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第2章・モフモフで可愛いケモノっ子

035:互いに体と愛を重ね合う

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 ミナトは兎人族の諜報員からジャックの情報を手に入れ、今にもアカシア島を出発してアキダクト島に向かいたいと思ってる。
 しかし重症なエッタさんたちを残して、俺が戦いに行くのは心配な事で、村の病院に行ってエッタさんたちの様子を確認する。


「怪我の方は、どうだい? 俺は単体で、あの海賊たちのところに行くよ………正直、皆んなを置いていくのは嫌だけど、俺としても負けたままじゃケジメはつかないからね」

「ま 待ってください!! ミナト様を1人で行かせるわけにはいきません………今回の海賊と戦う事を頼んだのは私です!! 私もミナト様に着いていきます!!」

「そんな傷で戦うというのか? 次の戦闘で傷が開いたら、それこそ重体じゃ済まないかもしれないよ?」

「覚悟はできています!! こんな私ですが、気高きエルフ族の女です!!」


 俺はエッタさんたちの顔を見たら1人で、ジャックたちのところに乗り込もうと思っていた。
 しかしエッタさんは俺が1人で行くと聞いたら、ベットから立ち上がって今回の責任は、自分にあるからと怪我を押してでも連れてって欲しいと頼み込む。
 それでも俺が渋るのを見ると、エッタさんは死ぬ覚悟くらいできていると俺の目を真っ直ぐに見て訴えて来る。


「その傷は明日の朝までになるのか? 傷が塞がったら、エッタさんが着いてくるのを認めるよ………」

「それなら光魔法で何とかしてみせます!!」

「そうか。じゃあ俺に覚悟を決めている人間を、置いていくなんて事はできやしない………着いて来るのを認めるよ」


 俺はエッタさんに着いて来る条件として、明日の朝の出発までに傷を塞がれば連れていくと決めた。
 するとエッタさんはパァッと明るい顔をして、自分の光魔法で何とかしてみせると言った。
 そこまで覚悟している人間を俺は、ここで待っていなさいなんて言える程、まだ大人じゃないみたいだ。
 心配な要素は多いがエッタさんなら死地だろうが、どうにかして潜り抜けてくれるだろうな。
 そんな風に俺はエッタさんを信頼して、俺もエッタさんを連れていくという覚悟を決める。


「ちょっと待って下さいわん!! エッタさんが行くのなら、私たちも行くわん!!」

「このまま負けるなんて嫌にゃ………」

「2人だって軽傷じゃないんだぞ?」

「エッタさんだけが行くなんてずるいわん!! 私たちだって、あの海賊たちに負けて悔しいにゃ………」

「手も足も出なかったなんて誇り高き獣人として、とても恥ずかしい事にゃ………」


 シュナちゃんとカエデちゃんもエッタさんに続く様に、自分たちも負けたままでは獣人の名前に傷がつくと同行を志願する。
 俺としては年下の2人に無理はさせたくはないが、エッタさんの同行を許可してしまった分、とてもバツが悪くスパッとダメだとは言えずに押されまくっている。
 まぁ連れていくのは良いとして、どうにか3人に無理はさせたくないところだろう。


「それなら3人にはある条件をつけようと思う………」

「何ですかわん?」

「どんな条件にゃ」

「エッタさんを筆頭にして3人は、あの女海賊を倒してくれ。俺は単騎でジャックとやる!!」


 3人にある条件を出す。
 俺が単騎でジャックと戦い、3人は協力して2人の女海賊を倒すという事だ。
 3人は俺の事を心配して顔を歪めたが、着いていけない事に比べたらマシだと思って俺の条件を飲んでくれた。


