覚悟はでき………どうした? 今更になって死ぬのが怖くなったのか?」

「うぅぅぅぅ………」


 俺が勝利を確信したかと思えば、アランは地面に蹲ってプルプルと震えている。
 まさか今更になって死ぬのが怖いのでは無いかと、俺が思っているとアランは顔を上げるのである。


「お おい!? 自分の手で自分の顔を引っ掻いたのか………」


 アランの顔は酷いモノになっている。
 自分の爪で顔を引っ掻いたのであろうが、あれだけイケメンだった顔が今は見る影もなく、まさしく化け物になってしまった。


「どうして、お前らだけが良い思いをする………どうして、俺が迫害されなければいけない!!」

「うぉ!? 魔力が外に溢れ出してやがる………早く止めてやらないと被害が考えられないくらいまで膨らむか!!」


 魔人化の状態から悪い方向に進行して、今のアランは ただの《魔物》になってしまったのである。
 それは体の外に魔力が溢れるまでになっており、アランの事は嫌いだが俺には奥底で助けて欲しいと叫んでいる様に思えた。
 こんなのは俺がアランに言った様に、ただの自己満なのかもしれないが、それでも助けてやりたいと思ってしまっている。


「ちょっと待ってろ。今に楽にしてやる………英雄まで登り詰めた男が、魔物になって終わるなんて物語は好きじゃねぇ!!」

・光魔法Level5《聖槍》
・土魔法Level2《土槍》
・炎魔法Level2《炎槍》

――――神槍グングニル――――


 俺の名において、お前を苦しみから解放してやる。
 そして お前が志して道半ばで倒れた目標も、俺が代わりに叶えてやるからな。
 静かに眠ってくれや。
 俺は3つの魔法を掛け合わせた、神槍グングニルをアランに向けて投げつけると、抵抗する事なく自分から胸に受けた。
 そのままスペリアル魔石を破壊し、アランの胸には大きな穴が空きコロッセオの中央で仰向けで倒れ込む。


「ありが……と………う」

「最後は楽になりたかったんだな………こんな事を望んでいたわけじゃないんだろ? アンタは本当に英雄になりたがってた………その理由くらい聞いてみたかった」


 アランは自ら目を瞑って全身の力を抜いた。
 俺は敵対していて愚かな行為で、多くの人間を殺していたかもしれない男に同情をする気なんて、さらさら無かったんだ。
 しかしアランの目から数滴の涙が垂れるところを見て、俺は心からアランを嫌う事なんてできやしなかった。
 俺は本当にアランがやりたかった事を聞きたかったと思っていた途端に、頭の中に何かが流れ込んできた………これは、まさかアランの記憶なのか。



* * *



 これはアランが小さい時の記憶だ。
 アランが生まれたのは小陸ではなく中陸の森の中にある小さな村であり、アランというのも本名ではない。


「ほら、ミラン。こういうのが食べられるキノコだよ」

「うん!! こういうのを集めれば良いんだね、お母さん!!」


 アランの本名は《ミラン=ネテル》というらしい。
 ミランは母親に連れられて森の中でキノコ狩りをしていて、その取ったキノコを2人は町に降りて売りに行く。
 自分の村とは栄方が違って、見惚れていると男の人とぶつかって転んでしまった。


「おい、ガキっ!! ちゃんと前をみ………まさか、お前!?」

「も 申し訳ありません!! どうか、お許しを………」

「おい。お前らは《エデン人》じゃないのか!!」


 男は ぶつかられた怒りの後に、ミランと母親の肩のところに村特有の三角と三角を上下逆様にした様な刺青を見て怯える。
 そしてミランたちの事を《エデン人》だと言って、町の人たちは石を投げつけて町の外に追い出した。
 その投げられた1発の石がミランの頭に当たって、出血してしまうのである。


「うぇーん!! うぇーん………どうして石を投げられる?」

「それはね………もう少し大人になってから教えるね」


 子供の時のミランは自分たちが何で、石を投げられなければいけないのかと理解できずに大泣きしている。
 母親としても説明の仕方が難しく、大人になってから話すと言って話をはぐらした。
 そんな事があった日から5年が経って12歳になった時、父親の書斎で本を漁っている時に《エデン人》にまつわる本を見つけて、小さい時の事もあって本を読み始める。


「こ これって本当なの………どうして、関係のない僕たちが石を投げられなきゃいけないんだよ………」


 本の中に書かれていた事が本当なのかと、12歳のミランは理解する事が出来ずに、本をバタンッと閉じて自室に戻る。
 その日の夜、ミランが寝ていると異様な暑さと叫び声などで目を覚まして、外を見てみると村が火の海になっていた。


「ど どうなってるんだ!?」

「ミランっ!! 早く村から逃げるんだ………お父さんたちも後から逃げるから、先に村から離れろ!!」


 なんの事だか理解できていないうちに、父親から裏のルートを通って村の外に出る事ができた。
 寝ていたところを起こされた事もあって、眠気が襲って近くにあった洞窟の中で一夜を過ごした。


「これから どうしようかな。このまま村に戻るのは、ダメだって言われたし………山を降りるしかないかな」


 ミランはボロボロの服装のままで、村がある山を降りると古びた教会があった。
 とにかく身を寄せるところが欲しくて、教会をノックするとサンタクロースの様な髭をして老人が出てきた。


「あら? どうかしたのかい?」

「実は山火事になって………そこから逃げて来たんだ」

「山火事? まさか山の中の村から来たのかい?」

「はい………」

「本当かい!? 誰かに見られる前に中に入るんだ!!」


 俺は教会の神父さんに自分が山の中の村から来た事を伝える。
 すると焦って周りをキョロキョロしながら、ミランを教会の中に入れると直ぐに温かい飲み物を出した。
 それを飲んだミランは、安心したのか少し涙を流した。


「これは今、言うべきなのか難しいところだけども………昨日の山火事で生き残りはいないんだよ」

「えっ? 生き残りがいない? そ そんなわけない………そんなわけないよ!! お父さんと、お母さんが死んじゃうわけないよ!!」

「そうだね。信じられない事だ………あんな悲惨な事件は、起きるべきじゃなかった………しかし君が生きているだけでも、君のお父さんと お母さんは安心だろうね」


 神父の口から放たれた言葉は、昨日の山火事で村の人たちは全員が亡くなったという事だったらしい。
 それを聞いて12歳の子供が直ぐに、飲み込めるわけがなく涙を流しながら暴れたりと現実の事実から逃れようとする。
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