「それじゃあ明日の決戦まで体を休める様に………俺も一足先にに休ませてもらうよ」


 3人も納得したところで俺は明日の決戦に向けて、一足先に食事を取ってから部屋に戻った。


「ふぅ。3人とも男勝りで………まぁ可愛いのが、さらに可愛くなるから良いんだけどさ」


 ベットに飛び込んで仰向けになり天井を見ながら、3人の男勝りさにキュンッとしている。
 すると扉がノックされる音が聞こえて、休もうと思っていた為に腰が重いが、何とか立ち上がって扉を開けた。


「あれ? エッタさん。こんな時間に、どうかしたの? 明日の事について聞きた………ど どうしたの!?」

「ミナト様………」


 扉を開けるとランジェリー姿のエッタさんだった。
 何があったのかと聞こうと思った瞬間に、エッタさんはこれに抱きついて来たのである。
 全くもって何が起きているのかと理解できずにいると、エッタさんの顔が少々赤くなっているのが見えた。


「もしかして熱があるんじゃないの? そんなに顔を赤く……」

「ミナト様。どうか、私を抱いてもらえないでしょうか………好きな様にしてもらっても構わないので!!」

「ほ 本当に、どうしたんだい!? そんな事を言うなんて、エッタさんらしく………いや、言い方が悪いか」


 エッタさん!?
 エッタさんらしくないと言ってしまったら、あれなのではあるが色っぽい見た目に、熱のこもった声が耳と目を襲う。
 とりあえずは何かあるのではないかと考えて、エッタさんに今回の事の経緯を聞く。


「私だって怖いのです。あの人たちが怖い………怖いのならば、待ってれば良いなんて思いますよね? しかし恐怖に負けて動けないままの人を、何というか知っていますか?」

「………??」

「負け犬です。恐怖に脚がすくむのは誰だってそうです………しかし!! 怖いのが分かって臆し進もうとしない人間の事を負け犬と言います。そんな負け犬にはなりたく無いんです!!」


 エッタさんが怖がっているのは本当の事なんだろう。
 俺たちがやっているのは人助けだが、少しでも間違えれば自分の命だけではなく仲間の命まで奪ってしまうかもしれない。
 そんな恐怖と戦う人間たちの心は常に穏やかではなく、狂気に満ちた世界なのだろう。
 しかし世間一般から頭がおかしいだの、そんな事をして何になるのかと言われながらも戦い抜き、弱者を助ける人間の事を、こう呼ぶのだろう………《冒険者ヒーロー》と。


「分かったよ………据え膳食わぬは男の恥って言葉があるから、俺も覚悟を決めるよ」

「よろしくお願いします………」


 女性側が俺の事を褒めてくれるなんて、これ以上の男としての誉は無いだろう。
 それならば俺も覚悟を決めて、エッタさんを俺の部屋のベットへと案内し甘い雰囲気を作る。


「エッタさんも覚悟をしてね。最後までやるからさ………」

「大丈夫です。覚悟なら、とっくにしているので………私が嫌がっても続けて下さい」

「それはアレだけど………俺はエッタさんと愛し会いたいんだ」


 俺はエッタさんの唇に自分の唇を重ねると、ゆっくりとベットに寝かせて体を重ねあう。
 獣の様な行為ではなく、互いに互いの愛を確かめる様に、優しく愛情深く体が重なる。
 そのまま俺たちは愛し合い、体と体が重なるだけではなく愛情と愛情も互いに重なる事ができた。
 2人の初夜は最高なものとなり、決戦の日の朝を迎えるが、俺の隣には可愛い寝顔で寝るエッタさんがいる。


「おいおい。こんなにも満たされるもんなのか………最高じゃねぇかよ」

「ミナト様。私は初めてだったんですが、どうだったでしょう」

「最高だったに決まってるじゃないか。エッタさんは最高に可愛い奥さんなんだからさ」


 エッタさんは初めてでダメだったのではないかと思った為に、俺に聞いたがダメだった理由を見つける方が難しい。
 俺たちは互いに愛し合い、これから行くのが死地かもしれないが、愛する人が居るだけで頑張る度合いが変わって来る。
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